東方逃亡精   作:鼠日十二

11 / 67
遅れた。
これは難しかった。


四つの女難題

「輝夜さん、一人で飛べますから離していただいても」

「ダメよ。私も話は聞いているもの、妖怪退治専門の巫女なんでしょう? 退治されるのが怖いのはわかるけど……」

 

「いや、それもあるんですが。…………実は私、昔とあるお屋敷で働いてまして……」

 

「あら?永琳は生まれたばかりの貴女を見つけたんじゃないの?」

「あーー。なんと言いますか、私は一回休みになる前の記憶が残ってるんです。ほら、トランプとか知ってたじゃないですか」

「ふぅん。そんなことあるのかしら……。まぁ、そんなことより。話の続きを」

 

「あぁ、はい。で、そのお屋敷の仕事がかなりきつかったんです。で、隙を見て逃げ出したんですよ」

「やるじゃない。でも一回休みになったってことは……」

 

「違うんです。そのあとまたいろいろありまして」

「話してくれないの?」

「今はちょっとそれどころじゃないんです。私が働いてたお屋敷の主人がものすごーく強くてですね、いるだけで独特な圧力があるというか引きつけられる雰囲気があるというか。()()()()()()()()()()()

 

「貴女を追いかけてきたってこと?」

「そうじゃないと信じたい……信じたいですが。ありえない話では無いんですよね。自慢じゃ無いですが、私って割と大事な役職を任されていたので」

 

 

 

 

 そんなことを話しながら、輝夜さんに連れられて大きな月の浮かぶ夜を飛ぶ。

 

 

「綺麗ですねぇ」

「偽物だけどね。貴女はあの月で狂わないのね……何が違うのかしら?」

「偽物だからじゃないんですか?」

「とは言うけれどね。アレは太古の月、魔力を今よりも遥かに秘めた神代のそれよ。妖精なら偽物でもその身に余るくらいには強いはずなのだけれど」

「うーん、私の能力のせいですかね?」

「貴女能力持ちだったの?」

「あ、一応。『反射する程度の能力』です。自分の体に受けたものを目線の方向に反射できます」

「なるほどねぇ。それならまだわからなくもないわ。視線に魔力が込められることになるけど、そのくらいじゃあ私含めうちの子たちは影響ないだろうし」

 

 

 

 その時、地上にいくつも存在する扉の一つが開く音がした。

 

 

「あら、お客さんね」

「咲夜さんはダメ咲夜さんはダメ咲夜さんはダメ」

 

 

 果たして、中から現れたのは────

 

 

「あら? ヴィーじゃない。ひさしぶりねー!」

「あれヴィーさんなんですか!? なんか小さくない……? というか何故ここに? 無事だったの?」

 

 

 幽々子さんと妖夢さんだった。

 

 

 思わず胸を撫で下ろし、手をぶんぶん振る。

 

 

 

「お久しぶりです!」

「知り合いかしら」

 

 輝夜さんが聞いてくる。

 

「あ、お屋敷から逃げ出したあとお世話になった方々です。幽々子さーん! どうしてここに来たんですかー!」

「月が気に入らなくて」

 

 思わず輝夜さんを見る。

「あ、それ私のせいね。正確には私の家族のために永琳がしたことだけど」

 

 

 

 別の扉が開いた。

 

「………………………」

「? おい、どうしたんだアリス? 急に黙り込んで」

 

 

 

 金髪の帽子をかぶっていない方、人形を使う方、あぁ名前言いたくない、あの……アリスさん。来てしまった。

 

 

 

 空色の瞳と目があった。

 アリスさんの口が動くのが見える。

 何を言っているのか、わかってしまった。

 

 

 

 

「み・つ・け・た」

 

 

 

 

「ひっ」

「あら、さっきとは随分と態度が違うじゃない。急に抱きついたりして、そんなに高いところが怖かったの?」

「違います違いますあの人もダメなやつで」

「貴女って他にも追いかけられているの? 災難ねぇ」

 

 

 

 さらに扉が開く。

 

 

「紫? いつもの数倍は胡散臭い笑い方してるわよ」

「やっぱりいるのね。これが面白くなくてなんというのかしら」

 

