「あ」
「どうしました?そんな声出して」
「何でもないよ。ねぇ神奈子」
「……そうだな」
早苗が部屋を出てから二柱は顔を見合わせた。
あの妖精の信仰がどんどん薄れていくのを感じたからだ。
「あいつ、死んだかな?」
「妖精は消滅しないだろう。食われるとか取り込まれるなら可能性はないわけじゃないが、あの能力でそれは考えにくい」
「てことはやっぱり紫のしわざかね」
諏訪子も神奈子もここしばらく八雲紫が何かしているのには気づいていた。
「でもさ、そんなことよりさ」
「……早苗にどう説明しようか」
「神奈子は紫に話聞いてきてよ。私はその結果を踏まえて早苗に説明する役やるからさ」
対外的に神奈子が守矢神社での主神である以上、代表となるのはまあ自然なことなのだが。
諏訪子が自分の子孫の感情をもっと見たいなぁなんて思っているのもまた真実である。
「あんまり早苗に変なこと吹き込むなよ」
「しないよ。私たちのかわいい風祝にそんなこと」
神奈子は席を立った。
▽
レミリアは苛立っていた。
それもこれもどれもあの妖精が紅魔館に来ないことが原因である。
咲夜には自身の職務を停止させて捜索にあたらせたが、それでも見つかることはなかった。
ヴィーがいないと困るのは紅魔館の妖精メイド管理問題ではない。確かにそれも結構苦労するのだが、最も不味いのはそんなことではなく……
「お姉さま?」
「……なんだい、フラン」
「ヴィーは次いつ来るのかしら?早く一緒に遊びたいわ」
レミリアはいつも『フランが幸せになる運命』を手繰り寄せている。しかし、フランの狂気を収めようと幽閉しても何も変わらず、逆に幻想郷にきてからすぐ解決したように、その運命が実現されるまでの時間は行動によって変化する。
だからこそ、レミリアは待っていたくない。それくらいなら自分で情報を集めたほうがマシだ。
「私も探してくるよ。フランは待っていてくれるか?」
「……大丈夫?まえも一人で行ってそのたびに逃げられてたけど」
「う。今回は……捕まえられなくとも、手掛かりくらいは見つけてくるさ。それまでは……美鈴が一緒にいてくれるよ」
咲夜を呼んで、レミリアは外出した。とりあえずは守矢神社だ。
▽▽▽▽▽▽▽
「あら。何の用かしら?」
「見ればわかるだろう?この二人が揃ってお前に訊くことなんて」
レミリアは最初守矢神社に向かっていたが、途中で八坂神奈子を見つけたため話を聞き、同行する流れになった。
マヨヒガにいた式の式に紫を呼ばせて、待つこと数十秒。
「ええ、わかるわよ。あの妖精をどこへやったとかそういう話でしょう?」
「話が早くて助かるよ。……で?うちの巫女はどこだ?」
神奈子は重圧を発した。誰だろうとわかるような怒りが含まれている……が、あくまでこれはそういう姿勢を見せるためである。実際紫に圧をかけたところで意味はない。
「ふふ、それを説明する前に、その前後から話さなければね」
紫は話し始めた。自分の不利になる情報は伏せたまま。
特に、マエリベリー・ハーンの根源については一言も語らなかった。
▽
話は紫がヴィーをスキマに閉じ込めた場面に戻る。
「──こういうのはどうですか。私を結界と混ぜ込むんです」
「貴女が何を言っているのかわからないわ」
「紫さんの能力なら、私と結界の境界をなくすことができるんじゃないかと思ったんです。私の能力は『七割まで乱反射する程度の能力』……これは割合の変化以外に自分では制御できない。オンオフが効かないんです。私と結界を混ぜることで、
「……効果範囲は?」
「光線も跳ね返してしまうから、いつもは反射をごく僅かにとどめていますが、七割までなら……それこそ、私に向けられたものだと認識すれば視線だって跳ね返せるはずです」
紫は考えた。妖精は物理的に肉体を持たない存在だから混ぜ込むのは容易だろう。さらに精神はともかくその体は幻想郷で生まれたものだ。土地的にも親和性がある。加えて博麗大結界は今揺らいでいるから、混ぜ込んでも影響は少ないだろう。能力まで保持されるかはわからないが……。
