緑光蒼影のヒーローアカデミア 作:カチョーサ
中国で光る赤子が生まれたのを皮切りに個性と呼ばれる超常が日常となった。
総人口の八割が個性持ちである世の中、個性を悪事に用いるヴィランとヴィラン退治を生業とするヒーローという職が脚光を浴びた。
例に漏れず俺、緑谷蒼影と双子の兄である緑谷出久はヒーローに憧れた。
小さい頃から弱い者の痛みを知り、弱者の前に立ち弱者の味方となる……たとえ自身が無個性であろうとも……だから俺はそんな兄の姿に憧れた。
そんな強い兄のようになりたかった。
兄は無個性だと診断されてから多くのイジメを経験していた。
俺と兄の幼馴染に当たる爆豪勝己とその一味によって。
兄には気にするなと言われていた為に俺から何かすることは無かったがそんな状況でも変わらずヒーローを目指すその姿に更に尊敬の念を抱いた。
そんな兄に変化が訪れたのは中学三年に上がった頃だった。
街中で中学生を襲ったヴィランをオールマイトが退治したというニュースが世間を賑わせていた。
その事件と被るように兄が筋トレ等を始めた。
元々筋トレはしていたが更にハードにしたようで目に見えてぐったりとしていた。
中学三年になり進路を決めていかなくてはならない。
しかし、この個性社会、ヒーロー科に進む者ばかりだ。
もちろん、俺も、兄も。
幼馴染である爆豪勝己、俺と兄はヒーロー科の中でも最難関と言われている雄英を志願していた。
そして入試当日
「やっとこの日が来たな……兄貴」
「緊張するね……蒼影」
「どけデク!!」
「かっちゃん!」
「俺の前に立つな殺すぞ」
相変わらずこの幼馴染は口が悪いな……だがまぁ、嫌な奴ではあるが悪い奴ではない事は俺も兄も理解はしているが。
「あ、」
見事に躓いた。
我が兄ながら流石だとしか言えない。
しかしいつまでたっても地面が近付かないので周りを見渡すと1人の少女が兄の顔をのぞき込む。
「大丈夫?」
「え、あ、」
「私の個性。ごめんね勝手に。でも転んじゃったら縁起悪いもんね。」
「あ、う」
「緊張するよねぇ」
「へ、あ、えっと」
「お互い頑張ろうね!」
少女はそのまま走って行った。
そして
「楽しかったか兄貴」
「え、何?」
「さっきの」
「いや、ちがっ、お礼を言いそびれただけだから!その目は辞めて!」
俺が優しい眼差しで兄を見ていると顔を赤くし慌てながら弁明し会場へと入っていった。
『今日は俺のライヴにようこそー!!!!』
『エヴィバディセイヘイ!!!!』
「「「「「………」」」」」
雄英の講師が全員プロヒーローだという事に感激を覚えているのだろう兄は涙目で説明を聞いていた。
試験に現れる仮想敵のポイントの説明のとき俺の前方の席に座っていた眼鏡を掛けた人に兄が怒られてしまった。
『俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校校訓をプレゼントしよう』
『かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!Plus ultra!!それでは皆良い受難を!!』
▽△▽△▽△
「広いな……」
案内された会場は校内に設けられた一つの街だった。
みんな自信ありげに余裕を振りまきながら開始を待っていた。
「痛っ」
「ん?あぁ、すまない。怪我はないか?」
俺は歩いている時にぶつかってコケた少女に手を差し伸べる。
「あ、うん。ありがと。えっとあん」
「それじゃあ、俺はここで。お互い試験を頑張ろう」
ハイスタート!
「フッ……」
『どうした!?実践じゃカウントなんざねぇんだよ!走れ走れぇ!賽は投げられてんぞ!!!!』
俺は速攻で駆け出しネックレスを右手に持つとそこから大剣を作り出し飛び出してきた仮想敵を斬り裂いた。
「80……81」
開始10分ほどで俺は80P分の仮想敵を斬り倒していた。
「これだけあればいけるか……?」
『あと5分〜』
「に、逃げろぉー!!」
「デカすぎだろッッッ!?」
残り時間がわずかとなった今になって解き放たれた0P敵。
あまりのデカさと建物をなぎ倒しながら襲いかかる仮想敵に皆逃げていく。
そんな中……
「いってぇ……」
「やべぇ……あの子やばくねぇか……?」
それが分かりながら何故動かない……こんな時兄ならば……迷わず……
「大丈夫、俺がお前を守ってやる。」
「私は、大丈夫だから……逃げて!」
「見てろ……一撃で……斬り裂く」
個性をフル稼働させると刀身が淡い青色に光り始める。
兄は困った人を放っては置けない性格だ。
兄ならばこんな時迷わず飛び出すだろう。
だから俺は兄に憧れた……俺には持ちえないヒーローの素質を持った兄に……。
だからこそ俺は今ここに立っている。
兄に並び立つヒーローになる為に……。
「この一撃に全てをこめる……」
刀身に溜まり膨張する極光の光
メリットなんて一切ない
だからこそ色濃く浮かび上がる時がある
ヒーローの大前提
「裂光斬ッ!!!!」
自己犠牲の精神というものが………
極光の斬撃は巨大な仮想敵を容易く斬り裂き破壊した。
「うっそ……」
「無事……みたいだな……」
「う、うん」
「そうか……俺はこれで」
「あ、」
「受かるといいな」
俺はその場を後にして出口の方に歩いていった。
『終了〜!!』
こうして俺の雄英実技入試は幕を下ろした。