東方逃亡精   作:鼠日十二

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遅れた


REUNION

 

私はさっさと逃げるべきなのだ。ただ一輪さんも魔理沙さんも私を逃がす気はないわけで、

 

 

 

「おい待て」

「無理です!どう考えてもやばいです!」

 

 

魔理沙さんが私の襟首をひっつかんだ。

 

 

 

「何がヤバいんだぜ?」

「何がって……早苗さんも来ているらしいじゃないですか。ナズーリンさんがそちらに向かったってことはどう考えても出会って私の情報もバレているに違いありません!」

「いいじゃないか、顔見せてやれば」

 

 

 

諏訪子様の怖さを知らないからそんなことが言えるのだ。一度真っ黒な目で肩に手を置かれてみろ、蛙に睨まれた蠅の気分が味わえる。私は二度と味わいたくない。

 

 

 

「ああもう、とにかく一旦移動しましょう。魔理沙さん鼠取ってくれませんか?」

「取引になるな」

 

 

 

当てにならない!

 

 

「い、一輪さん!」

「あー、悪いね。あまり邪魔しないように言われてるし、それに……もう遅いというか」

「へ?」

 

 

 

 

 

 

一輪さんが指し示した方向に目を凝らすと、遠くの方から二人組が飛んできているのが見えた。初めは点だったのに、それは見る見るうちに大きくなり、はっきりと人の形になって──

 

 

 

「ヴィーちゃん!!」

「ぐえ」

 

 

その勢いのままに突っ込んできた。思い切り抱きしめられる。

 

 

「どこ行ってたんですか!心配したんですよ、いつまで待っても帰ってこなくてっ……!」

「そ、その、ごめんなさい、でもしかたなくて」

「いいわけなんか聞きたくありません」

 

 

早苗さんの腕の力が一段と強くなった気がした。

 

 

「『ただいま』って、そう言えばいいんです。だって、もう家族みたいなものなんですから」

 

「……ただいま」

「ええ、お帰りなさい」

 

 

 

早苗さんが私の頭に何かしている。抱きしめられた状態だと何が起きているのかわからないけど、一体?

 

 

「……よし。オッケーです。これからは私のことはお姉ちゃん、と呼ぶように」

「えっ?」

 

 

雲行きが怪しい。見上げた早苗さんは笑っていたが、どこか圧を感じる。有無を言わさないような、そんな雰囲気が、そう、諏訪子様のような……

 

 

 

 

「家族だもんね?」

「え、まあ、巫女ではありますが」

「家族だもんね?」

「その通りです」

 

 

と、それに待ったをかけたのは魔理沙さんだった。

 

「待て待て、そいつはお前のじゃないぞ。ヴィーが必要なのは私も同じなんだからな」

「駄目ですよ魔理沙さん、私たちは今から帰って顔見せなきゃいけないんですから」

「なんだ?やるのか?」

「かまいませんよ。ヴィーちゃんは渡しません!」

 

 

 

 

「あんたらねぇ。そういうのは異変終わってからにしなさい」

 

窮地を救ってくれたのは霊夢さんだった。その後ろには村紗さんがいる。四面楚歌どころの騒ぎではない。

 

 

 

「……仕方ないか。勝負はお預け、さっさと異変を解決するぜ」

「いいですよ、負けませんから」

 

 

 

 

 

魔理沙さんたちが話している間にも私は何とかここを離れる手を探していた。無い頭を必死に絞って思い出したのはEXボスの存在だ、つまり「正体をわからなくする程度の能力」で私を正体不明にしてもらえばうまいこと逃げられるかも。そうと決まればまずは……UFOを探せばいいんだっけ?

 

 

取り敢えず、私たちは魔界に向かうことになった。「集めた飛倉があれば今回の異変は何事もなく解決するだろう」とのナズーリンさんの言葉により、異変を解決しに来た全員が聖輦船に乗り込んだわけだけど、道中早苗さんが放った何気ない一言が私の胃をボロボロにしかけた。

 

 

「何があったの?」

 

 

それに敏感に反応したのは意外にも霊夢さんだった。

 

 

「その話、私も聞くわ。そもそも何故博麗神社にいたのかもわからずじまいだったし」

「紫さんから聞いてないんですか?」

「ええ。あのあと私はスキマの中で紫に引き留められていたのよ。戻ってみれば藍しかいないし、その藍もあまり話が聞こえてないみたいだったし」

「あー……」

 

 

 

しかし話していいものだろうか?これ、紫さんにバレたらただじゃすまないと思うのだけど……と、そんな私の思考を先回りするかのように霊夢さんが付け足した。

 

 

「紫なら今寝てるわよ」

「寝てる?」

「冬眠みたいなものね。要は、聞かれる心配なんかないってこと。どうせ紫に都合が悪い話なんでしょうけど、漏らすつもりもないし……まあ万が一のことが起きたら早苗のとこの神様にどうにかしてもらうといいわ」

 

 

 

私は早苗さんの方を見た。お任せください!というような表情をしている。

 

 

「いやでも、そこまで早苗さん「お姉ちゃん」 ……お姉ちゃんに迷惑をかけるわけにもいかないと思うのですよ」

「何言ってるんですか、うちのお二人はそんな器と視野の狭いような方ではありません。今だってヴィーちゃんの帰りを今か今かと待ってますよ」

 

 

多分その片方は別の意味で待ち構えてます、などと言えるはずもなく。私は渋々話し始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結界自体に綻びは見つからない。急造だったあの妖精の能力を組み込むための論理証明も問題なく働いているとなれば……考えられるのはまだ妖精の意識が存在している、という可能性か」

 

 

八雲藍は博麗神社の結界に触れながら思考を続ける。

 

 

 

「そもそも妖精とはエネルギーに意識が宿ったもの……となれば別の体に意識だけ移る可能性がある?いや、紫様の術に間違いがあるとは思えない。妖精は結界と完全に一体化したはずだ」

 

 

頭の中にいくつもの可能性が、泡沫のように現れては消える。妖精の反射が存在する以上「外部からの干渉」はほとんど意味を為さないはずなのだ。であれば、やはり。

 

 

 

 

 

 

「……あの妖精の意識だけ、まだ生きているというのか?」

 

 

 

これはチャンスである。意識なら殺せなくても、いくらでも磨り潰し摩耗させ廃することができる。完全な無力化ができる。

これはチャンスである。紫様の役に立てるという、名誉を挽回できるというチャンス。

 

 

その一歩として、藍は自らの式神を呼び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





キャラに造詣が深くないと筆の進みが遅くなります。大変申し訳ない。



ここから先は世間話です。


「桃娘」ってご存じです?たおにゃん、とかとうにゃん、って読むんですけど。

中国かそこらの伝説でして、桃だけを食べて生活することで体液や体臭が桃のような味や香りになるんですって。それで権力者にささげられたり体液が薬やまじないに使われたりする、とか。あくまで伝説で、実在したかどうか定かではありませんが。


大事なのはこの一点、「体液が桃のような味や香り」


体液には当然血も含まれます。








レミリア様とフランちゃんの離乳食的扱いで捧げられる桃娘メイドのお話が読みたい。

中国から高い金払って当時のスカーレット卿が雇ったりして、レミリア様と一緒に育ったりして、血液吸われたりして、仲良くなって、血液吸われたりして、血でワインなんか作ってみたりして、血液吸われたりして、フランちゃんが桃娘の血しか受け付けなくなったりして、血液吸われたりしてほしい。



……最後の方ただの性癖じゃないか。












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