紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

32 / 84
MONBAN
第壱話 門番


これは、当たり前の物語。

 

 

戌亥「ん。 雨か。」

 

買い物を終え店から出た途端これだ。

ツイてない。

 

傘を買うのも考えたがこれ以上玄関先に物が増えるのもいけないし走って帰るとする。

 

大通りを走って帰る。

 

仕事柄、こういった大きい道のそばにある路地は気になるものだ。

なにせ普段斬っているような奴らが溜まっている代表的な場所。 予め捕れるものは捕りたいという正義感でもあるのだろうか?

 

違うな。 面倒事をさっさと終わらせて有給取りたいだけだ。

 

そうやって走っていると、路地裏に小さな影が見えた。

 

思わず立ち止まる。

 

あれはネズミでもなんでもない。子供だ。

 

 

面倒事は、先に終わらせよう。

 

路地に入っていく。

 

 

 

 

 

戌亥「大丈夫?」

少女「.....」

 

少女は首を横にふる。

やせ細っているにもほどがあるその体は見るに耐えないほどだった。

 

戌亥「そら、大丈夫じゃないわな。」

 

少女に手を伸ばそうとすると、路地の奥から聞こえる不愉快な足音に気づく。

 

鬼「あれ。 その子僕がもらおうと思ってたんだけど、先を....」

 

戌亥「.....」

 

鬼「チッ! 番犬か!」

 

戌亥「逃げんなよ。」

 

 

髪飾りを外し、奴に投げる。

飾りは炎を帯び二匹の狼へと姿を変え、奴の足首を噛み砕く。

 

鬼「カッ! この程度で怯むと思うか! このくらいすぐに再生するにきまってんだろ!」

 

戌亥「でも、隙は見せてはるな。」

 

腰に差している刀を引き抜く。

 

そして、再生しかけている足首を貫く。

 

鬼「ーーーーッ! 俺の足が!足がっ!」

戌亥「堪忍しいや。」

 

そして。 もう片方の足も貫いた。

 

鬼「がああああああ!」

 

奴のちぎれかけの両足首は黒い炎によって再生が阻まれている。

 

戌亥「やっぱり、拷問みたいでスッキリはせえへんな。 さて、尊でも呼ぶか。」

 

 

 

バンを遣わせて尊たちを呼ぶ間にチンピラを拘束する。

はっきり言って意味はない。逃げる手段はないんだし、大きい箱に取っ手を取り付けて運びやすくする感覚だ。

 

 

尊「またまた迷惑をかけてしまったみたいじゃな。」

戌亥「いいや、自分はただ自分の仕事をしただけだ。 それで....この子はどうする?」

尊「お主が拾ったんじゃないのか? 前メイドとかほしいって云っておったじゃろう?」

戌亥「ちょ... こんな年端の行かない子を!?」

尊「というかこちらからお願いしたい。 メイドとは行かずに養子として預かってもらうだけでいいからの。」

戌亥「...もしかして。」

 

尊「あの子、肉体改造を受けてたんじゃ。 しかも呪術的なものを。」

戌亥「しかもそれが鬼であったっていうんだからあんたが気にかけるのもわかるけど....なんで私が?」

尊「いや、うちはもう孤児院になりかけてるくらいいっぱいいっぱいになっちゃててのう。 うちじゃ無理だからそっちじゃだめかな~って。」

 

戌亥「はぁ。 親切もほどほどにせぇよ。 まぁ、日頃の恩もあるからね。預かるだけ預かるよ。」

尊「助かる。  これも、そろそろ本元を割りに行かないとな。」

戌亥「捜査ならある程度は手伝えるで。 何かあったら言いな。」

尊「逆も然り。 困ったことがあったら言いな。子育てなんかしたことなかろう? 部下に子持ちがいっぱい居るからのう。なんでも聞けるじゃろ?」

戌亥「おおきに。 んじゃ今日はここいらで失礼するで。 魚が腐ってまう。」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。