紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

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紅の錬金術師
第1話 出立


うるさい。

目覚まし時計の音が頭に響く。

忌々しい朝が来た。

叩きつけるようにアラーム停止のボタンを押す。

時計は「10:00」を示している。

今日はヘルエスタ王直々に召喚の命令があったはず。

召集がかかったのは11時だ。王宮までは片道1時間近くかかるから9時半には家を出よう....

 

カトリーナ「10時?」

 

あっ。

 

カトリーナ「やばいやばいやばい!」

 

遅刻なんて学院時代ぶりだろうか。

しかしよりによって王直々の召喚の時に。

遅刻なんてしたら首が簡単に飛ぶ。

 

急いで家を出る。髪が少々荒れているが風で直ぐに荒れるはずだったのだ。何も変わるまい。

これだから朝は嫌なのだ。

 

 

〜城下町にて〜

 

間に合った...

朝から馬に無理をさせてしまった。帰りにいい人参でも買ってやらねば。

 

カトリーナ「げほっげほ… お待たせ、待った?」

戌亥「ううん、今来たとこ。

それはそれとしてなんでそんな息きれてるん?」

カトリーナ「遅刻しそうになって全速力できた。」

戌亥「そんなことだとおもいました。」

 

何とか戌亥とも合流できた。リゼはもう王宮にいるのだろう。それにしても王直々の召喚とは。何かあるのだろうか。

 

 

〜王城にて〜

 

門番に要件を伝えると直ぐに客間に通された。

そして..

 

王「忙しいところすまないね。カトリーナ君に戌亥君。」

カトリーナ「こちらこそ。お変わりないようで何よりです。」

王「いきなりだが本題に入る。王城の南東にある村々から正体不明の黒い雷が報告されている。」

カトリーナ「はい。存じております。」

王「そこで、君達にその雷の観測・調査を頼みたい。錬金術師は自然と向き合う術学であると聞いた。そこで高名な錬金術師の君に調査を依頼したくてね。」

カトリーナ「はぁ...まぁ自然学に通じてないと言えば 嘘になりますが。 」

王「まぁ本音を言えば我が愛娘の親友である君たちだからこそ頼みたくってね。コネといえばそれで終わりだがこの際ソレはナシにしよう。」

カトリーナ「えぇ...」

戌亥「それが私まで召喚されたワケか。」

王「そうだ!恥ずべきことに娘はこの城から戌亥君の喫茶店に行くかカトリーナ君の工房に行くかくらいしか外に出てくれなくてね。可愛い子には旅をさせろとも云うじゃないか。ということでリゼもその調査に同行させて欲しいということだ。」

戌亥「学者サマでもない私が呼ばれたのはリゼはんの護衛役だったってことね。」

王「その通り!」

リゼ「何となく分かってはいたけどやっぱりそうなっちゃうか…」

カトリーナ「ま、まぁ、とりあえず。 承りました。」

王「あとそれに加えて君達に渡す物があるんだ。」

3人「渡す物?」

王「これだ。」

 

王は客間に飾られている三本の剣を指さした。

 

カトリーナ「これ...とは。」

王「この剣の名はヘルエスタセイバー。先代ヘルエスタ王から賜った物だ。」

リゼ「それってこの国を作った人達が持ってた剣じゃな いの?」

王「そうだ。この国を作ったとされる3人の勇者。彼ら が携えてた剣だ。」

戌亥「それって貴重な品じゃあらへんの?私たちに渡してしまったらあかんのでは?」

王「まぁ口頭で言ってしまえば貴重な品に聞こえるが飽くまでも伝説の話さ。せめてもの旅への手向けだ。 魔除けとして受け取ってくれ。」

カトリーナ「御気遣い有難く存じます。」

 

という訳で。

いつもの3人で旅に出ることになってしまった。

向かう先は南東の観測塔。

その周りには農村と市場が広がっている。

そこで度々目撃された黒い雷。何も無いようには見えないが…

 

 

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