「十分だわー。あ、10ミニッツの方じゃないわよ」
「それくらいわかるぜ……」
「さてさて、始めるわ。今度こそ私の説が正しいことを証明してみせる、その第一歩よ!」
メリーを見失ってすぐ蓮子は考察を始めた。
実のところ幻想郷に迷い込む可能性は最初から考慮していたし何なら期待もしていた。ただ、蓮子は鳥居をくぐるとか祠の中を通るとか、明確な入口が存在すると無意識に先入観を持っていたので、メリーがそこに境界を見つけるだろうと考えていた。
しかし、メリーは音もなく消えた。これはつまり、メリーが境界に気づかずにあちら側へ行ったことになる。けれど、こちら側とあちら側に境界がない、なんてことはあり得ない筈だ。
だって、あちら側は『忘れられた神秘』が存在する場所だ。外との接触を断つ結界が存在しないはずがない。つまり、ここにある結界ははっきりとした膜のようなものではなく、もっと広範囲でそれ自体が結界の役目を果たすような、そう、例えば──
「森、とか。森自体がこちらとあちらを分断する結界だとしたら?」
なんとなく納得はできた。次。
どうやって私が向こう側に行くか。メリーを連れてくるのでも良いけれど、それじゃあつまらない。私だって幻想郷を見に行きたいのだ。
ひとまず蓮子は神社裏手の森の中に荷物をまとめて突撃した。けれど蓮子にはその辺の木々が歩けど歩けど変化していないように見える。数分歩いて訳のわからなくなった蓮子は後ろを向いた。
すぐそばに博麗神社の朽ちた本殿が見えた。
「成る程……いや、成る程。ふざけんな」
ただ通行止めしたいなら普通に見えない壁とか気づいたら別の場所にいるとかでいいじゃないか、わざわざ歩かせるなんて。蓮子はこの結界の作成者は性格が悪いと決めつけた。あながち間違いでもない。
そういえばここに来るまでの道のりでも私は景色が変わらないと感じていた。仕組みが流用されているのだとしたらメリーが迷わずここまで来れるのもおかしくない。普通なら博麗神社にすらたどり着けやしないのだろう。
あれ?じゃあ場所までやけに細かく書いてあるあのサイトは一体?
蓮子は再度博麗神社で検索した。サイト名は『博麗神社』、そのまんまである。クリック。
博麗神社の写真と位置が表示された。紹介文すらない殺風景なサイト。しかし写真があるということは即ち誰かがここに来たということだ。画面をなめるように見たりひたすらスクロールしてみたり、とにかく何か情報がないか四苦八苦していると、
『やあやあ!』
「うっわ」
画面が切り替わり、女性の顔がアップで映し出された。
『驚かせてごめんなさいね。待ちに待ったチャンスだからちょっとテンション上がっちゃったわ』
「チャンス?」
『そう、チャンス。その前にまずは自己紹介しましょうか。私は岡崎夢美。物理学の教授よ……あ、敬語とかはいらないわ。そんなに歳離れてないと思うし』
「飛び級ってこと?にしても若すぎると思うんだけど……」
『時間がないからさらっと説明するけど、貴女の住んでる世界と私の住んでる世界は違うのよ。並行世界ってやつね。ほらほら、貴女も自己紹介』
蓮子は言いたいことがいくつもあったが、一先ず後回しにした。思考の柔軟性こそオカルトの探求には肝要なのである。
「……宇佐見蓮子。超統一物理学を専攻している大学生だよ」
『蓮子ね。聞きたいことは多々あるでしょうけど、時間がないからさっさと本題に入るわ。幻想郷は知ってるよね?』
「もちろん。博麗神社が入り口だってのも予想はついてる」
『よかったー、説明しなきゃいけないかと思ったわ。じゃあ私の目的から説明するわ』
夢美は少しためてから言い放った。
『私の目的はオカルトの証明。特に魔力とかのね。そのために私は幻想郷に行く必要がある』
「……質問、いい?」
『いいわよ』
「夢美の世界の技術──こうやって違う世界で会話できるような──を使えば、自力で幻想郷に行けないの?」
