ぼうっとしてたら三途の川を渡ってた。
「え?」
「『え?』ではありません。鬼退治に失敗する桃太郎がいるものですか」
「えっ? えっ?」
目の前で腕を組み、鋭い視線をこちらに寄越すのは緑髪の女性。おかしい、ここに来るまでの過程がほとんど思い出せない。る
「四季映姫・ヤマザナドゥ……!?」
「その通りです。記憶はうまく保持できているようですね」
「いや、全然覚えてないんですけど……ええと、ここにいるってことは」
「ええ。貴方は死にました」
妖精は自然と密接に結びついている。故に、妖精は死なない。勿論大ダメージなどによって消滅することはあるが、自然さえあれば一回休み扱いで済む。
「……死んだ。それは、
「おや、今回は随分と察しが良いのですね。その通り。魂と言ってもいい、貴方が亡くしたのはそれです」
死んだ。その事実はどうやら否定できないようだった。しかし、問題なのは、
「死因ですか? さて、花見かもしれませんし、日光浴かもしれません」
「いくらなんでも貧弱すぎません?」
「月に叢雲、花に風と言いますから」
全く答えになっていない。いや、意味があるのかも知れないけれど私には読みきれない。原作の会話みたいだ。
「器を編み上げるまで時間があるので、少しお話しを。ええ、貴方は少し迂闊すぎる」
▽
「──大体軽々しく過ぎた技術を持ち込むこと自体浅はかなのです。聞いてますか?」
「はい、はい、ごめんなさい……」
辛い。何が辛いって身に覚えのないことを延々と責められるのが辛い。一体私ってば生前に何をやらかしたわけ?
「良いですか。関わり過ぎないこと、俯瞰を貫くこと。これだけは決して忘れぬように」
「すみませんでした……」
あいも変わらず理解しにくい内容だが、ここで適当なことを言うと説教が長くなる恐れがある。私は頭の中で復唱した。
「ん、ちょうど良い頃です。貴方を帰す目処が立ちました」
「帰す……って、えっと、生き返るってことですか?」
「その認識でおおよそ間違っていません。良いですね、先ほども言ったように」
「不干渉、俯瞰しよう、ですね」
「……ふ、なんですかそれ」
ほんの僅かに口角が上がったその顔を最後に、私の意識が沈んだ。
「……それで? どれほど差異が生まれているのです」
「まあまあってとこだねぇ。河童に余計な技術を与えたのは不味かったかも知れないが、考え方によっては役に立つかもだ」
「例え役に立つとしても、それが幻想郷の正しい在り方ではないでしょう。我々が目指しているのは不変にして流転。この際です、貴方にもいくつか言いたいことが────逃げられましたか」