東方逃亡精   作:鼠日十二

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閑話 The Glitter

 

 

私が風呂場でのぼせた次の日の昼のこと。

 

 

 

輝夜さんの自室。その膝の上で私は話を切り出した。

 

 

「あのですね、輝夜さん。私、用事があるんですよ」

「聞こうかしら」

「昨日話したとは思うんですけど、その…………萃香さんにワイン持って行かなきゃいけなくて」

「そうね。でもその鬼、危険なんじゃないのかしら?ここにいた方が安全だと思うわ」

「そうなんですけど……。でも、ずっとここにいるわけには」

「あら。私は大歓迎よ?ずっとここにいても」

 

 

輝夜さんは私の顔を横から覗き込んで、耳元で言った。

背筋が震えた。

 

 

「鈴仙みたいに、ペットになってみる?」

「ええ遠慮します」

 

 

「あら残念。振られちゃったわ」

 

そう言って輝夜さんはくすくすと笑った。この人、たまにものすっごく底知れない怖さを感じる時があるのだ。年の功というやつだろうか。

 

 

「でも、そうね。もしかしたら他のお酒でもいいかも知れないわ」

「……というと?」

「うちにあるお酒、少し分けてあげるわ。少しだから、後は自分でどうにかするのよ?」

 

 

 

でも基本的には優しい。なんか孫に接するおば………………………年の離れた姉妹みたいな面倒見の良さ。

 

 

正直ここにはもっといたいけど、異変だってまだまだ見たい。それに……私の原作知識は、心綺楼あたりから殆どない。わかっているうちにもっと幻想郷の住人と触れ合いたいのだ。

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

というわけで、

 

 

 

「すみません、何から何まで」

「いいのよ。お土産話、待ってるわ」

 

 

輝夜さんに手を振りながら、私は鈴仙さんに連れられ竹林を歩き始めた。

 

 

 

 

▽▽

 

 

 

「姫様」

「永琳、別に私は気にしてないわ。貴女が私をここから出さない理由も解っているし、納得もしている。……だから、これくらいの我儘は許してね」

 

 

永琳はあの妖精のために協力することに別に異存はなかった。ここを動けない──正確には動かないよう言っている──我が主人の代わりにあの妖精は目となり口となり幻想郷を見て回る。些か口が軽そうなのが気になるところではあるが。

 

 

 

薬品で自我でも弱くしてみようか。いや、それでは姫様が悲しむかも知れない。自然に依存しているとはいえあの妖精も不老不死に近い。そこが姫様が安心して送り出せる理由の一つでもあるのだろう。鈴仙はまだ未熟だしてゐはそもそも戦闘に向いていない。

 

 

 

にしても。あの妖精が竹林で復活するのには理由が有るのだろうか?それが管理できれば苦労せず妖精を回収できるのだけれど……。そうね、このあたり研究すれば暫くは退屈しないかしら?

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

今回は何事もなく竹林を出ることができた。

私は鈴仙さんにお礼を言って紅魔館へと向かうことにした。

 

 

 

あまり余裕はない。というか正直なところ博麗神社に行ったら捕まる自信しかない。時刻は昼前……これは人間に合わせてある程度昼夜を逆転させたといえまだレミリア様とかはきついんじゃないかな、というのと純粋に夜は吸血鬼の力が増すから避けたいという理由が有る。

 

 

そして、これ。永琳さんにもらった密閉された小瓶。紐で結び付けられた小さな紙にはフォントのような正確な字で「処方箋」と書いてあった。

 

 

 

 

 

「処方箋」

・名称:微睡酒

・用法:経口摂取、或いは揮発成分の吸入。

 (経口摂取時は十倍の希釈を推奨)

・効能:睡眠導入、或いはその深化

 

 

 

 

つまりは、お助けアイテム。これを果たしてどう使うかが鍵かも知れない。飲ませるのが難しい時のために吸入でも良くしてくれたのかも?でも吸わせるのもなかなか難しい気がする。部屋の中とかなら私も被害受けるんじゃないかなぁ?こういうのは反射できるんだっけか……?

