紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

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第3話 覚醒、芽吹きの剣

死を覚悟したその時、一人の少年の声が聞こえた。

走馬灯かと思ったその刹那、視界は金色の麦畑をとらえていた。

 

???「君が、新しい担い手かい?」

 

私は混乱した。

 

???「おやおや、ひどく混乱しているようだね。じゃあ、話は手短に済ませようか。

ここは剣の中。彼は[ヘルエスタセイバー]って言ってたネ。その中さ。

僕はかつてこの剣を振るった者さ。僕の身の上話なんてどうでもいい。大切なのはこの剣の使い方。この剣は芽吹きの剣。この剣を振るうには魔力も力もいらない。ただ一つ。君の友を想う心だけでいい。あとは剣が導いてくれる。」

 

芽吹きの....剣....

 

???「そうさ。担い手に伝えるべきことはこれで終わり。頑張りなよ、錬金術師の子。君には守るべきものがある。」

 

麦が風に揺れ、視界がぼやける。

 

 

 

 

友を想う心。そんなもの、胸がはちきれそうになるほどあるさ。

だって私は、リゼを、戌亥を、守らないといけないのだから。

 

獣の群れを前に目を見開き、叫ぶ。

 

カトリーナ「目覚めよ。芽吹きの剣!」

 

ヘルエスタセイバーが金色に輝く。

黄金色の光をまとった追い風が吹く。

 

カトリーナ「勅令。此処に或るは生命の証。龍王の神髄を知れ!」

 

風が、光が、剣へと収束する。

 

カトリーナ「芽吹き、穿て!」

 

大切な人を亡くすなんて、もう嫌だから。

 

カトリーナ「ヘルエスタ セイバァァァァァァァァァ!」

 

穿つ剣から広がる光の環は獣達を包んでいく。

 

私は、彼女らを守れただろうか。

 

 

 

 

 

「アンジュはん!」

「アンジュ!」

 

いつもよりすこしかすれた呼び声が聞こえる。

 

目覚めると、そこには泣きそうになっているリゼが居た。

 

カトリーナ「おはよう....どうしたん?」

リゼ「どうしたもこうもないよ!起きたらなんか馬車倒れてるし、御者さんも倒れてるし!さらに、なんか獣もいっぱい倒れてるし!」

戌亥「アンジュはんも倒れてはるし、何が何だか分からへんよ」

 

おぼろげな記憶がよみがえる。

それを頼りに彼女らに説明をした。

 

戌亥「つまり、剣の声を聴いて言われるがまま獣をやっつけた、てことでいいんか?」

リゼ「漫画の読みすぎじゃない?」

カトリーナ「ちゃうわ!こんな状況でそんなこと言えるわけないでしょ!」

リゼ「それもそうか....にしても信じがたいことだよ。」

戌亥「アンジュはんが言ってることが正しいならリゼはんがお父さんから聞いてたっていうヘルエスタ王国建国の伝説も本当だったってことにならない?」

リゼ「龍と人間の子たちがこの地に住んでいた邪龍を打ち倒して国を建てたってやつ?」

戌亥「それそれ。」

カトリーナ「この剣のことも気になるけどまずはこの状況を何とかしないと。ドローンゴーレムを飛ばしてみてもう南東の村も間近ってことも分かったしとりあえず現地に向かおう。」

戌亥「馬車はどうするんや?」

カトリーナ「説明の合間にもう王都に文は飛ばしたよ。自衛団に後始末を頼む文をね。」

戌亥「流石は学者サマやね。」

カトリーナ「その呼び方はやめてほしいかな。」

リゼ「というか村に向かうって徒歩で!?」

カトリーナ「そうだけど」

リゼ「ええ~!?」

 

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