『行ったわ。行ったんだけど碌にサンプルも得られないまま追い出されちゃったのよね。そのうえ学会が世界の均衡を乱す恐れがあるー、とか言って時空間移動を控えるように言ってきたのよ。これだから法則に取りつかれた阿呆は困る、視野を広げてみようともしない……』
蓮子は地雷を踏んだのを察した。
「夢美、その辺で」
『……ごめんなさい、ついヒートアップしちゃって。ええと、そう、とにかく蓮子には私と通信したまま幻想郷に行ってほしいのよ』
「どうやって?」
『えっ?』
二人の間に奇妙な沈黙が流れた。
『蓮子って自力で神社までたどり着いたんじゃないの』
「いや、案内してくれたのは私の友人なんだ」
蓮子はここに来るまでの大まかな流れを説明した。
『うー、親和性が高いのね、羨ましいわ』
「全く。行きたくても行けない人だっているのに」
『そうなると……追いかけるにしても、結界が邪魔なのよね。私はどっちかっていうと転移に近くて、結界は通らなかったから…………ねえ、蓮子、ここに来たのって二人だけ?』
「うん?そうだよ」
『じゃあ、背後のソレは──』
ぶつん。
▽▽▽▽▽▽▽
ぶつん。
通信が切れた。
「まっずい。蓮子がやばい」
「御主人さま、語彙力死んでるぜ」
「あー、えーと、まずは通信の復旧よね。さっさと済ませて観測を続けるわ。蓮子も流石に護身用の道具くらい持ってるでしょ。多分」
みずねだよ。
新キャラ出してしまったのは許してけろ。蓮子と教授は一度でいいから絡ませたかった。
皆さんって旧作ご存知です?私はそこまで詳しくないです。プレイしたことも一回展示品を触ったくらいですし。しかしながら旧作はWindows版に負けず劣らず魅力的なキャラが多いのですよ。サリエルとかね。
個人的には旧作は曲が魅力的だと感じます。『いざ、倒れ逝くその時まで』とかやばいですよね。あれ?サリエルの話しかしてないな?
おそらく一番旧作で有名なのは『Bad Apple!!』でしょうかね。旧作には詳しくないので余りはっきり言えませんが、アレンジ死ぬほど有名ですもんね。道中曲なんでしたっけ。
道中曲のアレンジって代表的な曲になる運命にでもあるんですかね?ボス曲もすこれよ。
ここから先は旧作知らない人は何言ってんのって感じだから飛ばしてもいいと思う。
さて。夢美さん出したはいいけどこの後すげぇ活躍するわけではないと思います。サイトを敷いたのが夢美さんってだけ。可能性空間移動船については……常識的に考えてオーバーテクノロジーで他の世界に行ったらその世界絶対本来辿る道筋から外れますよね。ってことで使用には許可が必要じゃないかなー、なんて思ったりしました。今回のはソレもありますね。
夢美さんと学会の溝は深いと思ってるので、互いに牽制し合ってたり知るんじゃなかろうか。特に統一理論なんて大層な名前つけてるくらいですから、これで全て証明しきったって自負が学会にはあるんじゃないかなぁ。
まぁ、夢見さんについても詳しくはないので独自解釈くらいに思って頂けるとありがたいですね。このキャラすっごい書くの苦労したんですよ。
喋り方が私にとって新鮮なんです。調べればわかると思いますが少し古いというかなんというか。ある程度知ってたり似た話し方のキャラがいればするすると口調を設定して書けるんですが、そうはいかなかったんです。何度語尾に(汗)ってつけようと思ったことか。何度脳裏に光彦に声が似てる船長が浮かんだことか……。色まで似てやがる。
今回はこの辺で。次はメリーさんサイドです。
あー、これも一応書かないといけない気がしますが、幻想郷と蓮子の世界の時間の流れは違います。神隠しとおんなじ。もしくはウラシマ効果的な。
蓮子が神社をうろうろしている間、メリーはだいぶ幻想郷の中で過ごしてるって事です。多分後の話で書くのでいらないとは思いますが、一応ね。