「なんかふわふわしますね」
「酔い易いのかもね。さて、あんなとこで何してたか聞かせてよ」
「とは言っても、そこまで言えることないんですよ……」
少女説明中……
ヤマメさんは難しい顔をした。
「出口。出口ねぇ、無いわけじゃないけれど」
「何かまずいんですか?」
「そりゃね。なんだかヴィーって美味しそうなんだよね……いや、妖怪とか怨霊的な話ね」
「その補足嬉しくないです」
「いやぁ悪い、別に今とって食おうってんじゃないよ。ただ気をつけたほうがいいね、こう言う街から離れれば離れるほど話の通じない奴が多いのさ。で、唯一の出口、地上と地底を繋ぐ大穴は地底の端の端にあるんだ」
「………えっと、つまり」
「一人で行かないほうが良いってこと。……さぁ、そんなことより飲んだ飲んだ、酒の席は楽しい話をするもんさ」
そう言ってヤマメさんは酒を注ぐ。
えへへどうもと笑って私が飲む。
注ぐ。飲む。注ぐ。飲む…………
▽▽▽▽▽▽▽▽
目の前の机に突っ伏してすやすやと寝息を立てる妖精を見ながら、ヤマメは思案した。
(……地上と地底の不可侵条約、結んだのはさとりと八雲紫。関わらないと決めた相手のところに自ら誰かを送り込む……やっぱりあの妖怪胡散臭いね。まぁ良いさ、この妖精が嘘を言っているかどうかなんてここ地底ではすぐにわかる)
ヤマメは妖精を背負い、勘定を済ませ大通りを歩き出した。酔い覚まし程度にはなる距離を歩き、突き当たりにある大きな門を通る。
そのままずんずんと敷地内に足を踏み入れ、勝手知ったるとばかりに扉を開けた。
「さとりー!いるー!?」
屋敷内に声が反響する。暫くすると、二階の部屋の扉の一つが開き、少女が降りてきた。
そのままヤマメとしばし目を合わせ、深くため息を吐く。
「………面倒事ですか」
「面倒なことは早めに片付けたほうがいいよ、さとり」
「はぁ。それにしても一体何処でこんな……は? 網にかかった? いくらなんでも迂闊すぎるでしょう」
「ねー。正直、私もそんなに疑ってないよ。あくまで確認」
「それで面倒を見なきゃならないとは……まぁ。いいでしょう。ところで」
「なに?」
ヤマメは首を傾げた。
「うちのペットのお空を見かけませんでしたか? ……あ、その想像であってます。見てない……そうですか、わかりました」
「家出でもしたんじゃない?」
「……こんなことを言うのもアレですが。あの子、そんなに頭が良くないので、遠出しないように言いつけているんですよ。すぐ迷子になるから」
「んーー……まぁ、見かけたら教えるよ」
「ええ、それで大丈夫です」
「じゃあ、後は任せた」
後には泥酔した妖精が残された。
ぷんぷん香る酒気と面倒事の気配に、さとりは再度ため息をついた。
「お燐。お燐!」
「はいはい、なんでしょう」
「この妖精を何処か適当な部屋に寝かせておいて」
「承知ぃー」
▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「……ここ、何処?」
どうして目覚めると全く知らない天井ばかりなのだろう。
よく思い出そう。
昨日は、確か、ヤマメさんとお酒飲んで、ええと……
ええと?
……怖っ。なにも思い出せないじゃん。とりあえず部屋出よう。
ベッドから降り、ドアノブに手をかけようとして───
「起きたーー!!??」
バン!
バキッ!!
扉が向こうから開き、私の顔面にぶち当たった。
「うぇ!?起きてたのかい!? ……だ、大丈夫?」
鼻! 鼻がつーんって!
