東方逃亡精   作:鼠日十二

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なんとでも言ってくれ。
時間ができただけなんだ。

思ったより試験重くなかったのもある……。


What you know is a part of me

「……何かしら、あれ」

 

 

 

 博麗霊夢は空を見上げ、雲の切れ間に何かを見た気がした。そこへ知り合いがやってきて、興奮したように話し始める。

 

 

 

「霊夢!今の見たか?」

「はっきりとは見てないわ。何よあれ」

 

「聞いて驚くなよ……船だ。船が浮かんでんのさ」

 

 

 魔理沙はその噂について語りだした。曰く、その大きな船は何かを探すように雲の合間を飛んでいるらしい。

 探すもの。それはもしや……

 

 

 

「これかしら?」

「これだろうな」

 

 

 二人が取り出したのは仄かに光を放つ木片だった。霊力とも魔力とも違う力が込められている。魔理沙は研究目的で、霊夢は妖精の様子がおかしくなる異変の元凶として回収しているものだった。ただ霊夢はどちらかというと、

 

 

「集めて渡せば恩賞くらいは出るはずよね。大きな船ならきっと財宝やら法具やら価値のあるモノが詰まっているはずだわ」

「……金欠なんだな」

 

「何か文句があるのかしら。そうだ、弾幕勝負で負けたほうが木片を引き渡すとかどうかしら」

「……それはひょっとして私に言ってるのか?」

 

「ええ。木片もっと持っているでしょう魔理沙」

 

 

 

 

 

 この日初めて魔理沙は霊夢から持ち掛けられた勝負を断った。同時に金輪際霊夢と金の絡んだ勝負をしないと心に決めた。

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

船から外の景色を見降ろしつつ私は考えた。

 

 

さて。当然ながらずっと聖輦船に居座るつもりはない。何時かは逃げなければならぬ。そうなると「何処へ?」という問題が出てくる。結局のところ幻想郷の中で紫さんがいけない場所が全く思いつかないのである。

 

 

 

……で。どこかに逃げ場は無いかと必死に頭を捻って思い出したのは「月面戦争」のこと。最近の作品を追えていなかったから聞きかじりだが、確か紫さんが関わっていたと聞く。月の都だったかなんだかに侵攻したんだったはず。

 

 

 

月面戦争がどういう結果に終わったのか知らないけれど、向こうが紫さんを追い返せるほどの力があるのは確実だろう。そしておそらく月の民と紫さんの仲は良くないことを考えると……。

 

 

 

 

 

私が逃げるべきは、月?

 

 

……いやいやいやいや。そしたら幻想郷で異変を見るなんて不可能になる。でもなー。

 

 

何時か月に行く内容の作品があった気がするんだよなぁ。どっちにしろ原作を全部追うのはあきらめたほうがいいかな……。

 

 

 

 

「どうしようかなぁ」

「何がだい?」

 

 

急に耳元で声がした。驚きすぎて腰が抜けたかと思った。

 

 

「うわぁ!…………なんだ、ナズーリンさんですか」

「なんだとはなんだ。聞かれたら不味かったとか?」

 

「そんなことはないんですよ。ええ。それよりナズーリンさんはどうしてここに?」

 

 

 

ナズーリンさんは尻尾をふってその先の籠を見せた。

 

 

「鼠に見回りさせてたんだけど、どうもこの船を追いかけているやつがいてね。邪魔だから追い払おうと思ったのさ」

「……ちなみにどんな人が?」

 

 

 

「紅白の変な服と白黒で箒に乗ったやつが」

「そうですか、ふうん。いったいどこの誰──」

「あと別方向から緑の髪の巫女が」

 

「スゥーーーーー………。あ、そうだ私雲山さんと予定あるので失礼しますねまたお話ししましょうそれでは失礼します」

 

 

 

私は逃げることにした。早苗さん自機なんだっけ!?

知らなかった……。逃げるが勝ち、三十六計逃げるに如かず。そう心の中で唱えて私はナズーリンさんから離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

 

 

ナズーリンは足早に去っていく妖精の姿をじいっと見ていた。

 

 

宝塔を失くしたように、どこか抜けている星の代わりにナズーリンは「注意すること」を意識している。ほかの面々がヴィーにある程度心を許したのは知っているし、星の説明におかしなところが見当たらないのも分かっている。

 

 

分かっているが、そのうえでどうしても怪しい部分が多すぎるのだ。例えば先ほどもナズーリンは「追いかけているやつ」と言ったが、その返答は「どんな()が?」である。この空を飛ぶ船に近づく存在と聞いて妖怪でも妖精でもなく人と答えるのはいささか気になる。口調から知り合いというわけではなさそうだが……。

 

 

 

「気になるという感覚は無視しないほうがいいからね。保険はかけておこう」

 

 

 

 

 

あとは自分の仕事を。ナズーリンは飛び降りて雲を突っ切り、鼠が人影を確認した方角へと進む。向こうもこちら側へ進んでいるのだから、接敵は実に早いものだった。

 

 

「私たちの船に何用だい?」

 

 

彼女──東風谷早苗はこう答えた。

 

「異変の香りがしたものですから。あの子だっているはず……

「……人探しかい?それなら得意だ、邪魔しないなら力になってもいいよ」

 

 

 

早苗は数舜迷ったのち、詳しく話すことにしたようだった。

 

 

「東風谷早苗です。実はその、探しているのは人じゃないんですよ。それでもいいですか?」

「ナズーリンだ。人じゃなくてもモノでもなんでも探せる」

 

「そうですか、ええと……

 

 

 

 

 

 

 

──ヴィーって名前の妖精を探しているんです」

 

 

 

 

ナズーリンは内心で笑みを浮かべた。こんなに早く当たりを引けるとは……。心中を表情に反映させないよう注意を払いながら、ナズーリンは答える。

 

「わかった。参考までに特徴を教えてもらってもいいかな」

 

 

早苗が話す特徴のことごとくが一致。間違いない。あのヴィーだ。

けれど、その正体を図るにはまだ情報が足りない。……ここはひとつ手を打とう。

 

 

「まあ、探しておくよ。さあ帰った帰った」

「いやでも、船の中にいるかもしれないんですよ」

「いないさ、この私がさっきまで船にいたんだから」

 

「確認させてください。こんなとこで帰れません」

「強情だなあ。ふむ、であれば……ここは幻想郷。意思を通さんとするならばこれで決めようか」

 

 

ナズーリンはスペルカードを取り出した。

 

 

「君が勝ったら船に連れて行こう。私が勝ったら……そうだな、少し頼みを聞いてもらおうかな」

「……いいでしょう、受けて立ちます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





「注意」ってのは……まあ、ネズミの鳴き声と少しだけかけてます。こんなんどうでもいいね。


どうも。負け鼠です。
前回の後書き消そうかな……と思っているくらい自分でも予想外の更新です。


ちなみにですが、紫さんは……今アレの時期です。藍しゃまが自分でどうにかしないと!って張り切るようなアレです。すやすやです。


ナズーリンは賢将ってことで、出来る限り策士感を出しました。でも直接戦闘は苦手です。
なんなら負けても情報収集なんて理由をつけてヴィーの情報を得ようなんて思ってます。さすナズ。こんなだから星ちゃんがポンコツ化してしまうんですよ。

因みに霊夢と魔理沙の方に行かなかったのは純粋に早苗の方がすぐ近くまで来ていただけです。あちらは他のメンバーが対応することでしょう。


月の都云々については……まだ構想なんてものは無いです。そもそもまだ先の話なので、ほんの少し伏線はっとこうかなぁ程度の気持ちで書いてます。




そんなとこですかね。
では、また。
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