今日は週に四日の方………つまり。
私が神社で働く日である。
結局天狗とは、神社に不可侵という事で話がついたらしい──。らしい、というのは私が気を失っている間起きた出来事であるから。
あとで早苗さんに聞かせてもらったが、本人もあまり詳しくはないようだ。
巫女服に着替えた私はまず早苗さんを探しに行く。
今日一日の修行と仕事内容は早苗さんが把握しているのだ。
……この時間帯ならおそらく台所にいるかな?
果たして早苗さんは台所で何やら考え込んでいた。声をかけると少し安心したような表情を浮かべる。
「あ、ヴィーさん。ちょうどいいところに」
「どうかしたんですか?」
「今お客さんが来てるんだけどね……。先程挨拶に伺ったらすっごい目で見られて。今は神奈子様が対応してるんだけど、正直もう会いたくないの」
誰だろう? わざわざ神様に会いに来るくらいだし、神奈子様がしっかり対応してるってことは多分偉い人だよね。
「そんな目つき鋭い方なんですか」
「うーん。鋭いというよりはなんかねっとりしてるというか……とにかく。その……お茶、運んでくれない?」
「え、私だって怖いんですけど」
「この通り!今日のおやつ私の分もあげるから!」
「ゔっ……それは………。し、仕方ないですね。お茶くらいなら運びますよ。それだけでいいんですよね?」
「ありがとう! あ、最初に作法だけ教えとくわね」
早苗さんから部屋の入り方を教わりながら私は考えた。
視線がねっとりしたタイプ……?
そんな人いたっけ? もしかして原作に出てこない人かな?
ならまぁ……そんなに気負わなくても良さそうだね。
▽▽▽▽▽▽▽▽
襖の前に正座し、声をかける。
「失礼します」
そのまま引き手に指をかけ、ゆっくりと開く。一礼。
「お茶をお持ちしまし…………は?」
「どうした?」
「あ、いや、神奈子様、ええと………」
顔を上げてから変な声が出た。
くすくす。
神奈子様の向かいに座る女性が扇子で口元を隠し、堪え切れないというように笑う。
「久し振りね。巫女服、とてもよくお似合いよ……妖精さん」
「なっ……何故ここに」
「あら、幻想郷の管理者たる私がここにいてはいけないのかしら?」
そう言って紫さんは胡散臭い笑みを浮かべた。
そこからは地獄だった。
用事を済ませて真っ先に退出しようとする私の足元に現れたスキマは、紫さんの膝の上への直通ルートだった。
私を膝の上に乗せたまま、紫さんは話を続ける。内容は弾幕ルールについてだったが……正直それどころじゃなかった。
時折神奈子様がこっちを見るのだ。その視線に乗せられた感情は理解できなかったが、できなかった方が良かった気がする。
これで怒ってるのがわかったりしたらほんとに胃が持たなかった………。
さらに紫さん、時折私の耳のそばで何か呟くのだ。
曰く、
「あの神様に技術を教えてはダメよ」
「アレを作ったこともね」
やらなんやら。その度に神奈子様の視線を感じて、無いはずの胃がキリキリ痛む。
さらにはとんでもないことを言い残していった。
「近いうちに貴方の元雇い主が迎えに来るわよ……姉妹で」
……その後のことはあまり覚えていない。
なんだかぼんやりしたまま紫さんを見送った後、神奈子様の追求を必死に誤魔化しながら家事をこなす。
神奈子様は一度は引いてくれた。しかし諏訪子様に話が伝わると私は逆らえないから、結局いつかは事情を説明しなきゃならない。
いつ、どう説明したものかと悩んでいるうちにすっかり日が暮れてしまった。
基本的にはにとりさんの家に帰っているが、週に四日こっちに来る以上、一度こちらで泊まる日がある。
今日はその日だった。
仕事の一環として床を拭きながら、紫さんの言葉について考えてみる。
……しかし、
(何故フラン様も来るんだ?)
最も気になるのはそこだった。
(レミリア様や咲夜さんなら分かる、私は一応仕事を放り出した立場だし。一介のメイドにかける労力ではない気もするけど……。フラン様との接点は……?)