私は涙目になりながら……泣いてるのを隠そうと必死に見栄を張って言った。
「痛くないです」
「……鼻血、凄いよ」
「……」
▽
「……私が」
今、私は鼻に綿を詰めている。正直かなり間抜けな姿なので、あまり見られたくない。
「この地霊殿の主人の古明地さとりです」
「ヴィーともうひます」
鼻が詰まって声が出ない。尚のこと……間抜けっぽい……。
「さて。ヤマメから大体の話は聞いています。地底を出たいとか」
「そうなんですよ、正直なところ知らない人ばっかりで怖くてもう帰りたいんですよね……」
「そうですか、私はすぐに帰しても良いのですが……」
「な、なんでしょう」
さとりさんの目が光る。私は余計なことを考えないように、脳内で『少女さとり』を爆音で流した。
「実は今ここ地霊殿は人手が足りないんですよ。なので、暫くここで働いていただけませんか?」
「………へ?」
「報酬として地底を安全に脱出させると言うことで」
ヤマメさんに聞いた話では、大穴周辺は危なげな怨霊やらなんやらが多いらしい。
……でもあまりここにも居たくない。だっていつボロが出るかわからないから。
「……ちなみにいつまで」
「今何処かへ行っている私のペットが戻ってくるまで、です」
「ぐ、具体的には……?」
「大丈夫ですよ、一週間もすれば戻ってきます」
一週間。それまで原作のことを………原作!?
不味い、考えてしまった!
思わずさとりさんを見る。
さとりさんは首を傾げ、
「どうかしましたか?」
「いえ、なんでもないです……」
……あれ?ばれてない?
もしかしてサードアイがこっち向いてなかったりしたら心が読めない……とか? それなら大助かりなんだけど。そんな都合よく行くのかな。
とにかく、だ。
うーん、一週間ここで過ごすか、それとも自力で大穴を探して脱出するか。
どっちの方がいいのかわからないけど、怨霊に喰われるってのが不確定要素すぎる。復活できるか怪しそうじゃない? 魂まで食べるとかだと不味い気がする。
迷いに迷って、結局私は地霊殿で一週間働くことにした。
「……わかりました。やります。ここで働きます」
「ええ、宜しくお願いします。仕事内容はお燐に聞いてくださいね」
さとりさんが手ではつらつとした雰囲気の少女を示した。真っ赤な髪に二股の尻尾。そう、火焔猫 燐さんである。
「よし、これからよろしくね! 知ってると思うけどあたいはお燐。早速だけど溜まってる仕事があるんだ、ついてきて」
「よろしくお願いします」
▽▽▽▽▽▽▽▽▽
お燐に連れられて部屋から出て行った妖精……ヴィーを見送った後、さとりは今日一番のため息をついた。
先ほど聞いた心の声を思い出す。
『ヤマメさんに聞いた話では、大穴周辺は危なげな怨霊やらなんやらが多いらしい。
………でもあまりここにも居たくない』
(……
(八雲紫。地上の賢者。建前と本音の境界をあやふやにする事で心の声に真実と嘘を混ぜる……全く、実に厄介な能力です。あの妖精が八雲紫に関係が有るのなら、心の声が読めなくてもおかしくはない)
(……暫くは様子見ですね。八雲紫がなにを考えているのかは分かりませんが、用があれば向こうから接触してくるでしょう。その時にでも話を聞きましょうか)
………はい。前回で三日とか言いましたね。
違うんです。提出予定だったものの期日を間違えてて延びたので余裕ができたんです。
……これから次の更新予定書くのやめます。なんか嘘になりがちだし。
タイトルは発熱巫女の曲名から。
キャラ違いますがあれほどネクロファンタジアって言葉が似合う曲もないんじゃないかな?陰鬱な曲調がたまらないですねぇ。
今回の表現は言うなればお試しです。
心を読む際に7割読めないって言う表現の。
感想で良くいただくんです。さとりの能力判定。
跳ね返った7割はさとりがさとり自身の心を読むことになり意味がなくなります。だって自分の考えていることくらいわかるでしょう?……まぁわからない時もありますが。
これは私のイメージです。あくまで。
さとりの能力を「サードアイの視界の中の相手の心を読む」とし、その能力を反射するとするなら。
反射した7割も、「さとりが相手の心を読む」と言うことになるのでさとりがさとりの心を読む形となります。
正直なところ分かりやすさ重視です。私のためです。多分ここで複雑にすると場面表現がアホみたいに長くなり書いてる私が死にます。
あ、どうでした?取り消し線で表現してみたんですが。見にくかったかな?
話変えます。
さらりと地霊殿の中に入り込んでしまったわけですが、当然キスメとかパルスィとかも出す予定です。どうにかして。
地霊殿勢は最初から最後まで出てくるキャラ同士が(直接表現されていませんが)仲良さそうなイメージがあって好きですね。
と言うか。嫉妬心を煽る妖怪と心を読む妖怪ってなんかいい組み合わせですよね。さとパル……きりう氏の動画で5億回みましたね。
では。また。
更新日は未定です。
未定です。