えいやーしょう。
「で、」
と輝夜さんが提案する。
「貴方達は月を元に戻しに来たのよね? それならあと少し待つだけでいいのだけれど」
「別にそれでもいいのよ。ただけじめとして貴女を懲らしめる必要があるってだけ」
霊夢さんの答えに輝夜さんは不思議そうな顔をした。
「……この人数で?私とヴィー相手に?」
「輝夜さん、なんで私も頭数に入っているんですか」
「私が負けたら、貴女は一体どうなるのかしらね?」
「やりましょう輝夜さん。戦況は絶望的ですが私達は勝って生き残らねばならんのです」
どっちもまともな人間じゃないから、死んでも問題ないっちゃないんだけど。やる気の問題である。
死にたくはないし、死ぬのに慣れたくもない。
「まぁ待ちなさいな。ただ
紫さんの言葉に、私は状況が好転したことを察した。弾幕勝負なら、よほどのことがなければ死ぬことは無いだろう。
輝夜さんは弾幕勝負を知らなかったようだ、目を輝かせて勝負事のにおいをかぎ取った。
「あらあら。何かしら、それは?」
「貴女の従者さんなら知っているはずよ」
「そう? なら……永琳」
気がつけば側には永琳さんがいた。
少女説明中……
「───ふぅん。こういう感じかしら」
永琳さんから説明を受けた輝夜さんは軽く腕を振るう。
袖から七色の光が漏れ出た。
「うん。いけそうね。………で? 何方がお相手してくれるのかしら?」
わたしは腕の中で輝夜さんを見上げた。少し楽しそうだ。ちなみに私はちっこい光弾しか出せないので、戦力には数えないでほしい。
はじめに名乗りを上げたのはアリスさんだった。七色の光を糸に乗せ、槍を構えた人形とともにふわりと宙に浮かぶ。
「魔理沙。行くわよ」
「ん? おお、火力は任せろよ」
意気軒高と箒に魔力を込めた魔理沙さんが、急加速をする寸前。二人の眼前をナイフが掠めた。
「止まれ。私達が先だ」
レミリア様と咲夜さんだ。空間がきしむようなプレッシャーを放ちながら二人を呼び止めるが、魔理沙さんは意にも介さず言い返した。
「最後に来ておいてその言い草はなんだ」
「関係ないだろう。それにアレは私の悲願の達成に必要なんだ、だからお前達が引け」
「あら、それなら私と同じね。私もあの子が欲しいのよ」
「……」
「お互い様ね」
火花を散らす二組を見て、わくわくしたように輝夜さんが囁く。
「凄いじゃない、人気者よ」
「追われる側からしたらたまったもんじゃないですよ!」
「いいじゃない。こんなに刺激的なこと今までそうそうなかったのよ、思う存分楽しんでやるわ。‥‥そこの貴女達!
「……え?」
瞬間、場の圧力が激しく増した。
「……ふふ。随分と舐められたものじゃないか。咲夜。あいつは殺してもいい」
「あらお嬢さん、言いたいことがあるなら弾幕で語りなさいな」
「黙れよ紫、元からそのつもりだ。不慮の事故については知ったことではないがな」
「あら怖い」
紫さんはくすくすと笑った。
「ねぇねぇ輝夜さん」
「何かしら?」
「殺す気ですか?」
「酷いわね、貴女のためなのに」
「何処がですか!」
しかし、もはや言い争っている暇などありはしない。一触即発の雰囲気を破ったのはアリスさんだった。人形をいくつも展開し、空間を掌握する。
「行くわよ、魔理沙!」
「あ、抜け駆けすんなよアリス!」
やや遅れて主従コンビも行動を開始した。
「チッ、いくぞ咲夜」
「承知」
余裕を崩さず、輝夜さんは手を振るう。
「来たわね、まずは……こうかしら? 難題『龍の頸の玉 ─五色の弾丸─』」
ぶわりと先端が尖った光が撒き散らされる。魔理沙さんがそのスレスレをよけながら攻撃に転ずるのを見て、いよいよ輝夜さんは喜色を浮かべた。
「あ、楽しいわこれ」
「余裕ぶってられるのも今のうちだぜ!」
弾幕を避け切った魔理沙さんが八卦炉を構えているのが見える。
「恋符『マスタースパーク』ッ!」
「巨大光線が来ます、避けましょう輝夜さん!」
極太の光の奔流が視界を埋める。
「……ん? あれ? 輝夜さん!? どうして避けないんです?」
「ちょっと当たってみたくない?」
「くっ……これがコンティニューできる者の余裕か……!」
「あ、そうだ」
そう言って輝夜さんは私を前に掲げた。
‥…なんとなく察した。
「わかりましたやりますやってやりますよぅ! うぉぉぉおりゃぁぁぁあ!」
反射率七割に設定!
視線は光線に固定!
これめっちゃ怖い!
