魔法少女?トランス☆マギカ   作:ハリュー&叉焼

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第4話 魔法少女ⅣーⅠ

―帰り道。

私は有栖に言われた言葉を、未だに頭の中で考え続けていた。

「この世界に関わらない方がいい、一般人がいれば、命を落とすことになる。」

今、私と帰り道が途中まで同じだからという理由で隣を歩いている有栖。

彼女の顔からは、あの言葉を言った時とは同じような雰囲気は感じられない。

どちらかと言うと、何か考え事をしては「ふふーん」と得意気な顔になったりしている。

 

「……ねえ、有栖。」

 

「何?」

 

「今日や昨日だって、碧さんが一人でどうにかしたよね。

なら、私たちがいたって―」

 

「それはそれ、これはこれ。

貴方たちを守らざるを得ない状況なら、守らなきゃいけない。

わざわざ守れるのに、守らなきゃいけない。

……そうでないと、後味が悪すぎるのよ。」

 

……有栖だって、人の子なんだ。

この子も目の前で人が死んだりすれば、イヤな思いになる。

学校ではああやって言っていたけど、この子にも本当は碧さんに似たような心があるんだ。

彼女はポケットから何か取り出すと、私に差し出して来た。

……ロッキーだ。

 

「食べる?」

 

「……え?」

 

「はいかいいえで答えなさいよ」

 

「あ、はい」

 

突然差し出されたお菓子に戸惑いながらも、私は首を縦に振る。

そうすると口にロッキーを押し込まれ、私は手で持ち直してから食べる。

……溶けかけてないかな、コレ。

 

「まぁ、今日の所はそのロッキー一本と一緒に忠告しておくわ。

……いくら私が最強の魔法少女でも、命はかかってるのよ。

だから何一つ戦う手段を持たないような貴方が来た所で、いる意味なんてないのよ。」

 

「じゃあ、私が契約すれば―」

 

「自ら命を死地に投げ込む事の意味、わかっているの?」

 

有栖は目を鋭くさせたかと思うと、私の胸に手を当てていた。

……彼女の眼はとても真っすぐしていて、私はたじろぎそうになった。

 

「まぁ……雑魚には、わからないこともあるのよね。」

 

有栖はそう言って振り返ると歩き出していった。

……そうだ、今の私が契約したところで何になるんだ。

契約したいと思っても、やっぱり死ぬような戦いはしたくない。

こんな中途半端な奴が契約したくらいで、戦えるわけがない。

正直、碧さんが戦った魔女相手に怖いとしか思ってなかった。

例え……魔法少女になっても、私は……俺は手も足もでないだろう。

 

「足手まとい、か。」

 

囮にもなれない、ダメージを与えることも出来ない……

無能そのものである存在が、このまま魔法少女と魔女の戦いの中にいちゃあダメ……か。

そうだ……有栖の言う言葉は全部正しかったんだ。

学校で言っていた時の言葉だって、正しい事だったんだ。

無意味な戦いをすることは愚かなことで、自分の身は自分で守らなきゃならない。

 

「そうする、べきだったんだね……」

 

いつの間にか、涙が頬を伝っていた。

一年生の子に論されたことが悔しかったのか……

自分の愚かさにようやく気付けたからなのか。

そんなことは……今の私にはわからなかった。

 

「……ん?」

 

……私の胸ポケットの中に一枚の紙が入っていた。

 

『友達であることはやめないから、あとヤマダさんにも言っておいて』

 

「……変なことするなぁ。」

 

有栖の字と思われる、少し特徴的な字で書かれた……ノートの切れ端が入っていた。

さっきまで、少し泣いていた理由がわからなかった代わりに、有栖は私たちの友達であり続けることはわかった。

そうだ……例え、普通の人間と魔法少女でも……役目が違うだけで、あるべき場所は同じなんだ。

 

「……絶望なんて、しちゃダメだよね。」

 

私はそう自分に言ってから、家までの道を歩み出した。

 

―四日後。

 

「ねえ如月如月!スタバ寄らない?スタバ!リア充と言ったらのスタバ!」

 

「……矢満田さん、それはいいんだけど、顔近い」

 

「あーごめんごめん、で、結局行くの?行かないの?」

 

「行くけれど、有栖と碧さんも誘うの?」

 

「ふっふー、既に誘ってるんだなー、これが。」

 

矢満田さんは自信満々に携帯電話のトーク履歴を見せてくる。

……スタバ、かぁ。

リアル、現実で充実している男女が良く通うと言われている、コーヒーのチェーン店。

やたらと値段が高いし、そもそも自動販売機で缶コーヒーすら買わない私にとっては……行く価値は薄い。

と言っても、誘ってくる時に矢満田さんが財布をチラチラと私に見せてたんだよねぇ。

 

「矢満田さんに一つ聞きたかったんだけど、そんなにお金使って大丈夫なの?

毎度毎度、私の分まで何も言わずに払っちゃう時だってあるのに。」

 

「んー、別に問題はないよ。

私はさ……このお金で如月の時間を買ってるわけだから。」

 

……私の時間を買う、なんだかまるでいけない取引をしているおじさんと女子高生みたいだ。

まぁ、私と矢満田さんは女子中学生同士だから、そんな危なさなんてないんだけどね。

 

「じゃ、行こっか、如月。」

 

「うん、わかったよ、矢満田さん。」

 

矢満田さんの手に引っ張られて、私はスタバへと足を運ぶ。

 




色々あって執筆が進みません
さすがに2か月投稿なしは避けたいので途中であげます

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