紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

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第拾壱話 馬鹿な遊び

奈羅花「銘...?」

フレン「そうです。 この子の名前を決めるんです。」

奈羅花「お名前! それはだいじ...」

フレン「ゆっくり決めていいですからね。」

奈羅花「じゃあ... おじちゃん! 紙とペンちょうだい!」

刃「あいよ! というか書いてもらったほうがこちらもやりやすいしな。最初から渡しときゃよかったぜ。」

 

奈羅花「むむむ... そうだ! お姉ちゃんの剣の名前ってどう書くの?」

フレン「戌亥さんの剣...獄炎剣ですか。 少し待ってください。」

奈羅花「!! この真ん中の可愛い文字ってなんて意味なの?」

フレン「炎ですね。 意味...ですか。まじまじと聞かれると困りますね... 燃え盛る火...としか。」

奈羅花「...ほのお。 かっこいい!」

 

刃「やっぱあの子教えるのうまいね。 短絡的な回答もちゃんと答えてるし... ポテンシャル以上に良い剣士に育つよ。奈羅花ちゃん。」

戌亥「あの子に先生を押し付けちゃう以上私は義姉としての見本をしっかり示さないとな。」

 

奈羅花「じゃあ...お花の字をあわせて... こう!」

フレン「なるほど...[花炎]ですか。 いい銘じゃないですか!」

奈羅花「ありがと!  おじちゃん! 決まった!」

刃「おっ。 速いね。 なるほど...了解。 んじゃ、俺はコレを完成品として仕上げるから...2時間くらい時間もらうかな。 暇なら弟の店も覗いていったらどうだ?敵の武器を知る事も強い剣士として重要な事だぞ。」

奈羅花「!! 見に行く!」

戌亥「決まりやな。」

 

 

 

戌亥「双! いるか~?」

双「いますよ。 戌亥の姐さん。」

戌亥「あんたの兄の勧めでな。 刀ができるまでこっちで暇つぶししてこいってな。」

双「兄さんらしくな... おや。 そういうことですね。」

戌亥「あんたも話聞いてたんか?」

双「はい。 兄さんから少し。 その子に様々な武器を学んでもらうためですよね。 問屋の腕が鳴ります!」

フレン「こんなに種類置いてる武器屋さん始めて見ました... 危ないですから手、離さないでくださいね。」

奈羅花「うん!」

 

双「手始めに... 銃火器なんてどうでしょう? 最近は槍やボウガンなどに比べて使用頻度が高いみたいですし。」

戌亥「そうやな。 ...そうだ。 対処法を学ぶがてら、馬鹿な遊びしよか。」

双「...戌亥の姉さんもしかして義妹の前だからって張り切ってません?」

戌亥「まっさか~」

 

射撃場に移動する。

 

双「さて、防音具は付けましたね?」

奈羅花「ちょっと重い」

フレン「我慢ですよ。」

 

双「銃火器は知ってる通り鉛玉などを発射するものです。 一部では銀を使用した弾丸もあるそうですが...それは例外に近いものですし、剣士として戦う上では対処法に差異はないため特に説明はしません。 銃火器には火薬式と魔力式があり、火薬式は威力は魔力式に劣りますがこの様に小型なものが多いです。 魔力式は逆に少し大型なものが多いですがその分威力は非常に高く、弾速も速いです。 実際に撃ってみますね。」

 

双「まずは火薬式。」

 

微小な火花とともに甲高い発砲音が二回響く。 微かな火薬の匂いも漂う。

 

双「これだけでも数点特徴にお気づきですね?」

戌亥「発砲音と匂い。 そして火花やな。」

双「そうです。 特に発砲音と火薬の匂い。この二点が火薬式の大きなデメリットと言えるでしょう。 戌亥さんのような獣系の亜人にとっては微かな匂いや音だけでも敵の位置を特定できる大きなヒントですから。」

フレン「なるほど...」

奈羅花「たしかにちょっとくさい。」

 

