にとりさんとは割と頻繁に連絡をとっている。
ここが地底だと言うこと、出口が大穴しかないこと、地上と地底の妖怪は不可侵条約を結んでいるらしいこと……などなど。
私がまた何処かにお世話になったと聞いて最初は商機だと意気込んでいたにとりさんだったが、
「心が読めるって? なんてこった、交渉にすらならないじゃないか」
「今の話も多分私経由で読まれるかもしれません ……考えないように努力はしますけど」
「うーん、どうしたもんか……あ、そうだ。最近八雲紫から技術提供の要求があったんだよ。あれを要求で済ませていいのかは甚だ疑問だけど」
「と言うと?」
にとりさんは先日あったという商談の話をした。
「簡単に言うと遠隔会話装置……没収されたアレだよ。しかも妖力の差に関係なく遠いところでの会話を可能にしろ、ときた」
「あー……距離によりますけど、確かに持つ妖力が多ければ多いほど遠くまで会話できますもんね。でもそれ、紫さん的にアウトなのでは?」
「知らないよ。で、妖力をため込む装置を内蔵することでどうにか実用までこぎつけたんだ。これを使えば、私が行かなくても会話できる」
「なるほど、それなら心読まれないかもしれませんね……」
そこからは近況報告になった。
勇儀さんの話をするとにとりさんはまぁまぁ驚いていた。私が原作で知っているより遥かに名前が知れ渡っているらしい……そもそも原作知識が合っているかどうか定かではないが。どちらかといえば二次創作に触れることが多かったし……。
さて。確か私がここに来て五日ほど経ったから、後二日で解放されるはず。
まぁにとりさんが来るならもう少し長くなるかもしれないけど、その前にまずはお空……お空にさん付けづらいなぁ……
ちゃん、かな?お空ちゃん。
うーん。仲良くなったらちゃんにしようか。
とりあえず、お空ちゃんを見つけなきゃいけない。
▽▽▽▽▽▽▽▽
このまえのおつかいは私がここにきてからした仕事の中では稀な方で、専ら洗濯やらなんやらの家事がメインになる。
すると、まぁ、メイドだった経験が生きてくるわけで。
私の仕事を見てお燐さんが感嘆の声を上げた。
「こりゃ驚いた。あたいの仕事なくなるかもねぇ」
「シーツ変えるとかそのくらいの軽い仕事なら余裕ですよ」
「本当に妖精かい? あたいの知ってる妖精はもっとこう……子供っぽいんだけど」
「実は他の妖精に会ったことないんですよ。だから他がどうなのかもわからないんですよね」
すると暫く考えてからお燐さんは言った。
「よし。今日はもう仕事終わるし、地底を案内するよ。もしかしたら他の妖精に会えるかもねぇ」
「いいんですか? ちょ、ちょっと待っててください。残り終わらせてきますから!」
「がんばれー……いや、楽でいいね。うちに就職しないかなー。でもなー……うちはさとり様が主人ってだけでハードル高いしね……」
地霊殿は常に人材難である。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽
案内されて都市中心部に向かう道すがら、私はお燐さんにいくつか気になったことを質問していた。
「お空さんっていつもふらっといなくなるんですか?」
「まさか。人型になれるとはいえあたい達はさとり様のペットだからね、基本的にはすぐ帰ってくるもんさ」
「となると、やっぱり今回が変なんですか」
「そうさね。元々お酒をとりに行かせたんだけど……」
「あ、もしかして私が行ったやつですか」
「そう、お空も慣れてるし──時間はかかるけど──道は知ってるはずだから、迷う方が難しいんだけどねぇ。一体どこにいるのやら。まぁ地底は広いようで狭い、そのうち見つかるんじゃないかねぇ」
私達は街をぐるりと一周するように見て回った。
地底にも甘味はあるようで、善哉やら大福やらが売られていた。
お燐さんはいくつか買ってさとりさんへのお土産にするらしい。
「基本的にさとり様にサプライズは通用しないのさ、言う前にバレるからね」
「なるほど……じゃあ、お空さんを連れて帰るのならサプライズになるんじゃないですか?」
「いいね」
▽▽▽
「さて、あとは川沿いに見てまわろうかね」
「地底にも川があるんですか?」
「地下水脈ってやつらしいよ、さとり様が言ってた」
暫く行くと橋が見えてきた。
……なるほど。確かに橋があるなら川もあって当然か。
欄干に肘をついて遠くを見つめる後ろ姿にお燐さんが話しかけた。
