第1話 雛鳥
これは、私とともだちの物語。
リゼ「セバスー!どこにいるのー?」
ここ数日セバスを見ていない。
いなくなるときはあっても、1日ほどで戻ってくるのに。
もしかして、そっぽ向かれちゃったかな.....
アンジュ「何してるん?」
リゼ「アンジュ!」
リゼ「実はかくかくしかじかで....」
アンジュ「.....!」
リゼ「どうしたの?」
アンジュ「今すぐにでも探したいなら工房に来て。手がかりならある。けど...」
カトリーナ「真実を受け止める覚悟が必要だ。」
リゼ「....うん。」
アンジュの工房に来るのって結構久しぶりだ。でも、なにか不穏な雰囲気。
リゼ「お邪魔しまーす」
アンジュ「勝手に上がっちゃって。」
リゼ「で、その手がかりって何?」
アンジュ「....こればかりは、詫びを入れなければならないことなんだけど....」
カトリーナ「リゼに隠し通してきたことがある。」
リゼ「....心の準備、できてるよ。」
カトリーナ「セバスは、リゼのお母さんを殺した聖獣そのものだ。」
リゼ「....そんなモノを、私のそばに置いていたの?」
カトリーナ「こればかりは、本当に済まない。彼を、完全に封印するにはそれしかなかった。非人道的なことだってわかってる。本当に....」
リゼ「理由。」
アンジュ「!?」
リゼ「理由と、事の顛末を教えて。それを聞かずに怒るなんて私のプライドが許さないよ。それに、セバスと過ごしてきた長い時間をまだ信じたい。」
アンジュ「わかった。」
今からちょうど10年前。リゼが7歳の頃だ。ヘルエスタ城を聖獣が襲った。
俗にスザクと呼ばれる聖獣。
彼は王座の間に直接襲いかかってきた。
当然衛兵もいた。
でも。
彼の強大な力の前には無力だった。
そしてあろうことかその聖獣はリゼを襲おうとした。
そして.....王妃がそれをかばって。
その聖獣はその場にいた魔術学院の生徒と教師に捕らえられた。
アンジュ「これが事の顛末。」
リゼ「それでその聖獣が私のそばに置かれた理由は?」
アンジュ「リゼも今ならわかるよね。あの悪魔がしていた細工。」
リゼ「凶暴化。」
アンジュ「それがあの聖獣にもかかっていた。しかし、当時の人員ではこれを解くこともできない。少しづつでも浄化をする必要があった。」
アンジュ「そこで。錬金術を応用してその聖獣を雛鳥の型に封印し、心が清い者のそばに置くことによって浄化を図る。それが学院の教師たちが出した答えだ。」
リゼ「....だから、私を?」
アンジュ「ごめん。私は止められる立場にいた。それなのに....」
リゼ「いいよ。」
アンジュ「!?」
リゼ「そうするしか方法もなかったんだろうし、そもそもそのおかげで私にもともだちができた。あの子がいなかったら今の私はいないよ。そして、あの子の失踪がそれと関係があるのなら、 私が救う。」
アンジュ「....ごめん。 なら、これを使って。」
リゼ「これって....方位磁針?」
アンジュ「それは型がいる方向を常に示しているモノ。彼を探すなら、それが役に立つはず。」
リゼ「ありがとう!今度お礼しに来るね!」
行ってしまった。
涙、隠せてなかったよ。