「あっつううううう!?」
三割でこれって、フルに食らったら消し飛んでたぞ。やはり火力特化なだけはある……がくっ。
「けっほ、ごほ」
「……おいアリス、あいつ私のマスタースパーク真っ向から受け止めやがった」
「渡さないわよ?」
「まだ何も言ってないぜ」
輝夜さんがよしよしと頭をなでてくる。
「おつかれー。所々すすけてるわね」
「人使いが荒いどころの騒ぎじゃないですよ」
「大丈夫よ、もう」
「何がですか」
「永琳、完成したかしら?」
「ええ」
「じゃあ私は目眩しでも」
そう言って輝夜さんは右手の枝を振るう。
極彩色の巨大弾幕が溢れ出た。
「ちょっと、なんの話をしてるんですか」
「あの人数相手に、あなただけでどうにかするのは無理ね。だから」
そう言って輝夜さんは手を離した。
永琳さんはいつのまにか私にそっくりな人形を持っていて、それを輝夜さんに渡した。
「下に行きなさい。あとは鈴仙とてゐがどうにかするわ」
見ればドアのうちの一つの向こう側から鈴仙さんが小さく手を振っている。
「下に行ってどうするんですか」
「察しが悪いわね、逃してあげるって言ってるの。ほんとは匿ってもいいのだけれど、永琳がね」
「姫様を危険な目には合わせたくないの」
「と言うわけだから」
光弾の量とサイズをさらに増やしながら、まるで月を背負うように輝夜さんは空に立っていた。
「じゃあね。落ち着いたらまた顔見せなさい、何年かかってもいいから」
「……ありがとうございますっ! 絶対また! 会いに行きますから!」
小声でそう言って、私は下に向かって飛んだ。
うー……ちょっと意地悪なところもあるけど、優しい人だったなぁ。こんなすぐお別れかぁ。
しかし時間を無駄にはできない。振り返らずにドアに飛び込む。
「鈴仙さん、それにてゐさんも」
「外まで送るわ。それより先は無理だけれど」
「十分です、ありがとうございます」
扉の外は意外にも竹林だった。
「急ぐわよ。迷いの竹林とはいえ、いつまで誤魔化せるかわからない」
「ほんとにお世話になりました。ぜったいお礼言いに行きますから」
「姫様は身内にとてつもなく甘いウサ。ヴィーはきっとお気に入りだからここまでしてくれるウサ」
「師匠は姫様第一だけどね…………ッ!」
鈴仙さんが急に立ち止まり後ろを向いた。
その視線の向こう、竹林の暗がりが突如揺らぎ、歪み、ぴしりと線が入り、口のようにぐぱりと開いた。
そこから、
「貸一つね」
「必要経費だ、割り切るさ。……役目は終えたろう、何処へでも行け」
「ならここに居させてもらうわね」
「趣味の悪いことだな。咲夜」
「お任せください。今度こそは」
銀色の猟犬が、鍛え抜かれた脚の発条を使って弾かれたように飛び出してきた。
「不味いッ」
咄嗟に鈴仙さんが指を銃の形にし、そこから銃弾型の弾幕をばら撒く。
「逃げるウサ!」
「は、はい!」
てゐさんに手を引かれ、私はさらに夜の竹林を進む。
▽
銃弾に寸分たがわずナイフを投げて相殺する。常識離れした絶技に鈴仙は思わず目を見開いた。
「……邪魔をしないで」
「それは無理な相談ね、姫様の頼みだもの」
「時間が惜しいわ。言って無理なら──」
咲夜の後ろから声がかかる。
「ここは私がやる。お前は先に行け」
「ですが」
「早く行け。逃すわけにはいかん」
「……御意」
「あ、ちょっと!」
咲夜は時を止め鈴仙の銃弾を躱し、そのまま姿を消した。鈴仙はそれを追いかけようとするが、
「このレミリア・スカーレットがお相手しよう。光栄に思うがいい」
「ッ!」
高濃度の魔力が詰まった弾幕が行手を阻むようにばら撒かれるのをみて冷や汗をかいた。大妖怪クラスなのは間違いない。しかも昂っている。
鈴仙の手に負える相手ではないのは確実だった。
(足止めだけ。暫くしたら絶対逃げてやる……!)
「いいわ。弾幕勝負といこうじゃない」
▽▽
「‥‥そろそろ出口が近いウサ」
「やっと……!」
「待ちなさいッ!」
「うひゃぁっ!」
風を切る音に身を縮める。あと一歩踏み出していたら足があったであろう場所に、銀色のナイフが深々と突き刺さった。
「早すぎるウサ……!」
「咲夜さん!?」
ゆらり、竹林の奥から咲夜さんが姿を現す。月の光を受け、何時にもまして鋭い雰囲気を纏っている。
「その妖精を渡しなさい」
「無理な相談ウサ」
「大人しく渡せば命は助けてあげるわ。でも抵抗するなら……夕食はウサギ鍋かしらね」
そう言って咲夜が一歩踏み出すと、
「あ、そこ危ないウサ」
ドカン!
