序章 少年の駆る流星①
「みなさーん!?お待ちかね、ガンプラバトルシュミレーターβテスト会へようこそ!この前人未到の領域で、君は生き延びることができるのかー!?」
ナビゲーターらしき女性のアナウンスに、その広い会場は盛り上がりを見せていた。ガンプラバトルシュミレーター。それはモビルスーツのコックピットを模して作られた球体の中で、自身のガンプラを操縦して戦うバトルアクションゲームである。2048年5月からゲームセンターでリリースされる予定であり、そのβテスト会が行われるのがこの真冬の日だ。モデラーたちはこぞってこの会に応募して、その倍率は50を超えたとも言われている。その厳しい抽選の中で若干13歳で通り、最年少参加者となった中学生がいた。その少年、「箕輪シュウ」は一歩一歩と周りを見渡しながらシュミレーターへと入る。周囲もそれぞれの関係者と野次馬とで溢れかえっていた。
外のざわつきとは裏腹の、閉じ込められた暗い空間に緑色の文字が映る。人の手を待たないで先々と初期設定と見られるものは進んでいく。「箕輪シュウ」と表示された時、コックピットの中で少年は肩の荷が降りたように吐息を漏らした。「XXXG-01W」そう形式番号が表示された。正面に球体が浮かび上がり、それが5つの局面の軌跡で囲われた時、3方向からなるパネルには艦内の発散シークエンスが、そして正面には青い地球が広がっていた。テレビで見慣れた光景に安心して背を持たれていた彼は、身を乗り出してそわそわとしている。そして恒例のコールを待つ。
「進路クリア 発進、どうぞ。」
「箕輪シュウ、ウイングガンダムで行きます!」
恒例行事のアナウンスと共にシートにGがかかる。バード状態で発進したとはいえ、あまりのスピードにシュウは思わず言葉にもならない声をあげる。密閉され屋コックピットという空間に加え、周りの声や物音以上に耳にくるきしみや椅子の揺れは少年には刺激が強すぎた。だが、その刺激はむしろ彼の憧れを体現していたともいえる。
「本当に、出撃したんだな...」
一人の少年は、汗ばんだ手で操縦桿を握りしめ、呟いた。
宇宙空間へと放り出されたウイングガンダムはただ彷徨うしかできなかった。変形こそオートで行われたものの、そこからは手動で操作しなければならない。3つの画面には移動や射撃等の操作方法が解説されていたが、13歳の少年にはすぐに理解できる内容ではなかった。操作方法の長い解説の後、
「敵機出現、直ちに撃墜してください。」
突然オペレーターによる状況に反し落ち着いたアナウンスのあと、レーダーに赤いマーカーが表示された。
「MS-06F」ザクⅡF型が、シュウのウイングガンダムの方へと移動してくる。そしてマシンガンを構えた。シュウもそれが見えないわけではなかった。とにかく操作がおぼつかない様子であわてて機体を旋回させる。発射された弾丸がウイングガンダムの左腕をかすめた。回避は全く間に合わなかった。シュウは慌てて機体耐久値の表示を確認する。「99%」その表示に安心したのか彼に反撃の勇気を出てきていた。
「武器は、どれだ…!ビームサーベルがある!」
武装欄からビームサーベルを選び、シールドから抜き取った。そして銃弾のかすめた方向へと斬りかかる。
一瞬でアニメのそれのような勢いでザクの右腕を斬りおとしていた。抵抗する手段を失ったザクにシュウはウイングガンダムのマシンキャノンで追い打ちをかける。圧倒的な戦闘結果だった。更に2機、遅れてザクが襲い掛かる。バズーカを構えた2機はかわるがわるに銃弾を撃ち込んだ。
「さっきの、オレじゃない!」
シュウはウイングガンダムのスラスターを吹かしてすべて回避して、1機のザクに肉薄する。その勢いでザクに体当たりを仕掛けるかのように肉薄し、ビームサーベルを抜く段階で仕留めた。残りの1機はウイングガンダムにヒートホークで奇襲をかける。もちろん、攻撃は命中し、翼部分に痕ができた。コックピットにも振動が伝わる。しかしシュウは強気を保っていた。機体を大きく旋回させ、ザクの正面を向く。そして持っていたビームサーベルで突撃し、その勢いでザクのコックピットを貫いた。戦闘終了の文字と画面には再び作りこまれた宇宙空間と青い地球が映る。シュウは初めての戦果に珍しく大きな笑みを浮かべ、シュミレートが終了するのをただ、待っていた。
このβテストから約4か月後、ガンプラバトルシュミレーターはゲームセンターを中心に日本全国で正式に稼働した。あれから3年がたち、ガンプラバトルは大きく普及しプレーヤーの人口も増加、e-sportsの種目としても認められるほどになっている。多彩なバトルモードや、ガンプラの自由さは従来のモデラ―の在り方や価値観を大きく変革するほどになっていた。
もちろん、「箕輪シュウ」この男も例外じゃない。
「再びこの場所でガンプラバトルができるなんてなあ、思ってもいなかった。」
愛機となったウイングガンダムをケースにしまい、ゲーセンへ向かう。その後ろ姿はあのβテストの時とは別ものとも思える存在であることを示していた。
序章の①いかがでしたでしょうか。戦闘シーンも難しいですが何よりも周りのモノの描写が厳しい感覚しますね…さて、シュウくん高校生になったわけですが、愛機ウイングガンダムとともにしばらく戦っていきます。オリジナルガンプラ楽しみにしていた読者の方々もう少し待ってくだせえ。しばらくそのままで戦わせたいんじゃあ()
次回の投稿は来週になるかと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。次も読んでくださいね(^^)