戌亥「大丈夫か? 足、辛くない?」
ならか「へいき。 おにだもん。」
この外出はならかのリハビリも兼ねてる。
なにかしらあったらならかを背負う気持ちでいたけど、流石鬼の子だ。
門番「うっす。 尊様に御用ですよね?」
戌亥「そだね。 いつもおつかれさん。」
尊「おや、早速来たみたいかの。 何用じゃ?」
戌亥「いろいろ。 まず聞きたいことは、戸籍どうするねん?」
尊「そうそう。 その書類も書かないとなっと思って一応書類は用意してあるんじゃ。」
戌亥「どれどれ.... やっぱり正式に義妹になるってことね。」
尊「文句、ある?」
戌亥「一つだけ。 彼女.... ならかの親は見つかったの?」
尊「このことは、しばらくあの子に内密にしてほしいのじゃが..... 一週間前のあの性別しかわからなかったあの焼死体。 あの死体とその子の魔力指向が完全に一致したんじゃ。」
戌亥「つまり、あの子の母親ってこと?」
尊「そう。 父親も今捜索してる。 じゃが... あの火災で見つかった身元不明の死体の数々を考えると存命しているとは考えづらい。」
戌亥「....そう。 あれから逃げて.... スラム街を転々として... そしていろんな面倒事に巻き込まれてきたと考えるべきか。」
尊「あの子の両親のことで分かってる事は以上。 それで? 決心は?」
戌亥「そんなこと聞いてむざむざと"ハイ無理です"なんて言えるか? あの子は私が預かるよ。 肉体改造の件もそれを施したやつが追ってくるかもわからん。 守るよ。 責任を持って。」
尊「....」
戌亥「なんや、複雑な顔して。」
尊「いや、なんか戌亥がとうとうお母さんか、って思っての。」
戌亥「おたく自分の言ったこと分かってる?義姉妹だって....」
尊「変わらんもんじゃろ。」
戌亥「えぇ....」
ならか「おわーーー!」
戌亥「入ってきちゃったか。」
尊「まあこれからの事は別段聞こえてもええやつだ。」
養母「尊様! すいません.... 制止しても聞かなくって....」
尊「幼子に制止は毒じゃ。 それでよい。」
戌亥「なれてんな.....」
尊「それでじゃ。 ここからが本題なんじゃが.... 肝心の戸籍に登録する名前。 これはどうするんじゃ?」
戌亥「呼び方は決まってるけど....」
尊「そう。 その"ならか"という名前に正式な字を与えないといけない。」
戌亥「"ならか"は本人が母親に見せてもらった花の名前をうろ覚えで言ったものらしいから.... その花から字を取りたい。」
尊「"ならか".... 奈良八重桜かの。 そこから安直に取るなら奈良花じゃが....」
二人「安直すぎる。」
尊「じゃあ姉であるお主から取るかの。」
戌亥「.... なんか、ある?」
尊「ん~ 華麗や網という意味を持つ"羅"を当てるのはどうじゃ?」
戌亥「ん。 確かに奈に羅に花とくればだいたい全部美しいとかの意味になりうるし女子の名前としては上等なんじゃないか?」
尊「決まりじゃな。」
ならか「.... これ、何?」
戌亥「あんたの名前。 これで"ならか"って読むんだよ。」
奈羅花「.... かっこいい。」
戌亥「そら、よかった。」
尊「書類はこちらで出しておく。 じゃ、メインディッシュじゃな。」
奈羅花「うどん?」
尊「そうじゃよ。 腕利きのコックがいてだな。そいつの料理は一級品じゃぞ? うどんに限らずそばやラーメン、焼きとうもろこし。 まだまだ色々うまいもんあるで。」
奈羅花「そ.... らー.... とうも.... ???」
戌亥「変なこと吹き込まんでもろて。」