東方逃亡精   作:鼠日十二

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ちょいと短くなりました


信仰は儚き神様のために

 工房にて。

 

「完成図は決めてるんですか?」

「何となく。カメラの遠距離版みたいなイメージで、遠距離から映像を送れるようにしたい」

「また没収されますよ、それ」

「一回きりだ、使ったらすぐ破壊かなんかすりゃばれないさ」

「どんどん対応が雑になっていく……。そしてそれでもいいかと思える自分がいる……」

「バレたら助手のせいにしよ」

 

「何か言いました?」

「いいや、ほら、さっさと作るぞ。音声送れるなら同じ要領で行けるはず、さっさと仕上げようぜ」

「了解です」

 

 

 

 

▽▽▽▽

 

 

「……思ったより時間かかったな」

 

 

 そう言ってにとりさんは小型で箱状の物体を持ち上げた。

 

 

「妖力を噴出して飛ぶ。記録した映像は妖波としてこちら側で受信する、と。じゃあ、操作任せた」

「りょうかーい」

 

 

 イメージはラジコンかドローン。

 私は映像を見ながら山の上方面へと箱を近づけて行った。

 

 

「その辺にしとこう。あとはズームして………うわ。天狗がここまで押し込まれてるのは初めて見たな」

 

 

 

 画面に映し出されたのは、天狗達と相対する一人の女性。

 

 女性の方が手を振り下ろせば、空から柱が何本も降り注ぐ。一本一本のサイズが尋常でない質量兵器だ。

 

 一人………一羽? を除いて、天狗はまともに抵抗することさえ出来ず吹き飛ばされている。

 しかしその一人が別格なのだろう、手に持つ団扇で風を払い柱を砕き、女性へと迫っていく。

 

 

 

 さて。一度落ち着こう。

 

 ……見間違えじゃないよね?他神の空似でなければ、あの女性は八坂神奈子……様。様でいいかな? 兎に角れっきとした神様で、原作キャラの一員である。

 

 そうかー。風神録始まっちゃうかー。原作では誰が自機として来たんだっけ? 今回は隠れてれば大丈夫かな?

 

 

 そんなことを考えていると、映像では戦局が変化していた。

 

 

「うーん。どうもあいつ、何かを守ってるみたいだ。多分天魔もそれをわかってるね」

「天魔……?」

「あぁ、説明してないか。天魔はあれだ、天狗で一番強いやつだよ」

「へぇ……。呼び捨てでいいんですか?」

「本人の前で言うわけないだろ? まぁそもそも会う機会なんてないけど……と。こりゃそろそろ決着かな」

 

 

 

 見れば、天魔は竜巻をいくつも起こし槍のように放っている。

 神奈子様の方は御柱をぶつけてそれを押しとどめている形になるが……完全に抑えきれていない。徐々に柱が砕けていくのが見て取れる。

 

 原作キャラが負けるのは……いや、もちろん天魔も原作キャラなんだけど。どうにも落ち着かない気分だ。

 

 だから、私はなんとなく。

 

 

(頑張れー! 神奈子様!)

 

 

 本当に軽い気持ちで、心の中で少しだけ応援した。

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 神奈子は驚愕に目を見開いた。

 御柱のヒビが修復し、力がほんの少しではあるが回復した。

 しかしその差は、一旦この状況を仕切り直すには十分だった。

 

「破ッッ!」

 

 気合と共に神奈子は天魔を柱ごと吹っ飛ばすと、そのまま後退し神社へと降り立った。

「諏訪子」

 

「───どうしたの」

 

 隣にするりと諏訪子が現れる。

 

 

「先程僅かではあるが()()()()()ぞ」

「はッ!? あり得ない、だってここには私たちを知る存在など──」

「輪廻転生」

「…………まさか」

「あり得なさすぎて期待などしなかったが──私たちを信仰する者の魂が此処で転生を果たし、尚且つ前世の記憶を持っていてさらに私を認識した可能性は……零ではないな?」

「そんな……奇跡的な……」

「そうさ、奇跡だ。だがうちには奇跡を起こすのが得意な奴がいるだろう?」

 

 

 自分達の最後の巫女を想う。そうだ、そうなのだ。人を救うのが神で、神を救うのは人なのだ。

 