「鈴仙への悪戯用に煙玉を大量にぶち込んだトラップがあるのを言い忘れたウサ」
「うわ……」
「さて。あんたには幸運をあげるウサ。ここから先は一人で逃げるウサ」
「て、てゐさんは?」
「私はここで程よく足止めするウサ。竹林は私の家みたいなもんだし、トラップもいっぱいあるから大丈夫ウサ」
その小さな姿が、とても頼もしいものに見えた。
「〜〜っ! ありがとうっ!」
「ウサッ!?」
感謝の意を込め、思いっきりてゐを抱きしめてお礼を告げた。
「またくるからっ!」
私は駆けだした。
その後ろ姿を見ててゐは思わず、
「思ったより積極的ウサ」
と呟いた。瞬間、ナイフが深々とてゐの腹に突き刺さる。
「がっ……!?」
「言ったはずよ。抵抗するなら命の保証など無いわ」
まるで幽鬼のように。指の間にいくつもナイフを挟み、咲夜は一歩踏み出す。
「こ……ここは迷いの竹林ウサ。私の案内なしじゃ出られないウサ」
「なら案内なさい。さもなくば死ね」
首筋にナイフを当てられたてゐは、苦しみながら立ち上がり──腹に刺し傷があるとは思えぬ声量で、とある人物の名を呼んだ。
「もこー---!! 助けてー---ッ!!」
「なッ──」
果たして──幸運の女神は、因幡の白兎に微笑む。
「煩いよ、てゐ」
周囲の温度が一瞬にして上昇した。炎が地を這い、咲夜に向けて一直線に伸びる。咲夜は時間を止め、炎を纏って現れた少女の死角からナイフを投げた。
すべてが致命傷になりうる、意識外からの死。時間が動き出すとともにそれは寸分たがわず命中し、少女の白いシャツを赤く染めた。
しかし、しかし。
その程度で死ねるなら、彼女は彼女ではない。
咲夜の前に立ちふさがる、最後にして最大の障壁──すなわち、Exボス。
藤原妹紅は生ける炎である。
「ったく、痛ってえな……おい、そのウサギは知り合いなんだ。返してもらうよ」
▽▽▽▽▽▽
飛ぶ。飛ぶ。ひたすらに飛ぶ。
前にもこんなことがあったな、と思いながらひたすらまっすぐ飛び続ける。
あぁ、きっともう竹林を抜ける。
暗くてよくわからないが、それは確かだろう。
やがて周りの竹も疎らになり、開けた場所へ飛び出して───
ゴン!!
何かにぶつかった。
「ぐふっ」
「いったぁ!!」
「うぅ……おい! 何処見て飛んでるんだこのバ、カ………」
「え……ええ!? なんでここに!?」
「それはこっちのセリフだ! 暫くしたら連絡つかなくなるし、やっと『k-phone プロトタイプ』の反応が現れたと思ったら今度は竹林の中、しかも奇妙な術のせいで中に入れやしない! 一体今まで何処に行ってたんだ! ほら、帰るぞ! いきなり『k-phone』がなくなったせいでカスタマーセンターは大忙しなんだ!」
そう言ってにとりさんは私の手を取り、背中のリュックからプロペラを出して飛び始めた。
……幸運、割と早く訪れたなぁ……。
長いから許して?
いや、あれです。春からの新生活の準備というやつです。
アホみたいに忙しかったんです。
しかも話も作るの難しかった。いやはや、これを書いている今でもなんか話に不都合がありそうで怖いですなぁ。
まぁ気づいたら順次修正を加えるしかないのですが。
さて。まずはタイトルですか。
いやこれわからないですよね、短すぎるし。
発熱巫女〜ずの「DANCE with WOLVES」のサビです。
いやーあれですね。みんはやってあるじゃないですか、あのクイズアプリ。
あれ東方クイズ楽しいですね。曲からキャラ当てたりするのほんと楽しい。
でもやるたびにカラオケ行きたくなりますね。話を蒸し返すようですが、私が歌いたい曲少ないんですよ。「Floating darkness」とか。ぬえの曲です。
ああいうのって何基準で収録されるんですかね?お金払えば良いのかな?
なんなら好きなサークルに貢いで収録してもらいたいまである……。
あとにとりのくだり。なんのことはないです。
幽々子がk-phoneを持って毎回をでた為にとりのレーダーが反応を感知、向かったけど竹林に入れず周りの調査をしてたところです。
その辺は次回になるんですかね。
というか次回すぐ出せるかな?一応次から風神録になる。つもり。たぶん。
できたら良いな。
あとは‥‥咲夜ですか。書いててちょっと空回りさせすぎたかなぁとは思いましたが。あれはあれでレミリアの反応が良さげなのでこのままかなぁ。
咲夜の時間停止って無敵に見えるのにそういう表現も展開も原作で見ないのは多分時間制限かデメリットがあるからだと思うんですよね。例えば時間停止中を肉体は歳を取るとか。
恐らく気軽に使わないんじゃないかなぁ?どうなんだろう。
あ、レミリアの為ならいくらでも使いますよ多分。それこそ紅茶入れる程度でも。
という訳です。更新は未定。それこそもっと忙しくなるかもしれんし。
永夜異変その後も書くかも知れんし。どーすんだよこの量。
ではまた。会えたら会いませう。