その妖精は見た目には普通だった。
一輪とナズーリンが連れてきた妖精。未だ気を失っている彼女を取り敢えず寅丸星は寝かせた。
ナズーリンの話では、何というか、言動やら何やらが怪しかったらしい。とてもそうは見えないけれど……。確かにナズーリンの観察眼は鋭いし、話を聞いておくべきなのだろう。
そう思いながら星はどうにもその妖精が害あるものだとは思えないのだった。
▽
目覚めてから二度目の気絶。どうにも不幸感が否めないが、私のせいでもあるので仕方ない。はて、ここは何処だろうか?
体を起こし、後ろを向くと、巨大な白い顔と目が合った。
思わず息を飲む。
「ひゅいっ」
「……」
顔は私をじっと見る。目を離したら死ぬ気がして此方も必死に顔を見返した。なんか体が震えてくる。自分がとても小さくなったみたいに錯覚して──
顔がへにょりと眉を下げた。途端に威圧感が霧散する。
同時に部屋に入ってきたのはこれまた見たことある人だった。
「起きたね、早速だけど来てもらえる?」
「あ……はい」
「悪いね」
案内され、私は一際広い部屋の席につかされた。机の向かい側にはナズーリンさん含め星蓮船メンバーが勢揃いしていて私の胃痛がやばい。
「始めましてだね。私は聖輦船の船長、村沙水蜜だよ」
「雲居一輪。こっちは見越し入道の雲山」
「寅丸星です。よろしく」
「知っての通り、ナズーリンだ」
「ヴィーです……その、ええと、よろしくお願いします?」
まとめ役はどうやら水蜜さんらしかった。
「さて、単刀直入に聞くけど。──私達の邪魔をするつもりある?」
「絶対ないです。本当です、神に誓ってそんなことしません」
「じゃあ、私達の船の名前は何処から知った?」
「それは………」
言い間違いは多分誤魔化せない。とすると……駄目だ、日常生活の中で星蓮船なんて聞く機会ないし、下手な誤魔化し方をしたせいで多分怪しまれてる!
と、言い淀む私に救いの手を差し伸べたのは星さんだった。結果的な話ではあるが。
「ヴィーさんは先程神に誓うと言いましたけど……もしかして、誰か神に仕えている立場だったりします?」
……神奈子様のことかな?
「ええ、確かに私はそういう立場です」
「やっぱり……!」
星さんは他の人たちを促して一旦席を外した。広い部屋には私と雲山さんだけが取り残される。
「あの……」
雲山さんが此方を向いた。あまり見られたくないので今がチャンスかも知れない。そう、
「触っても、いいですか……?」
雲山さんは凄く嬉しそうな顔をした。めちゃめちゃいい人じゃないか……怖がって申し訳ない。
▽
寅丸星は目の前の妖精を注意深く観察した。世間では人の味方という立場を取る星は、人間の「誰かを貶めたい」などの悪感情にある程度敏感だ。
だからこそ、目の前の妖精から全く悪意を感じないことが気になる。
「さて、単刀直入に聞くけど。──私達の邪魔をするつもりある?」
「絶対ないです。本当です、神に誓ってそんなことしません」
『神に誓って』……ですか。妖精が神という概念を明確にどういったものか認識しているのも驚きですし、それはつまり身近に神のような存在がいたからこそ……ということでしょうか?
神への誓いを立てることがあるような立場にいる?
星は気になって聞いてみた。
「ヴィーさんは先程神に誓うと言いましたけど……もしかして、誰か神に仕えている立場だったりします?」
「ええ、確かに私はそういう立場です」
やっぱり……!
聖の弟である命蓮は古くに東大寺にて戒律を授かったという。東大寺の本尊は
つまり、大日如来と同一視されている。そして、大日如来は神仏習合の観点からして天照大神と同一視されることもある。
……天照大神の遣いとして有名なのは、
つまりこの妖精から微かに感じる八咫烏の神性は、彼女が仕えている神が八咫烏あるいは天照大神にまつわるものということだ!
これらの事実から星が導き出した答えとは──!
▽
星は一旦雲山を残した全員を退出させ、先ほどの考えを話した。
「……つまり、姐さんの復活を見に来た、ってことか?」
「星の話が本当ならね。で、その辺確信はあるの?」
水蜜に話を振られた星は頷いた。
「聖と明確に仲の悪い神や本尊でない限り聖の復活は喜ばしいものでしょう。信仰を多く集めるまたとない機会ですから。ただ聖の信条が妖怪も人も平等に救うことですから、そこを見極めたいのではないでしょうか」
ふうむ、と水蜜は考え込んだ。が、思ったより物事は単純なのかも知れない。
誰が仕向けたのかははっきりしたのだ、後は適当に監視でも置いて自分たちは聖の復活に専念するのがベストじゃなかろうか。
「というわけでナズーリン、頼める?」
「ああ、鼠に見張らせとくよ」
「うん、じゃあ……あの妖精飛倉に当てられるくらいだからそこまで力は無いようだしね、ひとまずは監視って形で。ただ情報がダダ漏れになるのは困るから、勝手に外に出させないようにする……こんなもんかな?」
同意を得た水蜜は再び広間に戻った。
「おま……た、せ……」
そこには、過去最高の笑顔でヴィーをお手玉する雲山と、すごいすごい言いながら目を回して楽しむヴィーの姿があった。
雲山は子供好きだったらしい。
「……気ぃ抜けるわー」
どうも。みずねです。
星ちゃんには怒涛の勘違いをさせてしまいましたね……主人公と相手の温度差が凄い。
大日如来云々はあれです、神仏習合と幻想郷形成の時系列があやふやなので話半分に聞いてください。とにかくヴィーに対して勘違いさせられれば良かったというだけなんです。
さて、話は変わりますが。ひじりんの曲のアレンジは私「cosmic rainbow」とか「OMEN」が好きですねぇ。前者はとある手書き劇場のエンディングで聴いてハマりました。
喋らない霊夢とラージャンみたいな魔理沙と悪魔みたいな早苗さんが出てくるやつのひじりん回です。……ラージャン魔理沙、個人的にすっごい好きなんですよね。書きてー。
誰が『立体化する程度の能力』みたいなので小説書いてくれませんかね?急に弾幕が上下方向に動いたりする異変起こしたりしないかなぁ。「2D,2D or not 2D 」みたいなキチな感じで。
ではまた。投稿時間は未定です(戒め)
っhttps://sp.nicovideo.jp/watch/sm22353953?ss_id=fa5bea53-6ee9-4c3c-a2ea-d6d4b5e96848&ss_pos=4
こーいうの貼っちゃダメだったらおしえてね