東方逃亡精   作:鼠日十二

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久しぶりに後書きがクソ長い。スクロールバー詐欺してごめん……。



Falling of foreigner

 初戦は私vs早苗さん(お姉ちゃん)

 

 スペカ一枚ずつの一発勝負。即席でどうにかしようとしたけれど、作れたのは攻撃より防御に主軸を置いたものだった。だから、私がやるべきはできる限り美しく戦い、かつ負けないことこれはそのための弾幕だ。

 

 

「光貴『Dazzling You』ッ」

「神符『天喰オロチ』」

 

 

 それは光の奔流だった。蛇行して進む緑色の大蛇が撃ちだされ、一直線に向かってくる。更に周囲にはうっすら矢じりのような弾幕を撒き、逃げ場を減らしていくのが見えた。

 

 対して私が作り出したのはカットされた大きなダイヤモンド……もどき。その面一つ一つには反射が込められている。尖った方とは反対、一番大きな面がある方を襲い来る大蛇に向けた。

 

 

 ガリガリガリガリ!

 大蛇が吸い込まれ、ダイヤの結界の中で乱反射を繰り返す。

 

 

「……っ!」

 

 

 持てる妖力を注ぎ込み、面の補強と角度調整を行う。その間にも大蛇はダイヤモンドにぶつかり、威力を減衰させながら様々な方向に乱反射して出て行った。跳ね返しきれなかったいくつかが体を掠めたのが分かる。

 

 少しずつ、面を削り、向きを直す。目指しているのは──所謂、ブリリアントカット。無謀なのは知っているけど、今は近づけるだけでいい。幾何学的な軌道を描いて反射される大蛇はそれだけで一種の美しさがあるはずだ。

 

 その、精密な花火のような視覚効果を狙う。

 

 

 

 ……しかし。いくら様々なものが添加されたといえ、結局のところ私はどこまで行っても妖精だった、ということなのだろう。そして向こうは現人神である。

 

 ぴしり。一度入った罅はすぐに広がり、やがて隙間から若草色の光が漏れ出し、そして私の結界が粉々になる寸前、

 

 

 

「行くぞ!」

「ぐぇ」

 

 

 誰かが私の襟をひっつかんで、私は後ろ向きに思い切り引っ張られた。流れる視界の中で早苗さんの弾幕が輝いて見える、やがてはそれすらも光の線に成り下がるほどに速く、私は急降下している!

 

 

「あ、あの──」

「舌噛むから口閉じろ!」

「はいっ」

 

 

 船が点ほどに小さく見えるようになったとき、突然黒ずんだ魔界の景色が幻想郷の青空へと切り替わった。私たちはゆっくり減速して、空中で止まった。私を外に連れ出してくれたのは、少し前に会った黒い妖精だった。

 

 

 

「よし、魔界はこれで脱出成功だ。いやー、うまいこと気を引いてくれたもんだ」

「ありがとうございます」

「ん。じゃ、私はまたやることがあるからこれで」

 

 

 妖精は手を振って、ゆっくりとその姿をかすれさせてやがて消えた。さて、私もどこか安全な場所を探さないとな。そう考えて下を向いて──

 

 

 

「ひっ」

 

 

 

 眼下には、一面に向日葵が咲き誇っていた。そして私に近い向日葵は全員、()()()()()()()()()()()。なんだか、花びらのの中央にある茶色が目のように見えて仕方がない。

 

 怖い。そして東方で向日葵って言ったら、それはもう──

 

 

「あら、珍しい客人ね」

 

 

 

 ──死亡フラグと言っても過言ではない。どうやら遅かったようだ、向日葵の間から、日傘をさした女性がこちらを見上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅茶で良かったかしら?」

「ひゃいっ、あの、お構いなく……」

「まさか。私は貴女の話が聞きたいわ、そのためのもてなしは必要でしょう?」

 

 

 現在私はあの幽香さんの家で紅茶をふるまってもらっています。なんで?

 

 思考がぐるぐる巡っているうちに、気づけば目の前には琥珀色の液体が入ったカップ。幽香さんに目で促されておそるおそる口元に運ぶ。

 

 

「ほわ……香り、すごい」

 

 的確な表現を持ち合わせていないのが悔やまれるほど、その紅茶は良い香りがした。思わず吸い込んで息を止めたくなるような、そういう甘い香り。味の方は……詳しくないのでわからないけれど、おいしいんだと思う。それより口に含んだとき鼻から抜ける香りがまた凄くて、思わずそれに集中してしまった。

 

 

 

「お気に召したようね」

「あ……その、すごくおいしかったです、ありがとうございます」

「緊張も取れたようだし、さっそく本題に移るわ。貴女、太陽に関係する妖精かしら?」

「……?」

 

 

 なんの話だろう?

