東方逃亡精   作:鼠日十二

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………ええ。閑話は完全にオリジナルで作風も違うくらいの覚悟の準備をしておいてください。簡単にいうならキャラが暴走しました。


閑話 濡れた床も赤く乾いていく日々に

「ひゃあ!?」

 

後ろから抱きついてきた彼女はこう言った。

「久しぶり、久しぶりね!遊びに来てくれたのね」

「フ、フラン様っ」

 

「ふふ、隠さないでもわかるわ!かくれんぼよね?それとも鬼ごっこかしら!ふふん、確かにここはあまり人が来ないけど、私はここをよく知っているのよ」

 

 

どうしよう、咲夜さんだって永遠に説教をしている訳ではない。本人が忙しいのでそれほど時間は稼げない可能性が高い。こんなところで遊んでいる暇はない………!

 

 

 

「今度も私が鬼になるわ!」

そう言ってフラン様はノリノリで部屋の隅にうずくまり、カウントダウンを始めた。

 

 

「この部屋の中で遊びましょ!20、19、18…………」

 

 

 

 

二十秒でワインを確保して逃走しなければ。それしか道はない。

適当なのを一本見繕って私はドアを押し開けた。

 

 

 

「10……あ、ダメ!この部屋から出ないの!」

 

フラン様が立ち上がって手を握った。私のワインを持っていない方の腕が吹っ飛んだ。

 

 

 

「躊躇なさすぎませんか!?」

「お姉様がいいって言ってたもん!」

「レミリア様何考えてんですか!?」

 

 

盗人猛々しいとはこのことである。

 

 

と、そんな二人の耳にこの空間では決して聞こえてはいけない類の音が聞こえた。つまり、

 

 

 

ピシリ。ピシピシ……パリン。

 

 

 

ヴィーが乱反射した破壊の力がワインの瓶に直撃した音である。

 

 

「「えっ」」

 

 

抵抗虚しくヴィーとフランはワインびたしになった。

 

 

……やばい。本能が警鐘どころかこの場所にいたら死ぬよりもひどい間に合うと訴えかけている。ヴィーは一目散に逃げ出した。

 

 

 

しばらく放心していたフランは目の前に広がる惨状にどう対処していいかわからず、しばらくあたふたしたあと涙目になって

 

「おねぇさまぁぁぁぁ…………」

 

 

とレミリアを探しに行った。

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

大広間にて。

 

レミリアは混乱していた。

何故かワイン塗れで胸の中でぐすぐすと泣いている妹、メイド妖精の証でもあるネックレスをつけていない妖精二人組。何かの余興だろうか?

 

 

 

「何用だ……いや、新人か?ネックレスは?」

大妖精はここでヴィーの名前を出して反応を見ることにした。

 

「ええと、ヴィーちゃんが」

「今なんと?」

 

大妖精から話を聞いたレミリアは静かにキレた。

 

呼応するように抱きついているフランが話し始めた。

「そうなのよお姉さま、ヴィー、ヴィーが……」

 

 

話を聞いたレミリアはものすごい勢いで地下室へ飛んで行き、その光景を見て思わず膝をついた。

 

 

しばらく肩を落としていたレミリアだったが、今度は肩を徐々に震わせ始めた。くつくつと笑う。

 

 

「ふふ、ふふふ……絶対に許さん」

 

とりあえず掃除が先だ。そう思ったレミリアは咲夜を呼んだが返事がない。探してみてもどこにもいない。散々館の中を彷徨き回って結局見つけたのは門のそばで美鈴に膝枕したまますぅすぅと寝息を立てるメイドの姿だった。

 

 

後ろから「やい吸血鬼!妖精たちを解放しろ!」と喧しい妖精の声が聞こえてきた。レミリアは無性にパチュリーと静かなお茶会がしたくなった。

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽

 

 

 

 

博麗神社にたどり着いたのは空が少し赤みを帯びたころだった。

 

 

「んお?酒の匂い」

縁側からむくりと小柄な少女が起き上がってきょろきょろと辺りを見回し、私に目を留めた。

 

 

「あれ?死んだんじゃないの?」

「死んだけど復活しました」

「復活したのに片腕ないの?」

「これの代償ですよ」

 

 

私は握りしめていた瓶を萃香さんに見せた。

 

