紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

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第拾話 愛を込めた火花

尊「zzzzz....」

奈羅花「zzz...zzz...」

フレン「やっぱり寝ちゃいましたね....」

料理長「案の定だよ...」

フレン「私がお館まで送っていきましょうか? 尊さんには数え切れないご恩がございますので。」

料理長「いいよ。頭領の落とし前は部下がつけるもんでしょ。 それに、戌亥ちゃんがあんたにお話があるみたいだしさ。」

 

 

フレン「お話って...?」

戌亥「あんたに頼みがあってね...」

フレン「お頼み...ですか。」

戌亥 「あんたに奈羅花の剣の指導を任せたい。」

フレン「奈羅花ちゃんの!? 断る義理はございませんが...何故です?」

戌亥「単純な事だよ。 私が気難しくグチグチ指導しても奈羅花のためにならないだろうし...年が近いあんたが適任かと思ってね。」

フレン「それは... 恐縮です。 喜んで務めさせていただきます!」

戌亥「そう固くなさんな。 それと、明日空いてるか?」

フレン「明日どころかここ一ヶ月はシーズン開けなのでなにもありませんが...」

戌亥「そりゃいい。 明日奈羅花の剣をこしらえに行こうと思ってね。 あんたがメインで指導するんだ。剣選びとかも一緒にやるほうがええやろ。」

フレン「そうですね。 剣をこしらえるとなると... やはり刃さんの工房ですか?」

戌亥「そうさな。 明日の昼前くらいにまたうちに来てもらえるか?」

フレン「了解です。 私はここらで失礼しますね。 冷蔵庫お貸しいただいてありがとうございました。 戌亥さんも飲みすぎに気をつけてくださいね。」

戌亥 「あい。 また明日な。」

 

 

 

フレン「戌亥さん? 戌亥さーん!」

 

呼んでも返事がない。 もしものときのために合鍵を渡されていたけどもう使ってしまうのだろうか。

事があってからでは遅い。 鍵を鍵穴に差し込み中に入る。

 

フレン「(失礼しまーす)」

 

目の前に広がっていたのは酔いつぶれて寝ているであろう戌亥さんと何事もないように平然と牛乳を飲んでいる奈羅花ちゃんだ。

 

奈羅花「あ、フレンお姉ちゃんだ~ おはよ~」

フレン「おはようございます... これ、いつもなんですか?」

奈羅花「お姉ちゃんがお酒飲むとだいたいこうなるよ。 もうすぐで起きるかも。」

 

戌亥「おが... おはよ...」

奈羅花「おはよ~」

フレン「おはようございます。」

戌亥「あ、フレンもう来てたのか。 ササッと支度しないとね。」

奈羅花「おでかけするの!?」

戌亥「あんたの剣をこしらえにな。」

奈羅花「!! はやくきがえる!」

フレン「あせらなくてもいいですよ~!」

 

 

戌亥「さ、行こか。」

奈羅花「うん!」

フレン「また私がおんぶですか... まぁ、奈羅花ちゃんが楽しいなら良いですけど。」

 

 

 

戌亥「ここやな。」

フレン「奈羅花ちゃん、降りれます?」

奈羅花「う~ よっと!」

 

戌亥「親方~! いるか~?」

刃「いるぜ! ちょっとまってな。」

 

相変わらずガタイの良い大男が工房の奥から出てきた。

 

刃「なんだい戌亥。 不良品の調子がもっと悪くなったか?」

戌亥「こいつの調子はむしろ良好だよ。 頼みたいのはこの子に訓練用の刀をこしらえてほしくてね。 でかくなっても脇差として使えるようなモノを。」

刃「その子... 料理オネエが言ってたあんたの義妹か。 その子に剣を仕込むのかい?」

戌亥「相変わらずいい方が物騒やね...あながち間違ってはないけどこの子自身がやる気なのもあるね。 もう教師も雇ったし。」

刃「だからフレンの嬢ちゃんもいたのか。 先生と一緒に選ぶほうが良いに決まってるもんな。 サンプル持ってくるわ。ちょっと待っとき。」

 

フレン「不良品って...なんのことです?」

戌亥「私の獄炎剣のことだね。 持ち出し無用のこの刀を私だけが持ち出してること、疑問に思わなかったんか?」

フレン「そりゃそうですけど...」

戌亥「ま、不良品って呼ばれてるあたりでわかると思うけどこの獄炎剣を私が使って処刑を行ったときに変な血を浴びたせいかどっかのリミッターがぶっ壊れたらしく私以外の言うことを聞かなくなっちゃったみたいで、押し付けられる形で使ってるわけだね。」

フレン「なるほど...そんなこともあるんですね。」

戌亥「本来なら破損したら魂抜きをして獄炎を発生不可能にしてから薙刀とかに打ち直すんだけど...それすら無理だったみたいで。 まぁ、仕方ないわな。」

 

刃「待たせたな! この箱に入ってるこいつらがサンプル品だ! 色々吟味してみ!」

奈羅花「....!!!」

戌亥「めっちゃ眼がキラキラしとる。 ほらフレン。 一緒に見てあげたらどうよ。」

フレン「あっはい。」

 

フレン「よっこいしょ。 なにか気に入ったものとかありますか?」

奈羅花「う~ん... どうしよう。」

フレン「見た目だけじゃなくて、実際に握って、振ってみたらどうでしょう?」

奈羅花「なるほど」

 

 

なかなかうまくやってるみたいやな。

 

刃「なかなかにいい師弟関係じゃねぇか。」

戌亥「フレンの丁寧な教え方の賜物やな。 まあ丁寧すぎるのも考えものだけどな。」

 

フレン「これなんかどうでしょう?」

奈羅花「いいかm... 重い...」

フレン「あっ... ごめんなさい...」

奈羅花「つぎ!」

 

 

 

1時間後...

 

 

フレン「なかなか合うものが見つからないですね...」

奈羅花「...! まだ試してないものがある! しかも...紅い!」

フレン「振ってみましょうか!」

 

奈羅花「...これいい! これにする!」

フレン「気に入るものが見つかってよかったです!  刃さん! この刀、お願いします!」

 

刃「あいよ!  ってコレ....」

戌亥「どうかしたんか?」

刃「あんたら義理でもやっぱ姉妹だな! この脇差、お前さんの剣の姉妹剣だよ! こんな偶然あるかい?」

戌亥「姉妹剣ってことは... 同じ鋼から生まれたモノって事か。 というかよくそんなの覚えてるな。」

刃「そら... 俺が一本一本愛を込めて、火花を散らして造ってるからな! 子供が生まれた土地を忘れる親がいるかよ!」

 

 

フレン「じゃあ... 奈羅花ちゃん、この剣の銘を、決めましょうか。」

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