東方逃亡精   作:鼠日十二

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innocent

一息ついた私たちは食事をとるべく厨房を探していた。

 

「今更だけど、その食材全て天然なのよね……」

「天然じゃない食材があるんですか?」

「あるわよ、筍とか」

「合成タケノコ……すごい響きです。近未来的です」

 

 

メリーさんのほうを向いて話していたので曲がり角で誰かにぶつかってしまった。前方不注意。

 

 

「わぷっ」

「うお、悪い。……どっかであったことあるか?」

「あー、輝夜さんと遊びに行ったときでしょうか。お久しぶりです妹紅さん」

「……あれか。何でここに?」

 

「外来人の方を案内しておりまして、慧音さんが宿を貸してくれたのですよ」

「お前か。私は藤原妹紅ってんだ。よろしく」

「マエリベリー・ハーン、メリーでいいわ」

「私たち厨房を探しているのですが、場所知りませんか?」

「知ってるよ。今慧音が料理してると思うから、一緒に作ってきたら?案内するからさ」

「ではお言葉に甘えて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちはその場の流れで一緒に食事をとることになった。

 

「しかしさ。外来人なんて珍しい存在、輝夜のとこに連れて行こうとか思わなかったの?」

「実は私迷いの竹林の道わからないんですよね。今までは成り行きで永遠亭にたどり着いたというか」

「あそこ成り行きでたどり着けるような場所じゃないんだが」

 

 

「輝夜って?」

「メリーさんはかぐや姫ってご存じです?そのかぐや姫のことなんですが」

「実在したの?」

 

メリーさんはテンション高めで言った。

 

「ぜひとも会いたいわ」

「メリーさんは自分が危ない状況にあるって自覚しましょうね」

「ああ、妖怪に襲われたんだっけ?」

 

 

私たちは『妖怪に襲われた』ことは話したけど、『藍さんに襲われた』とは言っていない。藍さんにはそれなりの知名度があって、紫さんの腹心だってことは大体の妖怪は知っているから。こちらに落ち度がなかったとしても、幻想郷で藍さんに追われるというのは大きな意味を持つはずだ。

 

 

「ええ。たまたまヴィーに助けてもらったのよね」

「そうなりますね」

「なるほどなぁ。明日なら永遠亭まで連れていってやってもいいぞ。私も今日は泊まるから」

 

 

「えっ」

「言ってなかったっけ?慧音の都合が悪いならやめるけど」

「あ、いや、別にいいんだが。私明日も授業があるから面倒見られないぞ?」

「さすがに自分の面倒くらい自分で見るよ」

 

「本当か?ちょっと前までまともな髪の洗い方も知らなかったくせに」

「待て待て待て待て、いつの話だ」

「まさか『米のとぎ汁で十分』なんて台詞をこのご時世に聞くとはな」

「いいだろ米のとぎ汁。洗う頻度だって週一くらいにはしてたんだぞ」

「それがあり得ないと言ってるんだ」

 

 

持論を展開する慧音さんと妹紅さんを見てメリーさんは言った。

 

 

「……夫婦喧嘩?」

「メリーさん、それ以上はいけない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の朝は早い。メイドと巫女を兼業しているとどうしても朝早くから活動する必要が出てくるのだ。というか今思ったけれど妖精で巫女でメイドって属性の塊だな……別に嫌なわけじゃないけど、にとりさんの日とかは純粋に楽でいいなぁ、と思う。天敵(諏訪子様とレミリア様)とかいないし。妖怪の時間の流れはずいぶんとゆっくりで、もう休日みたいなものだ。

 

 

 

 

 

 

「……あ、おはようございます」

「お、早起きだな。感心感心」

「何か手伝いましょうか?」

 

 

「じゃあ……朝食任せてもいいか?昨日の手際ならそんな苦労しないだろうし」

「お任せください。和食ですよね?」

「うん。妹紅が和食派だからな」

「なるほど、了解です」

 

 

「ありがとな。私は授業の準備を……と。そうだ、ヴィーも出てみるか?」

「授業ですか?私妖精ですけど」

「大丈夫だよ、そんなのもいっぱいいるから」

 

 

ん?

