なんやかんやで子供を養子として預かることになった。
子育て.... ねぇ。
300幾年生きてきて男の気なんてなかったし子供と触れ合う機会もない。
正直に言おう。
くっそ緊張する。
子供を背負うのは慣れてるがどうやって喋ればいいんだ..?
仮にとはいえ私の妹になる娘なんだ。なんか喋らないと....
そういえば。
戌亥「そういえば。君の名前ってなんていうの?」
少女「..... ない。」
戌亥「そうか。 ..... どんな名前で呼ばれたいとかって、ある?」
少女「ならか。」
戌亥「即答だな。 ....なんで?」
少女「言いやすいから。..... それに、お母さんが見せてくれたお花がそんな名前だった気がするんだ。」
戌亥「へぇ.... (ナラヤエザクラか。 覚えとこう。)」
ならか「ここ.... どこ?」
戌亥「今日からあんたが住む家だよ。」
ならか「ひとりなのにこんなに大きいんだ。」
戌亥「立ち話している余裕ないんでね。さっさと入るよ。 アーオモタイ」
ならか「ひろーい! けど、がらっがら!」
戌亥「あんまり暴れないで。 あんた相当弱ってるんだから。」
ならかを椅子におろして冷蔵庫に買った生モノをしまって、手っ取り早く栄養を補給できるものを探す。
ならか「お腹すいた。」
戌亥「ちょっとまってな。」
おっ。 これはいい。
冷蔵庫から取り出したのはアルスからもらった土産のチョコレートだ。
ちょっと前にもらったのだがなかなか食べる機会がなかったやつだ。丁度いいカロリー源だ。
それにダメ押し。 ちょうど買っていた牛乳も取り出す。
コンロに魔力を流して点火させ、鍋を置く。
程よく温まるまでチョコを包丁で刻む。 アルスもいいセンスをしているのかケチったのかわからないがシンプルなものをくれたようだ。調理がしやすい。
鍋が温まったら牛乳を注ぐ。菜箸でかき混ぜながら、沸騰するまで温める。
沸騰したら火を止め、刻んだチョコを少しづつ加えながら菜箸でかき混ぜ、しっかり溶かす。
全て溶かせたら火を再点火し、しっかり温めたらマグカップに注いで完成。
ホットチョコレートだ。
ちょっとだけ魔術で霜を付けて若干冷ます。
戌亥「おまたせ。 はいよ、飲みな。」
ならか「ありがと! いただきます!
あったかい!あまい!おいしい!」
戌亥「そら良かった。 さて、と。」
緊急の栄養補給は間に合ったし、私の飯を作らねば。
予想外の運動が重なって以上に腹が減っているし米を炊く余裕もないな....
あ。あれを買っておいたじゃないか。
冷蔵庫からソフトうどんを取り出す。
さっきの鍋は温水に漬けてるから使えない。
久しぶりに代打の鍋を使うか.... 今度食器を買い増ししておこう。
鍋に水を注ぎコンロに掛け煮沸させる。
うどんを入れ約二分。
ザルで湯を切ってうどんを丼に入れる。
うどんが温かいうちにバターと生卵と黒胡椒を投入。
箸で気が狂ったように混ぜる。
そこに薄口醤油をほんの少し投入してまた混ぜる。
釜玉バターうどん、完成だ。
丼を机に置き、食う。
戌亥「いただきます。」
まろやかな卵の味にバターの風味が心地良い。 胡椒の香りも食欲をそそる。
強いて言うならうどんがヤワすぎるか。 こんど尊のとこにうどん食いに行くかな。
ふと時計を見ると時間は夜の9時を差していた。
まずいな。 太る.... ワケないか。 ヒトと仕事をしていると意識まで移るもの...なのか?
コーヴァスから派遣されてたあの騎士様は夜勤の後ボヤきながら牛丼を食っていたが。
ならか「ならかもそれ食べたい。」
戌亥「む。 そうだな、余りもあるし、さっと温めて作ってやろう。」
ならか「やったー」
飯テロすまない。