実際会ったのは一度きり、咲夜さんが侵入者の対応やらに追われていたために私が配膳を任されて……。
思わず太ももをなでる。そう、私はそこで足を片方失った。
あの時、フラン様は何と言っていたっけ?
───『遊び道具にもならないなんて』
……そっか。フラン様は私を壊し切れなかったんだ。だから、私が遊び相手になれると思ったのだろうか。
冗談じゃない。フラン様のいう遊びが最後にどこに行き着くかなんて決まってる。相手を壊してしまう能力ゆえに、行動が制限されているというのに。
妖精になった私だって、死が怖くない訳じゃない。いくら生まれ直したってそればかりは治らないだろう。
もしかしたら普通の妖精はそうじゃないのかもしれない。けれど私は、もともと人間だから。
……そう、人間だったから。
怪力もなく、特殊な能力も使えず。死ぬ時はあっさり死ぬ弱い生き物であるが故に、死を恐れる。
死を恐れるが故に、私は──
一度人間としての生を手放したのだから、なおさらに。
……それでも。逃げ出したけど、その生活の全てが嫌だったわけじゃないのだ。咲夜さんの無茶振りだってキツかったし、自由気ままな妖精メイドをまとめるのは骨が折れたけど。
それでも1匹の妖精として扱ってくれたんだ。
……そうだ。これを、私が遣り残したメイドの仕事納めとしよう。
フラン様に伝えるんだ。失う怖さを。
それにフラン様が能力を制御できるようになったら、別に私は逃げなくてもいいんだ。
なに、ダメだったら逃げればいいさ。なるべく迷惑はかけたくないけど、永遠亭に匿ってもらったりして。
よし。方向は決まったが……方法が決まらない。どうやって私の気持ちを伝えよう?
私だけの力じゃ無理だ。身体能力も妖力も、何もかもが負けている。
ならば、せめて対等な土俵に持ち込める何かを──
▽
翌日。
私は神社の境内を箒で掃いている早苗さんに声をかけた。
「ねぇねぇ早苗さん」
「なんでしょう」
「私と一緒に………
早苗さんは意外そうな表情を浮かべ、それから嬉しそうに両手を合わせた。
「良いんですか? 良かった、私から神奈子様や諏訪子様には頼み難くて……」
「ぜひお願いします。私みたいな妖精でも勝てる可能性がゼロじゃないと聞いて、ちょっとやってみたくなっちゃって」
「らしいですね、しかも怪我も少ないとか。……正直、安心しました。妖怪がいっぱいっていうから、退治とかしなきゃいけないのかなってて思ってて」
「まぁそれを生業にしてる巫女もいますけどね」
「え? 私の他にも巫女さんがいるんですか!?」
「いますよ、すっごい強いのが」
「ヴィーさん」
早苗さんががしりと私の方を両手で掴んだ。
「一緒に強くなりましょう……! 目指せ、打倒巫女!」
「お、おー! ……………え? 私も霊夢さんと戦うの?」
とは言ったものの霊夢が出るかは決めてません。
で、私。皆さんもお分かりだと思いますが、これから決戦用のオリジナルスペルを一から考えなければなりません。
これがまた面倒でして……。
おそらく次の更新は遅くなるかと。
一応いくつか考えてはいるんですよ?
月呪「ミス・パラレルワールド」とか、
虚像「ミスター・ミスメイカー」とか、
反射「ムーンライト銀河」とか。
多分上記のは出ます。
……………え?聞いたことがある?
そうですね。私の好きなバンド、あるいは歌手の曲名から貰ってます。
絶妙に雰囲気がスペカ名にぴったりでして、つい。
今回のタイトルはなにも思いつかなかった私の敗北です。
くっ………
テウルギアは神へのお祈りの儀式みたいなもんです。
パッと頭に思いついたので書きましたが、私の中でめちゃめちゃ収まりが悪いです。内容に関係ないんですもの。
でもこれ以上降りてこなかったのでこれにしました。
また後で思いついたら変えるかもしれないです。
話見て「あれ?こんなタイトルだったっけ」と思ったら多分そういうことです。
ではでは。またね
追記
誤字報告ありがとうございます
感謝しかないです
あれです。微妙なラインでも報告してくださって構いません。
その時その時の判断で直しますんで