 

 

「あくまで参考までにお聞きしたいのですが、チルノさんとかいらっしゃいますでしょうか……?」

「なんだ、知り合いか?まああいつは顔広いしな。ほかにも大妖精とかルーミアとかリグルとか橙とか。ああ、妖怪って言っても人を襲わないように言ってあるし人里では御法度だから気にすることはないよ……どうした、急に顔色悪くして。あ、おい!どこ行くんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドタドタドタ、スパァン!

 

 

襖が思い切り開かれる音で妹紅は目を覚ました。

 

 

「うっわ、何だ何だ」

「お願いがございます!」

 

 

布団の隣、妹紅の傍で妖精が土下座していた。やけにベテランの雰囲気を感じるのは気のせいだろうか?

 

 

「どうか、私たちをなるべく早く、具体的には授業開始までに永遠亭に連れて行ってはくれませんでしょうか!この通り!」

「なんかあったのか?」

「ええと、それはですね、ほら、メリーさんが妖怪が来るところにいるのが怖いと言っていて」

「うーん、ここに来る奴らは大体無害なんだがああああああああ、わかった、わかったから肩を揺らすな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事情を説明するとメリーさんは「もしかしなくても貴女アホね?」と言った。返す言葉もございません。

 

 

 

どちらかというと説得に苦労したのは慧音さんの方だった。

 

 

『大丈夫だよ。むしろ一緒に授業を受けてみないか?そうすればあいつらが気のいいやつだってわかるさ』

そういって参加を勧める慧音さんを断るのが一番つらかった。胃が……キリキリ痛む……。

 

 

 

朝食だけでも食べていけという慧音さんに逆らえず、また戻ってくる約束をしてギリギリで寺子屋を出発することができた。

 

 

 

 

 

うう……私永遠亭についたら胃痛に効く薬処方してもらうんだ……。

そんなことを考えていると、いつの間にか周りの景色は竹林だった。

 

 

 

「あとはまっすぐ行くだけだ。道を逸れなきゃ絶対つく。方向音痴じゃなければな」

「ありがとうございます、ありがとうございます」

 

 

 

「じゃあ、またな」

 

 

 

妹紅さんは最初から最後までいい人だった。今度何かお礼しなくては。

 

 

「ここなのね。風情があって素晴らしい場所ね」

「まさに幻想的って感じですよね……おお、あれです、あの建物」

 

 

私とメリーさんは永遠亭の戸を叩いた。

 

「ごめんください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あ、れ、視界がぐらぐらり、

 

どさり。隣で何かが倒れる音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










どうも。みずねです。

前回は全力で論理だてて、今回はフィーリングで書きました。日数的には前回が五日、今回が一日かかっております。


しかしながらたぶん今回の話のほうがおもしろかったのではないでしょうか。私は書いてて面白かったです。下手に順序だてて書くより脳内垂れ流しで書いたほうが楽だとやっと思い出しました。この小説の初期はずっとそんな感じで書いてました。





さて、永遠亭ですが。


個人的な感覚ですが、紅魔館は『概念干渉』系統の能力が多く、永遠亭は『生物対象』の能力が多いと思っています。



そのノリで行くと地霊殿は……『心身干渉』?なんか永遠亭と似た表現になってしまった。風神録はわかりやすいですよね、『自然干渉』というか『自然操作』というか。


妖々夢?んーーーーーー……。妖々夢も概念系ですかね?




ほんとさっさと更新したい。シンプルに時間がないのと体力がないのが原因です。でももうラストスパートのつもりなので次もなるべく早く更新します。

あとこの前の話クソつまらんと個人的に思っているので書き直すかも。本編に影響は出ないようにするよ。



では、また。
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