紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

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第20話 龍のカタチ

???「捨て駒に集めさせたサンプルもこれで5つ。 これがあれば…あの時に受けた傷も癒せる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チャイカ「また眠ったか。 ……ニヤニヤしてるんじゃないよ。」

ロゼ「あら、バレちゃった?」

チャイカ「いい加減成仏したかと思ったらまだ居座る気なのね。」

ロゼ「こんな可愛い妹がまだまだ危険な目に会う可能性があるって言うんですもの。いざと言う時は私が守って…」

チャイカ「今回に関してはあんた自身がその『いざと言う時』になっちまったんだけどね。」

ロゼ「トホホ…まぁ、チャイちゃんに受けた断罪剣のお陰で耐性もついたし、結果オーライ!」

チャイカ「じゃないんだよね。ほんとあんたら姉妹は危なっかしい所だけは似ちゃったんだから…」

ロゼ「ふふふ… 有難うね。色々と。」

チャイカ「あんたがそれ言うと何を指してるかわかんないのよ。」

ロゼ「ふふ。全部よ。」

チャイカ「あっそう。」

ロゼ「それよりいいの?」

チャイカ「何が?」

ロゼ「何かヤバそうな力が地下で蠢いてるけど。」

チャイカ「ちょまっ…早く言いなさいよそれ。」

ロゼ「チャイちゃんなら別に少しくらい遅れたって良いでしょ。戌亥ちゃんとアンちゃんにはしっかりと伝えました。リゼが目覚めたらこの事、伝えてあげて。」

チャイカ「はぁ… 了解。」

 

 

 

戌亥「なんやこの紙切れ」

カトリーナ「え?」

戌亥「…!」

カトリーナ「ちょっと見せて」

 

 

 

カトリーナ「地下で蠢く力…」

戌亥「関係性は…ないとは言いきれないな。」

カトリーナ「なんで?」

戌亥「そもそも人の感情を操る行為自体かなり高位な存在ではないと無理な事。 でも。 そんなデカい存在がこれまで捜査の網をくぐることが出来た理由が分からなかった。でも、この紙切れの言葉で何となくわかってきた。」

カトリーナ「…とりあえず、情報を整理しよう。」

バーガンディ「という事は、御用ですね?」

戌亥「…またあんたか。 何か新しい情報でも持ってきたんか?」

バーガンディ「ええ。 持ってきましたとも。それに加えて、国庫からも黒幕と関係性のある文献をお持ちしました。」

 

 

 

 

戌亥「…邪龍?」

バーガンディ「ええ、そうです。 先程も申しましたが、シフ国やヘルエスタ王国問わずこのアキツ諸島全体にかけて地脈の暴走などが観測されています。」

戌亥「それが邪龍とどう関係がある?」

バーガンディ「はい。 お借りしてきた文献に目を通すと、邪龍が暴虐を働いた際も、血脈を通して彼は魔力を吸収し、強大な力を得ていた、というものがあります。」

戌亥「しかし、今回は暴走だ。 現象がむしろ逆ではないか?」

バーガンディ「その通りです。しかし、それも根拠がありそうなんです。」

カトリーナ「根拠?」

バーガンディ「はい。 カトリーナさん達があの村へ向かう途中。 魔獣に襲われましたよね?」

カトリーナ「…えぇ。」

バーガンディ「それなんですよ。邪龍がしたかった事。」

カトリーナ「地脈を通して獣を魔獣へと意図的に変貌させている…? いや、寧ろ、もっと…」

戌亥「呪いだ。」

バーガンディ「ええ。その通り。」

戌亥「元上司に聞いたことがある。 あの邪竜をどうやって封印したか?って。 まぁ当時はあんなモノおとぎ話だなんて思ってたもんだから面白半分で聞いたわけだが。 アレを封印するにあたって行ったのは魔力を逆に流すこと。 魔力を過剰に取り込めば、リソースに耐えられずに肉体は魔力タンクとして石化していく。 それを5人がかりで行った…と。」

バーガンディ「その通りです。彼は過剰に溜め込んだ、いや、呪いとして流し込められた魔力を、憎悪の塊として地脈に放出した。 それは石化して動けなかった彼が本当に動き出すサインという訳になる。」

カトリーナ「なら…そいつの居場所を止めなきゃ… もっと被害が!」

バーガンディ「落ち着いてください。 彼の居場所はとうに調査できています。」

戌亥「...流れか。」

バーガンディ「はい。地脈に魔力を放出したなら流れが生まれるはず。それを調査した結果、とある場所を突き止めることが出来ました。 それは…タヌキ湖。」

カトリーナ「ヘルエスタ王国内!? 尚更…」

バーガンディ「いえ、まだ向かうには早計であると思えます。 彼はまだ動けない。 逆に言えば封印されている間はこちらも彼を斬れない。 必要なのは準備です。 彼を確実に倒す方法。いや、救う方法。」

 

戌亥「思い返せば…やつの行動原理は…」

カトリーナ「歪んだ思想の排除…」

バーガンディ「それに関しても、1つ気になる文献、いや、調査書と言うべきものを持ってきました。」

 

戌亥「これは…死亡届?」

バーガンディ「はい。 この少女、邪龍がああ至った鍵を持つ者であると推測しています。」

カトリーナ「死亡現場は… 昔の名だから分かりにくいけどやはりタヌキ湖畔の村? いや…洞穴?」

バーガンディ「そうなんです。 この調査書に目を通す限り、この少女はその洞穴にて盗賊に襲われ、死亡したと。 そして、それに加えて興味深い事がそれを第1に発見したのが…」

カトリーナ「悪魔? でも、書いてある限り信じるしかないんだろうけど… 記してある状況を見る限り発見したと言うよりも… 遭遇し、悪魔だけが生き残ったと考えるしか…」

戌亥「これが…邪龍の本来あるべき姿…となるのか?」

バーガンディ「そのようですよ。 これに関連した資料に目を通しても…この1件を機にその悪魔の情報は途絶え…邪龍の情報ばかり出てくる。」

カトリーナ「…見事な噛み合いですね。」

バーガンディ「ええ、この噛み合いを探すことこそが探偵のすべき事です。」

戌亥「肝心なのは奴を救う方法だ。」

バーガンディ「それは貴方が1番知ってるはずですよ?」

戌亥「…断罪剣。 しかし、これ程の悪意を斬るには… 魔力もそうだが、こちらの魂も無事では済まないよ。」

カトリーナ「…! 方法なら、もうとっくに手に握ってるよ。」

バーガンディ「結論、出たようですね。」

 

 

バーガンディ「あ、それはそうと。 シフ国南方で精霊たちが地脈にやられて暴走しているようですよ。 助太刀、行ってはどうですか?」

カトリーナ「…情報ありがとう。行かせてもらうよ。」

戌亥「昨日の件もそうだけど、根を詰めるのもほどほどにしとき。 リゼはんの為にもね。」

カトリーナ「…ありがと。」

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