フレン「戌亥さん、こんにちは~」
戌亥「お、来たか。 奈羅花のために色々仕込んで来たんやろ? 立ち話もアレだしさっさと上がってや。」
フレン「おじゃましま~す。 あ、奈羅花ちゃん。 こんにちは~」
奈羅花「こんにちは先生!」
フレン「やっぱり先生って呼んでくれる! 私もちょっとは先生として認められてるって事?」
奈羅花「いや、フレンお姉ちゃんだとお姉ちゃんとまざってややこしいから。」
フレン「やっぱり...」
フレン「今日は剣のお稽古だけをしに来たわけじゃないんですよ。」
戌亥「お、その荷物がこの前言ってた[準備]の賜物か。」
フレン「シフ国に住んでる友達に頼んで取り寄せてもらったんです。」
戌亥「これって...教科書とテキスト? 筆記と...法律か。」
フレン「剣を扱うにあたって公衆のルールはつきものです。 それも一緒に学べればより扱いも分かってくるかなと思ったのですが...」
戌亥「そもそも奈羅花は読み書きすら怪しいやろ。」
フレン「そうなんです。 だから、その前に読み書きとかを学ぶことにしようと思って。」
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奈羅花「あきた。」
フレン「...そうですね。」
戌亥「...ちょうど一時間。 子供ってこんな集中力持つもんなのな。」
奈羅花「できるようになるのは楽しいけど... あきた。」
フレン「...座学はここらで切り上げましょう。 じゃあ、お待ちかねの剣のお稽古に参りましょう。」
奈羅花「!!! やった!」
フレン「奈羅花ちゃんの剣の抜き方、納め方はこの間拝見させてもらいましたが...それに関しては何も変えるべき点はないと思います。 一つだけ、気になる事なら、刀を引き抜く時。 若干肩が震えているのが気になるくらいですね。 これは刀を握ったばかりなら仕方ないことです。慣れによって治るはずです。」
奈羅花「なるほど。」
フレン「ここからが本題です。 この前の巻き畳が何故、最後まで斬れなかったのか。 その理由は刀の持ち方と構え方、そして最大の要因はブレなく振れているか。」
奈羅花「...ぶれ?」
フレン「試しに抜刀をしてみてください。」
奈羅花が抜刀し、剣を正面に構えた。
フレン「まずは刀の持ち方です。 利き手はどちらですか?」
奈羅花「ペンを持つ方の手。 右手かな。」
フレン「ならその右手を鍔に沿うように握ってください。コツとしては、手首は真っ直ぐにするのではなくて流れるように。それと、主に力を入れるのは下の方の指。薬指と小指です。それを支えるように中指は握って、人差し指と親指は添えるように。」
奈羅花「左手はどうするの?」
フレン「左手は柄頭、持ち手の先端ですね。 それを余らせるようにこうやって柔らかく握ります。」
奈羅花「なら...こうして...」
フレン「そうです!そうです! 最後は両手首を内側に少し絞るように寄せればそうやって真っ直ぐに構えることができます。」
奈羅花「すごい。 なんかしっくりくる。」
フレン「そういった握り方一つにも斬れる理由は隠されているんです。」
フレン「次は、振り方です。 この前、畳を斬った時、どういった感触でした?」
奈羅花「なんか...剣に振り回されてぶつかった、っていう感じだった。」
フレン「そうなんです。 先日の奈羅花ちゃんの振り方はこう...刀の重さに振り回されるような振り方でした。 振り回されるままでは一向に斬る、という事は叶いません。 ではどうすればいいか? それは簡単です。 刀を確実に自分の手の中に納める。それが鍵なんです。」
奈羅花「手の中に...納める。」
フレン「そうです。 先程奈羅花ちゃんが気づいた[絞る]。 これも手の中に納めることの一つです。 イメージするのは、自分の掌から一寸も離れない、長いところまで届く腕。 さっき教えた握り方ですでにコレは形になっているはずです。 脇を締めて、思いっきり振ってみてください。」
奈羅花「わかった。」
奈羅花「.... やぁああ!」
力強く振られる刀。 これまでとは一味違う、風を切るような音が周りに響く。
奈羅花「...これが、本当の刀。」
フレン「ええ。 大人顔負けのいい素振りでした。」
戌亥「いい風の音が聞こえたと思ったら。 結構形になってきてるやないか。」
奈羅花「ほんと!? かっこいい?」
戌亥「ああ。かっこいいで。 それと、お昼できてるで。 これ食ったら今度は私も口を出させてもらおうかな。」
フレン「戌亥さんが意見を出されるとなると... 実際の剣の打ち合いに関して、ですか。」
戌亥「ご名答。 次は実際に私に打ってもらおうかな。」
フレン「...へ?」
奈羅花「....???」