「………ふふ。そうだった。で、それだけを話しに来たんじゃ無いんだろう? 大方、その存在を近くに呼べないか、とか」

「そうだ。頼めるか?」

「任せて。人か妖怪か知らないが、連れてきてあげる」

「彼方からだ。頼むよ」

 

 方角を指さしてから、神奈子はまた空へと浮かび上がった。

 

 

 

「さて。じゃあ私も……」

 

 諏訪子は思い切り跳ね上がり、上空から地上を見下ろした。

 

「……うわ、ほんとだ。確かに信仰……信仰? なんか違う気もするけど……確かに崇められてる感じはするね。さて、何処から……?」

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

「おっと、巻き返したぞ」

「本当ですね」

 

 私の応援が届いたのか、神奈子様は竜巻の槍を押し返した。しかし画角が遠すぎて、大まかな様子しかわからない。

 

 

「これ以上近づいたら壊れそうなんですが」

「もうちょっと待ってくれ、今いいところなんだ」

「にとりさんは結果だけ知れればいいんでしょ?」

「なんでさ」

「え?どっちに商品を卸すのか決めたいから気になっているのかとばかり……」

「まさか。どっちにも卸すに決まってるじゃないか。新規顧客大歓迎だ」

 

 

 そういえば神奈子様って技術革新とか大好きだっけ?

 そういう意味ならいいお客さんになるのかな……?

 

 

「ん? もう一人増えたぞ?」

「どれです?」

「ほら、此処。ちょっと近づいてみなよ」

 

 

 そう言われてドローンを操作すると、小さな人影が映った。

 

「増援かな?」

「……さぁ、なんでしょうねー」

 

 私は画面から目を離し、下手くそな口笛を吹いた。

 

 まぁいらっしゃいますよね。諏訪子様。

 実は諏訪子様割と推してた。まず曲がいいんだよね…………

 

「………なんか近づいてきてないか?」

 

 あとこう……小さいけど威厳あるというか……神様らしいところがギャップ萌えというか……

 

 

「ちょっと? 助手? 助手! 来てる、来てるから早く操作っ」

「え?」

 

 

 見ると、画面いっぱいに諏訪子様の顔が映っていた。

 目が合う。思わず体が竦む。

 途端に諏訪子様は笑みをぐーっと深め、何か呟いた。

 

 

 

 すると、画面から黒くうねうねした触手が大量に出てきた。

 

「気持ち悪っ!」

「こりゃまずい、撤退! こんな厄の量、雛のとこでも見たことないぞ!」

 

 にとりさんが部屋の出口に突進した。

 私も急いで逃げようとして、なぜか思いっきりずっこけた。

 

「ぐべっ」

「助手! 足、足!」

 

 見れば……足首に何かが絡まっている。

 

「あ」

「じ、助手ぅ!」

「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………」

 

 

 そのまま私は絡め取られ、画面の中へと引っ張られていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 残されたにとりは呟いた。

 

「………助手、権力者との関係づくりに非常に有効なのでは? いやむしろ貸出キャンペーンでもやるか?」

 

 

 

 

 
















おっしゃ!これや!こういうゆっくりさでええんや!
スローペーススローライフ、これ大事


別に作者は諏訪子様が特別好きなわけじゃないです。
私の推しはにとりと幽香、あとお燐ですし。




私最近の東方作品を履修してないんですよね。
正直な所輝針城辺りからほとんど分からないです。キャラだけ知ってる。
曲はギリギリ。ストーリーは壊滅級。

どんどん新しい作品が出て行きますよね。私、最新作品は東方鬼形獣だと思ってたんですけど、東方剛欲異聞というものがあるそうで。
なんだか図らずとも懐古厨みたいになってきたなぁ……
でも紅魔郷はやっぱ群を抜いてますよね。個人的な意見ですが。
最初の曲からいいですもん。道中曲とボス曲どっちも完成度が高いってすごい………すごくない?
紅魔郷で言えば魔法少女達の百年祭が好き。EXテーマ曲ですね。
さらにそのアレンジの夕立、君と隠れ処も好きです。unオーエンもいいけどね。




後書きのテンションが段々下がってきた気がするのは恐らく周りに東方勢がいなくて語れなかった鬱憤を今までの回で語った事で晴らせたからですかね……?
ではまた。
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