駆けつけた時には、既に遅かったようだ。
戌亥「あれは…」
カトリーナ「やはり間近に見ると迫力が違うね。流石は精霊だ。しかも似合わぬ殺意付き。」
戌亥「しかも、だ。あの奥にいるのは… タヌキ湖の大精霊にしてヘルエスタ王国の守護精霊。モイラだ。」
カトリーナ「戌亥って人がわざわざ様って付けてる方を簡単にタメ語するからホントびっくりするよ…」
戌亥「そんなこと言ってらんない。今から彼女を斬るんだからね。」
カトリーナ「だね。」
カトリーナ「エクス君!アルマル先生!」
エクス「アンジュさんに戌亥さん!助太刀助かります!」
戌亥「あんたらはいいと思うけど防衛隊は? 被害出てないんだろうね?」
アルマル「防衛隊の子たちはもう退いてもらったよ。今ならやり放題だ。」
カトリーナ「そもそもなんでタヌキ湖の精霊たちがここまで…?」
アルマル「考えるのは後だ!魔獣たちを一気に吹き飛ばしてくれ!先に進めない!」
カトリーナ「了解です!」
またあの付箋のページを開く。
ソシエ、力を貸して。
カトリーナ「メラガイアー!」
魔獣を一気に吹き飛ばす大炎。
その煙を突破する4つの影。
エクス「行きますよ!今の彼女たちはこちらに明確な殺意を向けている!なら、いける!」
アルマル「準備OKだ!行けよ弟子!」
アルマルが放った雷撃を吸収して加速するエクス。
剣が紫電を帯び、その紫電も次第に大きくなっていく。
エクス「X-カリバー。」
紫電を帯びたその一閃は、モイラを護衛する精霊を一太刀で薙ぎ払った。
エクス「あとは頼みます!アンジュさん!戌亥さん!そして…」
カトリーナ「…リゼ!」
音速を超えたその少女は最初の一撃をその精霊に与えた。
リゼ「お待たせ…待った?」
カトリーナ「うん…待ったよ…!」
リゼの翼にヒビが入る。
リゼ「私は、これまで1人で背負おうとしてきた。でも、それは違う。人を支えて、そして支えられて。それで私は私でいられるんだ!私に託されてきた数々の希望。それを、私は託した人々を守るための力にする!」
ドレイクの翼が砕け散り、中から天使のような翼が姿を現した。
リゼ「この力、これまではドーラさんの力を再現することだけに固執してきた。でも、希望を具現化するって言うなら、固執なんていらない。」
戌亥「準備はいい?」
カトリーナ・リゼ「「うん!」」
「「「いくぞ!」」」
全員が全てを使って彼女に向かってゆく。
凶暴化した大精霊。
それを止めるなんて本当は不可能だ。
でも。
私たちなら、不可能を越えられる。
3人の勇者の初めての共闘。 初めてにしては、心が重なるような感覚を覚えた。
戌亥「だめだな、地脈にやられて完全に我を失っている。」
カトリーナ「だから、やることは1つ。」
リゼ「断罪剣…だけど、隙が無さすぎる!」
戌亥・カトリーナ「「隙なら、作ればいい。」」
戌亥「私とアンジュはんで隙を作る。リゼはんは隙を突いて断罪剣。」
リゼ「わかった。信じる。」
カトリーナ「それで良い。行くよ!」
隆起させた壁を解除するとまた光弾が襲いかかってきた。
それを、氷の橋で屈折させて跳ね返す。
リゼとバンとケンがそれを駆け上がり、モイラに飛びかかる。
バンとケンがモイラの両腕に食らいつき、動きを封じ、リゼがその隙を突いて断罪剣を放った。
が。
リゼ「効かない!?なんで!?」
万事休すかと思われたその時。
戌亥・カトリーナ「「諦めるな!!!」」
戌亥とアンジュも続けて断罪剣を放つ。
そして…!
カトリーナ「勅令。此処に或るは生命の証。龍王の神髄を知れ!」
リゼ 「勅令。此処に或るは繁栄の証。人王の真髄を知れ!」
戌亥 「勅令。此処に或るは文明の証。獄王の真髄を知れ!」
「「「ヘルエスタ セイバーァァァァァァ!」」」
三重に重なった光の環が殺意を削り取り、自然であるがままに還す。
モイラ「あれ…ここは…?」
戌亥「気づいたようだね。」
モイラ「戌亥ちゃんだー。なんでー?」
戌亥「やっぱり憶えてないか…」
モイラ「ここってどこなの?」
戌亥「シフ国の西南部だね」
モイラ「あれー?なんでこんな所に…」
戌亥「深く考えるとまたショートしちゃうから、早めに帰りな。」
モイラ「はいー。精霊ちゃんたち、帰りましょー?」
カトリーナ「ふぃー。」
リゼ「疲れたー!」
エクス「ほい、お二人さん。」
カトリーナ「冷たっ!」
エクス「飲み物と食糧。」
リゼ「ありがとうございます…」
エクス「やっぱ疲れるでしょー?戦闘。」
カトリーナ「ですね。」
エクス「でも、その分。 守れた事に対する嬉しさって大きいと思うんです。」
カトリーナ「…そうだね。」
エクス「戦う目的。 大事にして下さい。そして、見失うことないように。」
カトリーナ「…」