紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

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第14話 豪炎の魔術師

「私1人でケリをつける。」

アンジュはそう言った。不安と自分の無力さで感情がせめぎ合う。不安を感じてアンジュを追おうとする足を無力感が凍りつかせる。

あぁ、私には何も出来ないんだ。

 

 

 

 

ソシエの店の戸を開けた。いつも笑顔が出迎えてくれるカウンターには誰もいない。いつも清潔な店内も、蜘蛛の巣が張り、廃墟のようだ。いつもは閉めてある工房への地下階段も開けっ放しだ。一歩一歩踏み締め店内へと入ってゆく。 カウンターに触れた途端赤い魔法陣が発光し、地下階段から炎が飛び出した。

カトリーナ「!?」

咄嗟に壁を作り防ぐ。

???「あら、惜しい。」

カトリーナ「ソシエ…!」

ソシエール「久しぶりね、アンちゃん。」

彼女は歪んだ笑みを浮かべた。

カトリーナ「ソシエらしくないね、騙し討ちなんて。」

ソシエール「そうかな?騙し討ちなんて魔術師の常套手段だと思ってたんだけど。」

カトリーナ「その魔術師らしい戦い方こそソシエらしくないんだ。」

ソシエール「やっぱり、いつもいつも完璧だったアンちゃんらしいや。正しくて、冷静で、そして、いつも私の劣等心を逆撫でする。」

轟音を立てて炎がさらに迫ってくる。

躱しきれず思わず抜刀し炎を切り裂く。

カトリーナ「…」

ソシエール「殺すよ、アンちゃん。これは誰に命令された訳でもなく、私自身の恨みで。」

カトリーナ「私が知らずのうちにソシエを傷つけていたのなら謝る。だけど、タダでやられるわけにもいかない。その憎悪、正面から受けて立つ。」

ソシエール「…ッ!」

ソシエが目に見えて苛立ちだした。

二人の間に緊張が走る。

 

 

先にしかけたのはソシエだった。

これまでの炎がちっぽけに見えるほどの巨大な炎。さながら爆発のようなモノを繰り出した。

思わず剣で受身をとるが間に合わず、モロにくらい店の外にはじき出される。

地面をゴロゴロと転がる。剣を地面に突き立てブレーキを掛け、立ち上がる。

ソシエも表へと出てきた。

追撃が来る。 鋭く、速い炎が3発。

それを全て切って防ぎ、剣の間合いへと詰める。

しかし、結界に阻まれ、また弾き飛ばされる。

 

ソシエール「さっきからずっと地面をゴロゴロ。 そんなに泥に塗れるのが好きだった?」

カトリーナ「そうだね、ソシエとの喧嘩はこんなやり方じゃなかったよね。」

 

あの時と同じ様に。 私らしく行こうじゃないか。 

そう考えると追撃の火炎弾を切り払い、地面に剣を突き立てる。

ソシエール「あら、降参かしら?」

カトリーナ「それはどうかな? ここからは、意地の張り合いだ!」

右腕の袖を捲り、刻まれた魔法陣をさらけ出す。

本気の彼女には、本気で答えるしか無い。ならば、奥の手も惜しみなく使う!

 

カトリーナ「来い。"賢者の鍵"!」

 

私の手に1つの古びた本が召喚された。

ソシエの顔がみるみる歪む。

ソシエール「その魔力の塊.... まさか!」

カトリーナ「思い出の品で昔のように派手に喧嘩。 良い趣向でしょ?」

ソシエール「趣味の悪いッ!」

 

ソシエが面食らっているうちに本を開き、氷針を生成し、打ち込む。

しかし、結界に阻まれた。ように見えた。

氷針は結界を分解し、突きぬけソシエの肩に突き刺さった。

ソシエール「2度は同じ手は食わないって?」

カトリーナ「私のやり方、分かってるだろうに!」

ソシエール「賢者の石。それにその量の魔法陣。やはりたちが悪い!」

カトリーナ「これで実力はトントン。行くよ、ソシエ!」

四肢にエンチャントをかけ、1歩で間合いを詰め、切りかかる。しかし、結界はなくとも炎の盾で防がれる。しかし、その盾を水を錬成し無効化。二撃目に繋げる。しかし、剣はエンチャントされたソシエの腕に阻まれ、モロにボディブローを食らってしまった。少し後ろに下がり、氷針を打ち込むがすべて火炎弾で撃ち落とされる。氷針が蒸発した煙に紛れてまた間合いを詰め、ガードを蹴りで崩し腕を氷漬けにし、剣で切り込む。が、躱される、だが、振り下ろした剣を地面に突き立て、周囲の地面丸ごと氷へと変換。ソシエの足を氷漬けにした。

 

ソシエール「…ッ!」

カトリーナ「やっぱり強いね、ソシエは。  でも、これで決着だ!」

 

 

 

「勅令。此処に或るは生命の証。 龍王の神髄を知れ!」

 

「芽吹き、穿て!」

 

「ヘルエスタセイバーァァァァァァァァ!」

 

 

光をまとった剣をソシエの胸に突き刺す。

剣は心だけを突き刺し、刃から広がる環はソシエを包み込んでいく。

 

 

 

 

 

 

ソシエール「ここは…」

カトリーナ「目覚めたみたいだね、ソシエ。」

ソシエール「はは…またアンちゃんに迷惑かけちゃったみたいだ。」

カトリーナ「気にしなくていいよ。友達でしょ?」

ソシエール「うん…ありがとう。」




ちょびっと解説
教会による洗脳
教会の洗脳は人の心の隙間を狙い心に入り込み憎悪を増幅させ、味方にする訳ではなくその憎悪を妨害したい人物に向ける事で、情報の隠蔽を容易にした。
その心の隙間としてよく用いられるものとして劣等感や大切な人を失った喪失感などが挙げられる。たとえ、その心の隙間を脱出した人でさえも、その隙間へと引き戻す。洗脳を受けたエクスからの情報提供でこれらは明らかになっており、それを踏まえた上でアンジュはわざとニュイを煽るような言動に出たのだ。
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