双「次は魔力式。」

 

眩い閃光とともに鈍い金属音が2度響く。

 

双「比較してデメリットを挙げるなら、言わずもがな発砲時の大きすぎる閃光ですね。 魔力を使用する都合上加速装置であるバレルの発光は免れないもので、大規模な遮光装置がないとコレを抑えるのは不可能でしょうね。」

フレン「ですが、コレ、使いようによっては近接戦で目くらましに使えますよね。というか使われたことありますし。」

戌亥「苦し紛れもいいとこやけどな。 そこまで入れたなら剣の間合いだし。」

フレン「言えてますね。」

 

奈羅花「おじさん。」

双「なんだい?」

奈羅花「さっき言ってたお遊びって...なに?」

双「あっ...」

戌亥「おっ。 やる?」

双「この人の馬鹿な遊びって疲れるんですよね... 精神的に。」

 

 

フレン「ここって...」

双「余り部屋... というには広すぎますよね。」

戌亥「試し打ち部屋だよね。 銃にしろ武器にしろ。」

 

戌亥「んじゃ、撃ってみて。 当てるつもりで。」

フレン「!?」

双「そういう反応になりますよね!!だって[馬鹿な]遊びですもの!」

 

戌亥「まずは普通の避け方からやな。」

双「行きますよ!」

戌亥「うい」

 

三発発砲。

一発目は私に当たるど真ん中。あと2発は避けられた時の保険として左右に振ってある。

流石店主。 銃の扱いも一級。

だが、少し甘い。

 

一発目は右前にステップで躱す。 

もちろん振った弾が懐に向かって飛んでくる訳だがそれをさらに左前にステップ。

脇の下を玉が通るように躱す。

 

戌亥「...こんなもんか。」

双「流石ですね。 結構本気で撃ったのですが。」

フレン「はっやい...」

奈羅花「みえなかった。」

 

戌亥「んじゃ、馬鹿な方行ってみるか。 フレン、あんたも剣構えとき。破片が奈羅花に飛んでったら大変だし。」

フレン「破片...? とりあえず了解です。 奈羅花ちゃん、私の後ろから見ましょうか。」

戌亥「それじゃ... 双、今回は魔力式の方で頼むよ。」

双「えぇ!? ...何があっても知りませんからね!」

戌亥「バッチこい!」

 

抜刀し、双が握る銃の銃口を見つめる。

閃光は三回。

流れてくる弾を剣で受け止めるようにはじく。

はじく音を頼りに次の弾へと刀を動かす。三回金属音が響く。

はじいた弾丸は切断され、捻れた破片として至る所に飛んでゆく。

 

フレン「破片って! 銃弾のことですか! って一個来た! 危ない!」

 

また金属音が響く。

 

 

戌亥「久しぶりにやったけど楽しいね!」

双「めっちゃ疲れた...精神的に。」

 

 

戌亥「...! フレン、あんたも中々筋あるね。」

フレン「...へ?」

戌亥「この破片。 ねじれてるけど確実に4等分になってる。」

フレン「...ほんとだ。」

戌亥「...やる?」

フレン「流石にお断りさせていだきますね。」

 

戌亥「どうだった?」

奈羅花「よく見えなかったけど... かっこよかった!」

戌亥「あんたが目指したいものは完成形なんてないんだ。 色んなものを見て、自分だけの形を見出していきな。」

 

刃「おーい! お楽しみのとこ悪いが嬢ちゃんの脇差完成したぞー!」

奈羅花「...!!!」

フレン「あ、ちょっと! 走らないでください!転んだら危ないですよ!」

 

双「賑やかですね。」

戌亥「そうだね。 この景色、いつまで見られるかわからないけど。」

双「だからこそ、一刻一刻を噛み締めて行きましょうよ。」

戌亥「言われなくても分かってる。 手間取らせて悪かったね。んじゃ、兄貴のとこ戻るわ。」

双「こちらこそ。 ありがとうございました~!」

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