「貴女という存在は限りなく薄れて消えることになるけれど、それでもいいのかしら?」
「……そりゃ怖いですよ。でも、そうしないとメリーさんが死んじゃうから」
「貴女がそこまで命を懸ける理由が分からない」
「幻想郷が好きだからに決まっているじゃないですか」
……やはり嫌いだ。幻想郷を一つの箱庭だと自覚しているこの妖精は。先に精神だけでも殺して、いや、反射されるのがオチか。
「いいわ。そこまで言うのなら、試してみましょう。ただ……貴女のそれはいくつかある選択肢の中の一つだと覚えておきなさい。失敗すれば私は別のやり方を実行するわ」
▽
「……ヴィーは存在の殆どを結界と融合させ、残った僅かな精神でもってマエリベリー・ハーンを神社から脱出させた、というわけね。博麗大結界はヴィーの能力を新たなシステムの一部として再定義することに成功した」
紫は最後に胡散臭い笑みを浮かべて言った。
「心配しなくとも、いずれ忘れるわ。
そして紫は消えた。
「……なあ、吸血鬼」
「どうした神」
「忘れるはずがない。だろう?」
「当然。まだ借りがあった」
「私はヴィーって名前の妖精を知ってるんだ。博麗大結界じゃなくてね」
紫は結界とヴィーを同一視しているようだが、博麗大結界に向けたものが反射されようが知ったこっちゃない。
記憶の中のヴィーという妖精に向けた感情は反射されない。
「それはともかくなんて説明すればいいのやら」
「お互い苦労してるんだな」
「「はぁ……」」
▽
と、ここまでならばヴィーの物語は悲しくとも一つの終わりを迎えるのだ。
ここまでならば。
ヴィーが消えたことはすぐに知れるだろう。
そしてそれを知ったほとんどの存在がヴィーを博麗大結界と同じものだとは思わないはずだ。
あれほど個性の強い存在を。
其処が紫の誤算である。尤も、結界と混ぜた本人なのでヴィーと結界を同一視するのは自然ではあるのだが。
さて。
多数の力持つ存在がヴィーのことを思い、意識し、その中のいくらかは大きな感情を抱くだろう。
すると、ヴィーの中にごくわずかに存在する八咫烏由来の神性が『想われる』ことによりエネルギーを得る。
それは徐々に力を増して、ヴィーという一個人に対しての亜種的
「……あれ?なんで私生きてるの?」
こんにちわ。みずねです。
相も変わらず最終回的なポジションが分かりにくくてほんと申し訳ない。何言ってんのかさっぱりわかんねえよって人はメッセージくれるとうれしいなぁ。
なのでここには解説は書かないです。恥ずかしいしそれ書けるなら本編でもっとわかりやすく書けよってなるからね。
さて、この小説は一旦ここで終わります。いまリアルがクッソ忙しいし、そろそろ落ち着いてハーメルン読みたいしね。書いてるとハーメルン開くのが執筆目的になっちゃって、新しく小説よもうって思えなくなっちゃって……
だからしばらく読み専に戻るつもりです。
気が向いたらまあ続きを書くでしょうが、いつになるかはわからないし、自分はこういう伏線とかを張るのすごく疲れたので大きなイベントはやらないと思います。
せいぜい行く先々で愛でられるヴィーを書くくらいかな?書けるのかな?
多分ひじりんは滅茶苦茶甘やかすでしょうね。
あとは……ゆかりんの想像してない方向に行ってるのでゆかりんが胃を痛めそう。ごめん、ほんとはもうちょっと優し気なキャラにするはずだったんだ……どうしてこんなsっ気が強いゆかりんになってしまったんだ……
と、とにかく。今現在死んだはずのヴィーちゃんが生きているとやつらにバレたらまた身柄を狙われ、平和な生活に危害が及ぶ。
八咫烏様の助言で正体を隠すことにしたヴィーちゃんは、聖さんに名前を聞かれてとっさに「え、あ、その、フィーです」と名乗り、やつらから隠れるために、弟が僧をやっていた聖さんの寺に転がり込んだ。
たった一日休暇が欲しい、見た目は子供、頭脳はお察し、
その名は、逃亡精フィー!
*上記の内容はフィクションです。実際はまだ何も考えてはいません。