そのスザクの目は、何かに染まっていた。
見たことのある目。
モイラ様のときと"ほぼ"同じ。
でも、その染めているなにかにはあのときのような指向性はない。
正真正銘の暴走。
しかし、これを暴走で片付けるにはおぞましい。
翼は金色と漆黒がまじっている。メキメキと痛ましい音を立てて開かれた翼を動かし、彼はこちらに飛び込んできた。
剣を逆手で抜刀し、それで受ける。
やはり言葉は通じない。
思いも、今は通じない。
憶測で動くのは危険。だけど、見捨てるわけにも行かない。街も。友達も。
逆手に持っていた剣を持ち直し、彼の目を見る。
殺意は、殺意で打ち消す。
剣を振り回し光弾を展開し、それとともに飛び込む。
光弾は避けられる。
しかし、ルートはそれで固定できた。
避けきって油断した彼の胴に回し蹴りを叩き込む。
彼が怯んだ隙に剣を構え、彼を、断罪する.....
そうは行かないか。
彼はすぐに立て直し、後退した。
その先にあるのは...... 杭!?
デビルさんが言ってた!
あれには残留したエネルギーがある。
まずい。これ以上になったら私の手に負えない。
でも.... 届かない!
しかし、その瞬間。輝く紫の光の円盤が背後から飛んできた。
そして、それは杭を砕く。
デビル「間に合った!」
叶「大丈夫!?」
リゼ「うん.... !!!」
デビル「....まずいかも。 空気中に杭の魔力が漏れ出してる。」
叶「.....これ以上は!」
叶さんが銀の弾丸を打ち込む。
だが、それはすべて黒煙に消えた。
その黒煙の中から姿を表したのは、漆黒のスザク。
烏とも似つかない姿。
あの雛鳥の姿はかけらもない。
そのスザクは大きく後退し、自らに炎をまとい突進してくる。
避けれない。
デビル「君たちを守れなかったら僕の存在意義はない。それにあの子も悲しむからね。 君だけが魔力を全て吸えたと思ったら大間違いだ。罪滅ぼし、やらせてもらう!」
デビルさんが光る。
光の中から現れたのは、諸悪の根源としての彼の姿。
しかし、その目は決意と優しさに満ちていた。
彼の拳とスザクの体が正面からぶつかり合う。
デビル「...叶!コインをもう一度投げろ!彼女に手荷物が届くはずだ!」
叶「!....了解。」
叶さんがコインを宙に弾くと、それは光を発し、二振りの剣となった。
「友達には、全身全霊、ぶつけたげてな。」
「私の思いも持ってって。」
リゼ「....了解!」
手紙が掛けられた鞘を引き抜き、地面に突き立てる。
リゼ「絆を繋ぎ、星空を映せ。」
リゼ「ヘルエスタセイバー!」
光の環が私を包む。
光の環が霧散すると、そこには蒼いドレスに身を包み、右眼は碧く輝き、左目を紅く燃やす一人の勇者が立っていた。
デビル「あとは任せた!」
耐えきれぬと吹き飛ばされる悪魔の横を駆け抜ける。
そして、手に握られた星空を映す剣で、突進を切り払う。
いなされ怯むもスザクは火炎弾を次々と打ち出す。
そのことごとくを切り伏せる。
勇者「星々よ、力を貸して。 苦しむ親友を、救うために!」
上空の空だけが星空に染まる。
そして、4つの星が煌く。
翼を一段と大きく開き、剣を構え突進する。
スザクは報復とばかりに最大の大きさの火炎弾を形成し、放つ。
それをも一太刀に斬り伏せる。
勇者「奇跡を我が手に!」
勇者「「「ヘルエスタセイバーァァァァァァァ!」」」
罪と彼らを別つ。