戌亥「という訳でだ。」
奈羅花「うん。」
戌亥「あんさんにお使いに行ってもらいたいんよ。」
奈羅花「分かった。」
戌亥「…駄々こねたりとかせぇへんの?」
奈羅花「だって… 困ってるんでしょ?」
戌亥「まぁ…そらそうか。」
お姉ちゃんが買ってきてと言っていたのはいちごと牛乳。
家を出て左に歩いて道を3個越えたら左に曲がる。
そうするといつものお店があるらしい。
お姉ちゃんが何を作るか分からないけど、頼み事なんだからしっかりとやらなくちゃ。
持たせてくれた袋にお金と、お守りが入ってる。お姉ちゃんはこれを絶対に落とすなと言っていたし、しっかり持っていよう。
お店に着いた。
ここのお店はお姉ちゃんと何回か来てるから場所はなんとなく分かる…はず。
奈羅花「かごが取れない…!」
フレン「はいどうぞ。」
奈羅花「お姉さんありがと!」
フレン「どういたしまして。気をつけてね。」
牛乳はいつも買ってるから場所はわかる…けど、苺がどこかわからない。
くだものが売ってるところを見回ってもいちごが見えない…
どうしよう。
厨房長「おっ。 奈羅花ちゃんか。戌亥ちゃんは?」
奈羅花「おばさん! 今は居ないよ。だってお使いに来てるもん!」
厨房長「感心するねぇ。 でも、なにかお困りのようだ。」
奈羅花「いちごが見つからないんです。」
厨房長「苺か。 そら果物の棚の奥の方に置いてあるからな。見えるはずもないか。 ほいっ、どうぞ。」
奈羅花「ありがとうおばさん!」
厨房長「…どういたしまして。」
カゴをれじのお姉さんに渡してお金も渡した。
あとは買ったものを袋に入れて家に帰るだけ。
奈羅花「よっこいしょ。」
牛乳が重いけどなんとかなるはず。
お店を出ると…
強い風が吹いてきた。
通行人「なんだよアレ!」
人達が向こうへ逃げていく。
みんなが指さしている方向を向くとそこには大きなとかげが暴れていた。
奈羅花「…」
にげるべきか。でも、にげられる自信もない。
助けを呼びたい。
そう考えてるうちに、とかげは目の前に迫っていた。
お姉ちゃ…
フレン「危ない!」
危なかった。ギリギリで飛び込めた。
この子を危険に晒したら戌亥さんに顔が立たない。
とりあえず。
フレン「大丈夫!?」
奈羅花「…ありがとう。」
フレン「…泣かないのね。いい子。」
そっと頭を撫でる。
フレン「姐さん!この子を頼みます!」
厨房長「了解! お前も気をつけろよ!」
さて、この怪異の始末、どう付けようか。
とりあえず、やれることは、完璧な始末をする前の下ごしらえをするのみ!
怪異がまた尾で攻撃を仕掛けてきた。
だが、その手は食わない。
腰の剣に手をかけ、抜刀。
豆腐に箸を入れるように切れる尾。
フレン「流石はシフ国に発注した剣だね。」
道具の自慢は後にしよう。蹴りが来る。
蹴りには、蹴りで返そう。
蹴りと蹴りの正面衝突。
体格差から見てこちらの分が悪いのは明白。
だが、こちらが勝った。
奴の膝が逆方向に折れ、崩れ落ちる。
怯んだ今だ!
隙だらけになった首に剣を突き刺す。
やつが沈黙したのを確認したらそれを引き抜く。
フレン「ふぅ…」
奈羅花「お姉ちゃんすごい!」
フレン「戌亥さんの妹にそう言われるのは中々に恐縮だね。でも、ありがとう。」
厨房長「やっぱフレンちゃんすごいねぇ! 齢16にして警備隊2番部隊の副隊長なだけある。」
フレン「年齢は関係ないですよ。」
厨房長「そろそろアレも異変に気づいて飛び出してくる頃だし、先回りして驚かしちゃいましょ。」
フレン「んじゃ、奈羅花ちゃん、お家までの道、教えてくれる?」
厨房長「そう言えばあんたこれから暇?」
フレン「そうですけど… どうして?」
厨房長「奈羅花ちゃんのお使いの内容。 見て分からない?」
フレン「…! そういう事ですね!」
厨房長「そう! 手伝いに行くわよ!」
戌亥「……んあ?」
厨房長「うーす! 奈羅花ちゃんの歓迎パーティのお手伝い、しに来たぜ!」
フレン「奈羅花ちゃんを送り届けに来ましたー!」
戌亥「あんたら呼んでないんだけど…」
尊「フレンー! 久しぶりじゃの! そして先生、お主も呼ばれおったのか?」
厨房長「いや、勝手にきただけ… もう、お酒入ってる?」
戌亥「…(首を振る)」
厨房長「帰りの荷物増えるじゃないのよー!」