東方逃亡精   作:鼠日十二

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時系列は紫が結界の異変に気付く割と前からスタートします。


神様stories

「待ってたよ、メリー」

「待たせたわね、蓮子」

 

 

メリーは蓮子の向かいの席についた。

 

 

ここは京都のとある大学の一室。メリーことマエリベリー・ハーンと宇佐見蓮子はオカルトサークル「秘封倶楽部」に所属する大学生である。メンバーはこの二人のみ……殆ど霊能的活動をしないので他のサークルからは変わり種として見られている。

 

理由は蓮子が選ぶテーマにある。

 

例えば数百年前存在したとされる「scp」とかいう物体を見つけに数日かけてジャンクショップやらなんやらを漁った挙句、見つかったのはプラスチックケースに入った「金属を食べる金属製の金魚」。

 

ちなみに飽きて実家に送りつけたらしい。この前水槽で泳ぐ金属製の金魚の写真を見せてきた。好奇心……というか怖いもの知らずは親譲りか。

 

 

 

 

「今日も骨董品巡りをするわよ」

「またなのね」

「いざ、まだ見ぬオブジェクトを求めて!」

 

 

 

 

 

ああ、疲れた。本当に疲れた。今日の成果はゼロである。

早く寝よう、今日は深く眠れるはずだ。

 

 

 

 

………しかしその日の晩メリーは夢を見た。それが本当に夢であるかの証明はできそうにないが。あるいは思考そのものが乖離して体を抜け出したような、そんな感覚。

 

 

 

 

気づけば自然の中にいた。緩やかな傾斜や小川のせせらぎなどを鑑みるに山ではないかとメリーはあたりを付けた。メリーはこれが夢であると自覚していたから、どうせなら普段行かないようなところへと、山頂まで登っていくことにした。

 

 

 

ふとメリーは足を止めた。木々の奥に薄い膜のような隔たりを──境界を視認したからだ。メリーは昔からあらゆるものの境界を視ることができた。

 

 

 

「夢に境界があるのかしら?」

 

 

 

ふらふらと惹かれるようにメリーは歩いていく。果たしてその境界の内側にあったものは神社であった。

 

 

「見たことない神社ね」

 

 

ではあれは神域のようなものなのだろうか?魔を退けるような類の境界?この目、種類までは分からないのだ。

 

 

 

それに触れるのは後回しにした。お楽しみは取っておくべきだし、この神社の周りを一周するのも悪くない。それに此処の空は随分と綺麗だ。蓮子がいれば時間が分かったかもしれない……彼女は星を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所がわかる。

 

 

 

だから目に焼き付けておこうと思った。夢の中なら蓮子といえど場所なんてわからない筈だ。少し驚かせてやろう。

と、そんなメリーの耳に話し声のようなものが聞こえてきた。人がいるのだ。夢の中の登場人物、一体メリーの知る誰が出てくるのだろうか?

 

 

ある程度の検討をつけつつメリーは話しかけようとして、固まった。話し声の主であった少女は知らない顔であったし、月の光を受けて輝く羽を持っていた。メリーにはとてもそれが作り物には見えなかった。それに少女が手に持つもの……誰かと会話している様子を見るに携帯だろうか?

 

 

幻想的な姿で携帯片手に誰かと通話するその少女のアンバランスさにメリーはこれが夢なんだと再認識した。

 

 

では、あの少女はいったい私のどのような内面の反映なのだろうか?心に浮かんでくる気恥ずかしい願望をどうにか振り払っていると、通話を終えたらしい少女が社へ戻っていくのが見えた。メリーは思わず手を伸ばして、

 

 

「待って──」

 

 

 

 

▽▽▽

 

 

 

「待って──」

「え?」

 

 

振り向いても誰もいない。……多分疲れてるんだ。レミリア様が『交渉は自分でやれ』とかいうから、私が守矢神社で巫女さんをやる日の変更を伝えなければならなかった。控えめに言って地獄だった。ニコニコというよりニタニタ笑う諏訪子様と何かの決心をしたような早苗さん。

 

 

半ば逃げるように席を外して今度はにとりさんに連絡した。流石にとりさん、こちらの事情をよく分かってらっしゃる。快諾してくれた。うう、何故か守矢神社が今一番いくの怖いなぁ……。こんなはずじゃないのに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

 

 

 

 

 

「珍しいね、メリーの方から呼び出すなんて」

「まずは見てもらったほうが早いわね」

 

 

メリーは蓮子の瞳に触れることで自分が見たビジョンを共有できる。蓮子はこの瞬間が緊張するらしい。曰く、

 

 

 

『私たち大体一緒にいるから、ほとんど同じものを見てるでしょう?だからこれをやる機会なんてそうそうないし、それに視覚を奪われると触覚に集中してしまうんだ』

 

 

 

 

それを聞いたあとの私のこの気恥ずかしさも共有しているのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……一つずつ整理させて。メリーはあの場所を知っているの?」

「知らないわ、あれが初めてよ。変な夢よね」

「あの妖精は?」

「妖精?……ああ、あの羽の生えた。まさか実在するとでも?」

「そう。判断材料は」

 

 

蓮子は指を折って数えるように説明した。

 

 

「一つ目。あの機械は数世紀前に使用されていた携帯とよく似ている」

「あの板状の?」

「そう。こんなところで骨董品店で得た知識が役に立つなんてね。二つ目、メリーが迷い込んだあの場所は実在する」

 

 

蓮子はマップでその位置を表示させた。

 

 

 

 

 

「博麗神社。私が見た月はそこのものだ。メリーの言う神社のような建物はおそらくこれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





どうも。みずねです。
どうにかこうにか大筋ができたのでまずはその第一歩を投稿しようかな、と。あと告知目的でもあります。

まず初めに、今回の話だけではいささか情報量が少ないので「矛盾してるんじゃない?」と思うようなところがあるかもしれませんがそれは次の話で説明します。ゆかりんが。
そう、次の回はいわゆる説明パートみたいになるかも。何を説明するかって?そりゃ幻想郷の在り方とかですよ。



秘封倶楽部はある程度の独自解釈がないと幻想郷と絡めたストーリーがやりにくくて……。

蓮刈、いいですよね。彼女たちの世界のうっすらとしたディストピア感がまた良い。あとなんですか発動条件が瞳に触れるって尊い無理


ちなみに文中のにとりは別に優しさとかではなく伝手ができるくらいの気持ちです。流石商売人。諏訪子様はこいつおもしろいなぁくらい、早苗さんはヴィーがレミリア達を迎え撃つのに手を貸しているのでまた危ない橋を渡るのでは?と心配。一歩間違えれば紅魔館にカチコミしそう。しませんが。



次。この先ストーリーの一連の流れを崩さないようにしたいので数話書き進めてから投稿しようと思っているので投稿ペースが壊滅します、すまぬ。




次。今回初の試みとして書くのにパソコンを使用しています。今まではスマホでした。心配なのは改行や文の間のスペースの空き具合が変わっていること。かなり読みにくいと思った方は言ってくだされば幸いです。



タイトルは暁Recordsさんの曲から。秘封倶楽部は(大空魔術や鳥船遺跡など含めると)曲が多いのでアレンジも多い気がします。



では。そんなすぐ投稿できないと思いますがお待ちいただけたら嬉しいな。




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