萃香さんは私との距離を一瞬で詰めると、それを受け取って頬擦りした。

 

 

「よしよし、これが呑みたかったんだ。報酬、確かに受け取ったよ。お前も出るんだろう?ちょっと分けたげる」

「何にですか?」

「知らないで来たの?今日は宴会だよ。酒飲み放題。久しぶりに地底の酒も楽しめる」

「地底からみなさんが来るんですか?」

「そうだねぇ……」

 

 

「何してるんですか?」

「なんかいい匂いするね」

「あー……それは多分ワインが体にかかったせいですね……」

「ふぅん」

 

くんくん。ぺろっ。

 

 

「ななななにをするんですかっ」

「いや、味残ってないかなぁって」

「残ってる訳ないじゃないですか」

「悪い悪い。ほら、裏に温泉があるから入ってきなよ。宴会には間に合うと思うよ」

 

 

 

 

▽▽▽▽▽

 

 

宴会は何事もなく開催された。宴会は。

 

 

私はまず早苗さんに思いっきり抱きしめられた。

「その、腕は」

「これは治ります」

「死ぬほど心配したんです」

「……ごめんなさい」

「二度と離しません」

「……あの?」

「貴女はずっとうちにいればいいんです。きっと神奈子様も諏訪子様も賛成してくださいます」

 

 

徐々に強くなる締め付けを感じて私はようやく気づいた。早苗さんにものすごい心配をかけていたこと。そして今なんか変なスイッチが入っているらしいこと。

 

 

私は顔をどうにか離して辺りを見回し助けを探した。具体的には神奈子様と諏訪子様(保護者の方々)とか。けれど目があったのはさとりさんとパルスィさんだった。

 

 

 

二人はそれはもう楽しそうに嗤った。

一体さとりさんは何を読んだのだろう。

聞くべきだろうか?地雷だろうか?

 

 

結局神奈子様が回収しにきたのはそれから三十分ほど経ってからだった。

 

 

 

 

 

「ほらほら、呑みなよ」

「いや、そんないらないですって」

「ええ?私の酒がのめないの?」

 

 

萃香さんは酔うと面倒なタイプらしかった。それはいいのだけれど、肩を掴む力がやけに強い。冗談かどうかわからない。こわい。

 

 

 

仕方なく私は杯を受け取ってそれを飲んだ。

 

 

 

 

 

 

「あら、残念だけれど宴会はもう終わったわよ」

「いや、私が用があるのはそこの妖精だ」

 

 

そう言ってレミリアは眠りこける妖精を指さした。

 

 

 

「……何をするつもりかしら」

「いや、何。いろいろお世話になったので、そろそろお礼をしなければと思ってな」

「その割には随分とお怒りじゃない」

「ははは、わかるか霊夢」

「一体何したのよ……」

 

レミリアは咲夜に妖精を担がせた。

 

 

「止めてくるかと思ったが」

「人間だったら止めてたわ。見逃すのは……まぁ、借りを返したってあたりかしら」

「なるほど」

「あぁ、でも眷属にするのはダメね。紫が『あの妖精がどこの勢力にも属さないように気をつけなさい』とか言ってたの思い出したわ」

「……チッ」

「退治されたいの?」

「冗談だ」

 

 

 

 




どうも。みずねです。
というわけで次回が姉妹と楽しいお遊戯会(意味深)の時間になります。したいです。なるはずです。でも私は別の場所でお遊戯会をもう楽しんでしまったので非常に書きにくい。次の話は遅くなる気がします。さらに言えば課題と取っ組み合いする時間が来たのでそれも更新が遅くなるのに一役買ってる。



タイトルは超有名曲から。何で濡れたかって?そりゃワインですよ。

書き上げてやっぱり思ったんですけどこの閑話本編とのテンションの差が激しすぎません?なんか萃香ちっこいおっさんみたいになったしフランは幼児退行した感が否めないし早苗さんに至ってはヤバさしかない。大丈夫かなこれ。

そ、その分本編は頑張ります。出来るだけ原作を壊さずキャラの持ち味を壊さず少し殺伐めな幻想郷にしたい。

……むしろその反動で閑話がこうなったのかな?






では。また。どうでもいいですけど4時38分は3時98分ですよね。
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