東方逃亡精   作:鼠日十二

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Vagrant

『いつかきっと帰ってきますから!私たちを信仰して(信じて)くれたんです、今度は私たちが信じて待つんです──』

 

 

 

 

 

 

 

 

夜の守矢神社。早苗はとうに床につき、起きているのは二柱の神だけだった。酒を飲んでいるが、その顔は陽気とかそういう類のものではなかった。

 

 

 

「……強い子だね」

「当然さ、私の子孫だもの。こと執着という点に関して祟り神の一族がほかに負けるわけないね」

「言い方ってもんがあるだろうに」

 

 

 

 

ヴィーがいなくなって二か月ほど経った。冬はもはや明けかけているが、いまだ進展はない。早苗は帰りを待ち続けているが、神奈子と諏訪子はずっと気にする方が毒だ、とも感じていた。いい加減新しいことに目を向けなければ、過去にとらわれたまま風化してしまう。人間の命は一つのものに固執し続けられるほど強くはないのである。

 

 

……と、そんな時であった。

 

「──!」

「諏訪子もか?」

「間違い無いよ。信仰が戻った」

 

 

守矢神社は表向きには神奈子のものだ。信仰を神奈子が集め、神事諸々は諏訪子が管理する。その形態上、諏訪子が信仰を得ることはまずない。

 

つまり、今得た信仰の出処は──

 

 

「つまりはあいつが戻ってきたんだ」

「……早苗に伝えるべきだろうな」

 

 

「そうだね。ただ……八雲紫は随分とヴィーが死んだことを確信するような口振りだったらしいじゃないか。もし復活したと知れば」

「自分の言葉を嘘にしないようにする、ってことかい?」

 

「……さあ。ただ、幻想郷で紫が簡単に手出しできないのはここくらいじゃないか、とは思うね。つまりあいつは死なないためには何れにしろここにくることになる筈だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ぞくっ。

 

 

「どしたの?」

「あ、村紗さん。なんか物凄い寒気が」

「まぁまだ冬だしね。そういえばさ」

「なんでしょう」

 

「ヴィーって神様に報告とかしなくていいの?」

「へっ!?」

 

 

な、何故それを!?()()()()()()()()()()、するわけにもいかないから諏訪子様とかには会わないようにしてるんだけど……!

 

村沙さんは私の慌てる様子を見て何か察したのか申し訳なさそうに、

 

「……なんかごめん、秘密だったんだっけか」

「あ……できれば、そういうことにしていただけると……」

 

「了解。にしても……飛倉、集まらないなぁ」

「幻想郷、広いですもんね。ナズーリンさんが鼠で探してると言っても、限界はあるはずですし……それに、鼠じゃ行けない所もありますし」

 

「そうなの?」

「そりゃありますよ。冥界とか湖の底とか」

「湖!そっか、こっちには海がないからと思ってたけど……。ちょっと探してこようかな」

「気を付けてくださいね。霧の湖ってとこの傍に建つ屋敷には、とんでもなく強い方たちがいますんで」

 

「了解。皆にちょっと出てくるって伝えといてくれる?」

「お任せを!」

 

 

 

私は村紗さんを見送った。原作だと結局霊夢さんたちが持ってきた飛倉の欠片が大多数だった気がするからなんとも言えないけれど……。

 

 

 

と、そうだ。今更だけど私の能力を確認しておこう。少し瞑想すれば多分わかるよね……ええと、

 

 

──『反射する程度の能力』

 

 

………………なにこれ。強くなった?

試しに最初の頃は出来てた割合の調節をしてみる。掌に少し重めの石を落として、その衝撃でもって確かめよう。

 

 

 

 

うん。前と同じくらい自由に調節できるぞ。体感三から七割ってところか。よかった、これで弱くなってたら目も当てられないね。自衛手段はあって困るものじゃない。

 

 

 

………能力の名前変わったのはなんでなんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八雲藍は結界の管理を紫から任されている。最近は反射率──とある妖精のせいで付与された性質もその確認事項の一つだ。

 

 

博麗大結界は反射なんてことをする必要ないほど十分な強度を回復した。論理的な結界、強固に証明しなおされたそれのもとで最早反射は有事の際の保険に過ぎない。

 

 

 

だからこそ、突然激しく変化した反射率を確認した藍がとった行動は、自分で解決を目指す事だった。

 

「あの妖精。紫様の思考をあの妖精が占めるなんて事これ以上あってはならない。お気を煩わせるわけにはいかない」

 

 

 

 

藍だってそれが独占欲だということは理解している。その上で藍は何が悪い、と思う。私は八雲藍、紫様に仕えるもの。

 

ならばこそ、私の価値を示さなくてはならない。前のような失態は犯さないと決めたのだ。私は紫様に、紫様だけに必要とされればそれでいい。

 

 

「橙」

「はいなっ!」

「妖精を探している」

 

藍はヴィーの身体的特徴を伝える。

 

 

「見つけたらご報告しますっ!」

 

橙は猫の間で独自の情報網を持っている。そんな橙から聞いた話では、最近やけに鼠を多く見るらしい。

 

 

別に不運の象徴だとかそういう話をするつもりはないが、物事には原因があるものだ。今回の鼠の件もそう。橙に探らせておくとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、残念なことに。普通の猫は空を飛べないのである。

 

 







どうもー。みずねです。


最初にお伝えしておきますと、作者の期末試験がヤバヤバのヤバなので8月の……そうですねぇ、3日くらいまでは更新できません。

むしろ更新したらこいつ負けたんだなと思ってください。マケマケの実の能力者じゃけぇ……!




いっかな。ここからは例の如く。


さて、私お気に入り小説を見返しているときに初めて空白のやつを見つけて、「これが小説削除されたってことか!」と一人驚きました。更新日時が1970年の1月1日の午前9時なんですよ、もうそりゃビビりました。

……で。削除された小説がまた私かなり好きだったやつで……こう、ショックがすごい。


東方で煙草を吸ってる女の子の店に客が来ていろいろ哲学的な話なんかをしたりするやつなんですが。むしろ間違いであってほしいので作品ページ移っただけだよとか知ってる人いたら教えてくれ……



つら。

次の更新は2、3週間後です。これはガチ、というか守らなかったら負けなので頑張ります。
ではまた。
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