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

 

湖のほとり近くの木の陰から紅魔館を伺う。

 

 

 

 

美鈴さんは壁にもたれかかって寝ている……ように見える。

けれど油断はできない。美鈴さんの能力は『気を操る程度の能力』……寝ていても侵入者の気配を察知できている可能性がある。

 

 

 

ええと、まずは……

「美鈴さんをどうにかして、」

 

「おお!お前もあのでっかい屋敷を探検するつもりなんだな!」

「うぇ?」

 

 

後ろから聞こえてきた声に思わず変な声が出た。

慌てて振り返ると、

 

 

「……貴女は」

「ん?あたいのこと知ってるのか?」

「えーと、チルノさんですよね」

 

しまった。さんをつけてしまった。会う人会う人に「さん」とか「様」とかつけていたせいで初対面だと条件反射的に名前に敬称をつけてしまうようになった。敬語もそのうちの一つ。どうしても緊張してしまうのだ。

 

 

「あたいのことさん付けなんて……おまえ!わかってるじゃないか!気に入った、あたいの子分にしてやる!」

「えっ」

「ふふふ、あたい達は今からチームだ。リーダーはあたい、さんぼうは……あれ?どこ行った?おーい、大ちゃーん」

 

 

 

すると、森の方の茂みからがさがさと音がして、葉っぱまみれの少女が姿を現した。

 

 

 

「チルノちゃん、こんなところに……ええと」

「あ、はじめまして。ヴィーと申します」

「あの、私にはこれといった名前がないので、大妖精からとって周りからは「大ちゃん」って呼ばれてます。なのでヴィーちゃんも、そんな感じで」

「じゃあ……大ちゃん。そうなると、チルノちゃんって呼んだ方が」

 

 

「「それはダメ」」

「えっ……何故」

 

 

チルノちゃん……さんは胸を張って答えた。

 

「ヴィーは私の子分だからな!」

 

 

大ちゃんはというと、あたふたと顔を赤らめて、

 

「いや、なんでもないです。チルノちゃんがそういうのなら私もと思ったんです、ほんとに」

「変な大ちゃん」

 









大ちゃん「私以外の子がチルノちゃんのことを呼び捨てにしないの、なんかもやもやする………チルノちゃんにちゃん付けするの私だけだと思ってたのに」








どうも。三日天下のみずねです。でもスクショあるから無敵。


さて、タイトルは例の如く。原曲は確かリグルの曲だったと思います。テンポが良く乗れるので大好き。


次。大妖精について。
個人的に妖精はそれぞれ自然を体現しているものだと思っています。風の妖精とか日光の妖精とかそんな感じで。チルノは……氷、まあ自然に一応ありますし。じゃあ大ちゃんは?ここからは妄想になりますが、「大自然」の妖精なんじゃないかな、と。つまりは特化せず広く浅く自然に関する能力が使えるんじゃないかなぁ。そよ風を起こす、小雨を降らせる、草花を育てる……といったように。この設定は本作に出ないと思いますが。





さらにさらに。私は大チル派なのでうちの幻想郷は大ちゃんがチルノのこと好きです。もちろん友人として。……主人公の言動でそれが助長されてしまうかも知れませんね、もしそうなっても書くの私ですが。


当然妖精はどこか精神年齢が低いようなイメージで書いてます。そういう意味ではヴィーは結構異常な方です。妖精にしちゃ些か頭が良すぎる。まぁ何かあるんだろうな、とは幻想郷の方々は大体察することができます。でも今のとこ正体に気づいてそうなのは紫さんくらいですかね………。

あ、そういえばルーミアとかみすちーとかリグルとか出ないの?と思った方もいるでしょう。正直キャラが多すぎて台詞の使い分けがままならなくなりそうなのでやめとこうかなって思ってます。ルーミアだけとかならまだいけるかも知れませんが……それはまぁ次の話書く時決めます。


さて、次回は紅魔館潜入編です。
がんばってかくぞぅ


あ、最後に誤字の答え合わせしときますね。
私がやらかしていたのは「守谷神社」です
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