 

 

「いや、確か月に関係してるはずですよ。能力も月っぽいですし」

「……嘘は言っていないみたいね。では気づいていないのかしら」

「何にですか?」

 

 幽香さんは自分のカップにも紅茶をそそいでから、先ほどの場面について言及した。

 

 

「向日葵たちが貴女の方を向いていたでしょう?」

「驚きました」

「向日葵は太陽の方を向く。何か覚えは?」

「そう言われましても」

 

 

 

 ええと、飛倉で倒れたときは法力の所為だし、博麗大結界……は関係ないか。遡って……その前の異変は、確か、

 

 

「え、もしかしてお空さんの時のアレ?」

 

 思い当たる節があった。促されるまま私は話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……へえ。まあ邪なものでなければ何でもいいわ」

「というと?」

 

 

 幽香さんは窓の外を指さした。ひまわり畑だ。

 

 

「向日葵たちは貴女が気に入ったみたいよ。だから、暫くここにいなさい」

「……それは、つまり、私に向日葵の相手をしろと?」

 

 

 返答は首肯だった。あの、幽香さんが、大事に育てている向日葵の、相手……?

 

 

 

 早くも死んだかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 実はタイトルを考える時間が好きだったりする。


 さて、タイトルは曲名とかそういうのではないです。フォールオブフォールってありますでしょう?あれに因んだ……あやかった……参考にした……適切な表現が出てきませんがそういった感じです。

 Fallingは落ちるの動名詞、Foreignerは幻想郷における部外者(Foreigner)、つまりヴィーの墜落を指し示すとともに地底に封印されていたエイリアン(Foreigner)、ぬえのことでもある……こじつけに近いですが、込めたニュアンスはそんな感じです。伝われ!次はもっといいタイトル考える!


 因みにFallという英単語、どうやら「夜が来る」という表現の際にも使われることがあるようで。『夜が降りてくる』って海外では実際に言うんですねぇ……洒落てますねぇ。あの原曲の元ネタがそこから来てるかは流石に知らないです。


 まあ日本でも『夜の帳が下りる』という表現がありますし、やはり言葉が確立したばかりの時代は夜を照らす明かりもなく、本当に降りてくるようにみえたんでしょうかね?


 夜が魔性の時間とされるのも、夜自体がそういった扱いだったからかも。つまり幻想郷で絶対に輸入してはいけない技術の中に『電気灯』がある可能性は高い……とか、そんな想像をするのも楽しいものです。



 次。スペカ名について。


 光貴ってのは『光輝』と『高貴』の二つの言葉からとっています。ダイヤモンドっぽい結界に相手の弾幕を閉じ込め乱反射させて飛ばす……どちらかというとレーザー系の弾幕向けです。相手が粒状の弾幕主体ならダイヤモンドを展開させてそこからまたいろいろやるつもりでした。

 Dazzling……というのはDazzle、意味は眩ませるとかきらきら光るとかそういったところ。例のごとく発熱巫女の曲になります。



 早苗さんのスペルは原作のものではなく、スマホアプリ『東方封霊抄』の第八結界、ステージ8-6の物です。無料ですので入れてみるといいかも。

 このスマホ東方弾幕アプリは全5作ありまして、どれも非常にクオリティの高い弾幕が楽しめるんですが……初代の『東方弾幕夢』は難易度がクソ高いです。

 1ステージに8種類スペルがありまして、そのうち4つクリアすれば次のステージに進めるので一応最終ステージまでは行ったんですが。『金閣寺の一枚天井』とか『フィットフルナイトメア』とか……残りには未だに歯が立ちません。どーやんのあれ。

 ちなみに最新作もクソ難しいので良かったらぜひ。アレが無料のボリュームとクオリティとは思えん……。



 次。なんかゆうかりんがド親切ですが、私の中でのゆうかりんの性格は「基本無関心だが花に危害が加わると死ぬほど怒る」って感じです。


 ここからは完全独自解釈。まず、ゆうかりんは花の集合意識が形を持ったもの、花ができないことを代わりにやる代行者のようなものです。少し意味合いが違いますがFate世界の抑止力みたいなものです。

 幽香が強いのは、同じような存在がいないから。その気になればすべての花が彼女であり、彼女は全ての花を操れる……といった具合。まあ雰囲気だけ掴めていれば話は理解できるはず。

 因みに紅茶ですが、花が『これ間引きして』とか『これ病気だから要らない』とか思ってる、そういった類の葉だけ摘んで茶葉に充てます。


 つまり彼女は花の意思を何よりも優先します。『どこぞの妖精と触れ合ってみたい』と花が思えば、彼女は願いを叶えようとするでしょう。




 最後に。以前散々言っておいて、という感じはしますが。

 作者、文頭にスペースを入れるのに慣れてきました。こちらの方が見やすいのでは?と思い今回は試験的に入れてみました。

 ということでよければ教えてたもれ。
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