「久しぶりだね、パルスィ」
緑の眼が振り向いて、それから知り合いの姿を認めて緩む。
「あら、お燐。相変わらず能天気そうね、妬ましいわ」
「あたいにだって悩みくらいあるさ」
「どんなのよ」
「同僚が行方不明なのさ。ね、お空見てないかい?」
「それ、勇儀にも聞かれたわね。……それより」
パルスィさんがこちらを向いて言った。
「
「───ッ」
何故? いや、大丈夫、今の私はどう見ても妖精、羽だってある……。お燐さんも不思議そうな反応を返した。
「どうしたのさ、ヴィーは妖精だよ?」
「……はい、ええと、妖精のヴィーと申します」
パルスィさんは無言で近づいてきて、
「うひっ、くすぐったい」
私の羽の付け根あたりをさわさわと撫でて、
私の頬を両手で挟んで目を合わせてきた。
緑色に妖しく輝く目。きれい……
たっぷり数十秒も見つめあって、パルスィさんはそっぽをむいた。
「………………変な子」
パルスィさんは首を傾げながら語る。
「お空なら何日か前にここに来たわよ。その時に街の方向を教えたきり見てないわ」
「助かるよ、ありがとねパルスィ」
パルスィさんと別れてから私達は川を遡るように歩き始めた。
「……ほんと変な子。妖精なんて嫉妬心から一番縁遠いのに」
▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「でも、街にはいなかったですよね」
「うーん、地底じゃ誰がやったかなんてさとり様が見れば一目瞭然だから態々あたいたちに手を出すような奴はいないと思うんだけど……ん?」
パルスィさんがいた橋とは別の橋、その下から煙のようなものが漏れている。
しゅうしゅうと何か吹き出すような音。
「あれは?」
「間欠泉……? いや、あたいも知らないやつだ」
煙のもとにお燐さんが近づいていく。私はその陰に隠れてこっそり様子を見る。
「……お空!」
果たして、そこにいたのは確かに霊烏路空だった。橋の下の岸に打ち上げられるようにして横たわっていた。人通りが少ない郊外の、それも橋の下だから見つからなかったのか。
しかし……何か変だ。
お燐さんが手を伸ばし引き上げようとした、その途端──
「ぅ熱っ!! もしかしてこれ、湯気かい!?」
「ど、どうしましょう、背負ったらまずいですかね」
「焼け死ぬねぇこの熱さじゃあ。あたいは今から戻って荷車を持ってくるから、ヴィーはそこで見てて」
「わ、わかりました」
お燐さんはものすごい勢いで駆けていった。
私は未だ水に浸かっているところから湯気を吹き出すお空さんを見て、ようやく違和感の正体に気づいたのだ。
「……………あれ?制御棒は?」
どーも。
タイトルは今回は曲とかそういうのではないです。
地底の中にある太陽って言うシチュエーションが天岩戸に閉じこもった天照みたいだなー、とか勝手に判断したので。
さて。この小説、原作の動画とか見たりしてセリフを参考にしているんですけど、東方って原作がわりと不安定なんですよ。だからこそ二次創作が解釈の余地が広がって素晴らしいものになるんですが。
ええ。今回地霊殿で一番苦労したのはお空の能力についてです。
核融合を操る程度の能力………パッと見、というか普通に考えておそろしく強いですよね。原作にもある通り究極のエネルギーな訳ですから。
正直なところ、普通に能力を使用するだけで地上が滅ぶんじゃないかと。だって太陽と同じことするんですよ?
人間が今のところやっているのは核分裂です。誤解を恐れず説明すると、
原子には一番省エネな重さがあります。それ以上でそれ以下でもエネルギーを使う。
省エネな重さより重い原子を分けて二つにして、省エネにして余ったエネルギーを取り出すのが核分裂。
省エネな重さより軽い原子をくっつけて余ったエネルギーを取り出すのが核融合。
(私も詳しいわけではないので間違ってたら申し訳ないです。詳しい方いたら間違ってたら教えてください)
どちらもアホみたいにエネルギーが取り出せます。核融合はまだ実用化に至ってないんだっけ?
そんなこんなで普通に放置していい能力ではないと思うんですよね。
そういうところはもう諦めて多少の独自解釈と独自展開を入れることにします。今回のラストが最たる例だね。
では。最近中学生の時にやってたモンハンクロスをまた友人とやり始めて案の定どハマりしたので更新は未定です。エリアルたのちい