 

 現れた霊夢さんと紫さんを見て、輝夜さんはあらあらと呟く。

 

「アレが鈴仙が言ってた紅白の巫女ね」

「私にとっては隣の人の方がやばいです」

「隣? ふむ……少なくとも人ではないわね。……その、もしかしてだけど」

「実はあの人にも目をつけられてる感じが」

「昔の私を思い出すわね。よく執着されたっけ」

 

 

 

 

 そして。

 四つめの扉が開かれた。

 

 

「……ふふ、ははは!まさかこんなところで見つかるとは!これも()()の導き、かな?」

「如何なさいますか」

「当然捕らえる」

 

 

 

「ちょっとヴィー、痛いわ。そんなに強く掴まなくても離さないわよ」

「絶対ですよ! 絶対離さないでくださいね! 離したら死んでも恨みますから!!」

「死んでもなんて私達に一番縁のない単語ね」

 

 

 

 

 

 幽々子が紫に話しかけた。

 

「紫もここに来てたのね」

「月は妖怪にとって重要な意味を持つの。それに折角の月見酒を邪魔した罪は重いわ」

「あら、あの子がいるから来たのかと思ったのに」

「まさか。それは私の役目じゃないみたいよ?」

 

 そう言って紫は扇子で少女達を指差した。

 

 

 

 

 魔理沙は雰囲気の変わったアリスに驚いている。

 

「どうしたんだ?らしくないぜ、アリス」

「魔理沙。誰だって自分の願いを叶えられる方法があるなら飛びつきたいと思うものじゃないかしら」

「……アリスのそれがあの妖精だってのか?」

「ええ、そうね。妖精らしからぬ発想や思考力。とても良い研究対象なの」

「アイデアマンか、私も少し話してみたいもんだ」

 

 

 

 

 咲夜は既に臨戦態勢に入っている。

 

「お嬢様」

「分かっているな?私たちの勝利条件はアレを連れ帰ること。できれば無傷がいいが……最悪腕の一本二本は捨ててもいい。()()()()()()

「! ……わかりました、そのように」

 

 咲夜は内心で驚いていた。

 吸血鬼にとって、月を隠され誤魔化されるのは最大級の侮辱に値する。当然我が主人は怒りを露わにしていたし、それを晴らすつもりでここまでやってきたのだ。

 しかし……その怒りを押し込めてでも、あの妖精を必要としている。

 

 

 思い返すたびに咲夜は苛立つ。

 あの時、白玉楼で私が捉えていれば、こんなことにはならなかったのに、と。自分の能力がこれほど使えなかったのも初めてだった。

 

 死をも克服できれば。

 私にもっと力があれば。

 

 それはヒトの身には過ぎた願い。

 だが、その強欲さこそ他の生物にはないヒトらしさ。

 

 

 煮え立つ咲夜の内心を知ってか知らずか、レミリアはニタリと牙を剥いた。

 

 

 

 

 

「──ほら」

「人気者ねぇ」

「幽々子はいいの?」

「私はあの子の料理が好きなだけだから。別にあの子そのものじゃなくてもいいのよね」

 

 

「じゃあ私の式にしてもいいのかしら?」

「──どうかしら。許すかもしれないし、許さないかもしれない」

 

 

 

 幽々子と紫はくすくす笑った。

 その内心は当事者にだってわからない。理解など決してできない。








活動報告にも書いたけど
弾幕ルールを新参者が把握してるのなんででしたっけ?
本編で説明ありました?あったら教えてください




さて。というわけでバトルになるのかな?は次の回です。
弾幕ルールかガチバトルかは後で考えます。


タイトルはそのまんま。輝夜のスペカから貰ってます。

分かる人には分かると思いますが。失敗した時の永琳の話が難し過ぎて死にそうです。



さて。どうでもいい話です。

東方のカラオケ少ないですよね?そんな事ない?
joysoundよりDAMの方がおおいんですねぇ、初めて知った。
まぁカバー範囲がズレてるのでどっちもどっちですが。


そういや岸田教団いいですよね。
個人的にシンデレラケージ、月まで届け、芥川は神曲かと。


今回はこれくらいです。では。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。