東方逃亡精   作:鼠日十二

50 / 67
時を超えて 銀河を行く
汽笛鳴らして
輝き出す その彼方
ふたりだけの旅へ


つづきのつづき
夜間飛行


──ここは、何処だろうか。私は、そう、私は死んだはずだ。それも精神の消滅という確実な方法で。

 

 

じゃあ、私はなんで生きているのだろう。周囲を見渡すが、月明かりの下では木しか見えなかった。森の中らしい。

 

 

取り敢えず、歩くことにした。口に出しながら思考を纏めよう。

 

「私は、ヴィー。妖精。ここは多分幻想郷で、私はその何処かの森に復活した。今現在の目標は森を抜けること、その後は……」

 

 

 

そのあとは?

 

最後の方は結構敵視されてた感が否めない紫さん、元人間だってバレてる諏訪子様、次こそ軟禁されかねないレミリア様、紫さんと繋がってそうな永琳さん。全員やばい。

 

 

つまり、知り合いに会うことそのものが死亡フラグになりかねない。確かに一度命は投げ捨てたけど、出来ることなら私も原作の流れは見ておきたいから、ちょうどいい感じの傍観ポジションがあるといいんだけど……。

 

 

ううむ。ううむ。というか──今は時系列の何処だ?私が知る限り最後の原作異変は地霊殿。すると次は星蓮船になる。その次は……何だっけか。そろそろ私の原作知識も危ういし、むしろ何処かに隠居するのもありか……?

 

 

「ん?何だあれ」

 

 

 

そんな私の視界に入ってきたのは……宙に浮かび、淡い光を放つ木片だった。恐る恐る様子を窺うが、向こうから何かしてくることはない。

 

 

おっかなびっくり触ってみる。途端、視界がひっくり返り、内臓がぐるぐるするような感覚に囚われた。

 

つまり、酔った。

「ゔゔ……ぐらぐら……やば」

 

 

 

そうして私は気絶した。後には「ちゅぅ」と声がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふあ。んん……?」

 

意識が覚醒して焦る。ここは何処だ?上半身を起こして辺りを見回す。知らない部屋だ、なんというか……質素。屋敷ぐらしばっかりの私には些か見慣れない部屋だった。

 

 

「おや、起きたのかい」

後ろから扉の開く音と共に声がした。ばっと振り向くと、

 

 

──知識として知っている少女が立っていた。

 

 

 

 

「すまないね、勝手に運んでしまって。倒れている君を見つけたものだから、どうにも放っておかなくて」

「あ……ええと、ありがとうございます。ヴィーって言います」

「ナズーリンだ」

 

 

ナズーリンさんは懐から昨日見た木片を取り出した。

 

 

「ヴィーが触ったこれ、妖精には少しばかり毒でね。力が詰まっているから、弱い存在はあてられて体調を崩したり様子がおかしくなったりする」

 

 

……聞き覚えが、ある。確か法力が詰まった木片。妖精の様子がおかしくなるのはこのせいで、これら一連の異変が出てくるのは──

 

 

「星蓮……船」

「ほう」

 

 

ナズーリンさんの目つきが変わった。不味い。思ったことを口に出すのはやめろと紫さんのときであれほど反省したのに!

 

 

「名前まで知っているとはね。聖輦船……誰かから聞いたのかな?」

「そ、そうです!森をうろうろしてたらたまたまそんな単語が」

「あの森には殆ど誰もいないよ。鼠が見てきたから隅々まで知っているけどね、妖怪や妖精なんて見たことがない──ヴィー以外はね。法力が強すぎて近寄らないんだ」

 

 

墓穴を掘ったらしい。

 

 

「で、君はあそこで何をしていたのかは……後で聞くとしようか」

 

 

ふと右手に何かの感触を感じる。見れば、手程のサイズの鼠が腕を登ろうとしていた。

 

「えっ」

 

 

気付けば部屋は鼠だらけ、その全てが私に迫って登って押し倒してきた。あっという間に私は身動きが取れなくなってあえなく沈んだ。

 

 

「動かないでね」

 

ナズーリンさんが私の額に何かを当てる。すると、視界が揺れて、気分が……悪く……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナズーリンは気を失った妖精を見下ろした。この妖精が森の中で態々飛倉の破片に触れたということは、その理由があったはずだ。私達の邪魔をする為か、はたまた別の目的か。ナズーリンには判断しかねた。

 

 

だから問い詰めよう。そのためにはまず逃げられない状況づくりから始めなくては。ナズーリンは鼠で予め仲間を呼んでいた。そろそろ来るはずだ。

 

「ナズーリン、なんだい用事って」

「雲山にこの妖精を船まで運んでもらおうと思ってね。頼めるかい、一輪」

 

雲入道を従え、尼僧のような服装で現れた少女──雲居一輪は快く了承して見せた。

 

 

「で、誰だいこの妖精」

「一輪も知らないのか。その妖精は『聖輦船』という単語を知っていてね、誰かの知り合いかと思ったんだ。妙に挙動が怪しかったからこうして連れてきた訳だ」

 

「ふうん」

 

 

 

ナズーリンはそうではないが、一輪は自らを救ってくれた聖の事を心から慕っている。だからこそ、人間に聖が封印された時は憤慨した。

 

憤慨して、それでもどうにもならなくて、地底に封印された。間欠泉の異常か何かで封印が壊れたのがつい先日の話だ。

 

 

これを一輪はチャンスと捉えた。次は私達が聖の封印を解く番だ、と。幸い寿命という観点でなら時間は腐る程ある。だから聖の復活が失敗するようなことがあれば、それは………

 

邪魔が入った時に他ならない。

 

 

 

残酷な事をするつもりはないが、一輪の中で殆どのものは天秤にかけた時聖の方に傾くのだ。この妖精が火種にならない事を一輪は祈った。

 

 

 

 

 







どうも。お久しぶりです。
久々の投稿で覚えている人がいると思えないので深夜に投稿します。というのは、投稿した後私は何時もアクセス数をちらちら気にしてしまうのですよ。なのでそんな変化がなさそうな深夜に投稿する事で気にしなくてもいいようにしようと思ったわけです。


さて!星蓮船ですよ星蓮船!
魅力的なキャラクターが多いですよね。私はナズーリンと星の主従関係もどきがすこすこのすこです。例の如く設定なんかを調べてから書いてるんですが、星を毘沙門天の弟子に推薦したの聖なんですね……。知らない事多すぎる。

聖の下の名前(?)は白蓮ですが、白蓮教と関係はあるんですかね?弟の方が出てくる信貴山縁起絵巻は本で見たことあるんですけど、呼んで字の如く絵巻なので絵しか見なかったんですよね。なのでストーリーがほとんどわからん。


まぁとにかくなるべく原作準拠、でも描かれてないとこは捏造していく方針です。ひとまず一輪は聖の事大好きだと思ってます。信頼的な意味ですよ。

ムラサは……まだ固まってませんが船長なので少し使命感ある、聖がいないときのリーダーみたいな立ち位置に置こうかなと画策してます。

星は設定を見て後悔してそうな雰囲気を感じたのでそういう意味ではほんの少しシリアス要員になりそう……かな?ナズーリンは星を元気づけられるのが聖の復活だけだと思ってるので飛倉の捜索に協力的なんですかね、妄想捗るぅ^〜。


今回はこの辺で。作者は別作品もあるので投稿は不定期です。こっちはなんか脳内の妄想垂れ流すだけで簡単に書けるので気が楽というかなんというか。更新しやすいのは明らかにこっち。


では、また。数日後にお会いできればいいな。









  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。