紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

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第拾八話 紙飛行機

警視正「昨日ああ言っておいて恐縮なんだが... 早速仕事ができた。」

奈羅花「昨日言っていた経過観察中の事件ですか?」

警視正「そうだ。 鑑定に出していた追う材料が戻ってきた。 これから足を使って調査に行くが... なにか質問が? アタマの上にハテナがついたような表情をしているが。」

奈羅花「いや... どういった事件かというのを聞いてないな... と。」

警視正「いや失敬。 肝心なことを伝え忘れていたようだね。 今回追うのは連続して子供が誘拐されている事件だ。 子供は見つかっているのだが... 体に呪術的な人体改造を受けた痕跡を残して発見されている。 当然許せることでもない。 見つかった子どもたちにある痕跡たちを鑑定に出して、いまやっとシッポが掴めた。 若いのは後で向かってくるらしいからとりあえず僕たちだけでも犯人を追う。」

奈羅花「了解です。」

 

 

 

警視正のおじさんの後を追いかけて街を走る。

 

奈羅花「なんか... 乗り物とかないんですか?」

警視正「乗り物よか僕たちの足のほうが速いでしょ。 ...ん。 人混みがすごくなってきたな。 上、行こうか。」

奈羅花「上?」

 

疑問はすぐに証明された。 おじさんはひと飛びで道沿いの店の屋根へと飛び乗った。

 

奈羅花「まじすか。」

警視正「大マジだ! はよついて来な!」

奈羅花「ああもう! 了解です!」

 

市街地の屋根を飛び移り駆ける。

 

警視正「...そろそろだな。」

 

おじさんが飛び降りた少し後ろの地点に飛び降りる。

 

奈羅花「どうし...」

警視正「(シッ!)」

奈羅花「(はい... 掴んだシッポって... ここなんですか?)」

警視正「(そうだな。 今から張り込んで突撃のチャンスを伺う。 合図したらあの建物に突っ込む。 扉なんか蹴破っても構わん。)」

奈羅花「(了解です。)」

 

 

 

しばらく様子を見ていると、見張っていた建物から黒いコートを着た男が出てくる。

 

男「...犬が付けてきたか。 面倒だ。」

奈羅花「(気づかれてる?)」

警視正「(...行くぞ!)」

 

おじさんが男に向かって駆ける。

 

男「君は... 本命じゃないね。」

 

男は懐から銃器を取り出し、おじさんに向け発砲する。 

おじさんは身を軽く反らして避ける。

 

警視正「あぶねっ! でも、これで検挙しない理由はなくなったな!」

奈羅花「大丈夫ですか!?」

警視正「バカ! アイツから目をそらすな!」

奈羅花「...! はい!」

 

男「...その眼。 あの女の子供か。 始末したと思ったんだけどな... 失敗していたとは。」

奈羅花「...! 私が何者か。 知ってるんですか。」

警視正「話すな!」

男「何者か知ってるも何も。 僕は君の父親だぜ?」

奈羅花「父...親? なら、母さんはどこだ! 生きているはずだ!」

警視正「!!!」

男「...こいつは傑作だ。 僕の娘は犬どもにウソを仕込まれてここまで生きてきたっていうのかい? まぁ教えるとしようか。可愛い娘だもんな。  君の母親は死んだよ。君を守って、あの火事で焼け死んだ。 君が生きてると信じ始めたときにはとっくに死んでいるんだ。」

奈羅花「....!!!!」

男「悲しいかい? ああ悲しいよなぁ? 信じたモノはもう無くて。その上大人たちは君を騙し続けてきた。 その上。 ここで暴露しよう。 君の母親を殺したのは僕だ。 実験体を造るだけの母体に過ぎなかったからねぇ。 証拠隠滅。捨てない理由もなかったわけさ。」

警視正「.... 貴様!!!」

男「おっと。 それでも怒れる立ち場かい? ウソを突き通した卑しい大人であった君が?」

 

奈羅花「卑しい大人なんかじゃないです。 姉さんが言ってました。 大人は、いつかウソをつかなければ行かないって。 そのウソは、子供の夢を認めて、紙飛行機のように飛ばすためのウソだって。 なら、姉さんたちが付いたウソはそれなんだ。私の夢は紙飛行機だ。優しさに支えられ、今飛び去った。 なら、今あるのはなんだ。この腕は。 新しい夢を掴むための腕だ!」

 

 

良いこと言うネ。 新人ちゃん。

 

休み明け早々重そうな仕事だ。 

 

 

2つの影が、背後から飛び出す。

 

レヴィ「話は聞かせてもらったヨ。 ちょっと14歳に課す状況としては過酷すぎないカ?」

長尾「レヴィさん、不用意に口出しするのは避けたほうがいいと思いますよ。 でも、目の前にいるこいつがこれまでの事件の親玉ってことは聞いた限りじゃ不動の事実らしいね。 ジイさんは下がって! さ、新人さん、行きますよ!」

奈羅花「あ... はい!」

 

男「ちっ! 3対1はさすがに分が悪いか。 失敗作をぶつけてここは退くとしよう。」

長尾「あっ! 逃げんなコラぁ!」

レヴィ「深追いしないデ! なにか来ル!」

 

男が出てきたビルの窓から無数の魔物が飛び出してきた。

 

長尾「何だあの魔物!? 見たこともないぞ!」

奈羅花「でも、戦わないと市街地にも被害が!」

警視正「なんとかして食い止める! 行くぞ!」

 

火桜と花炎を引き抜き、先輩たちと肩を並べる。

 

レヴィ「僕は魔術で後方支援! 前衛は任せタ!」

奈羅花「了解です!」

長尾「お手並み拝見させてもらおうか!」

 

 

魔物の波へ飛び込む。

 

 

 

 




戌亥「なあ奈羅花。 救えないモノって、あると思うか?」
奈羅花「あるとは思います。」
戌亥「具体的には?」
奈羅花「...この手が届かないもの。 としか。」
戌亥「...いつかわかる時が来るよ。 手を伸ばすことも嫌になるような、救えないもの。」
奈羅花「...」

戌亥「それも知る前に、手を伸ばしても届かないモノを何とかすることが先決だとは思うがね。 お前ももう13歳だ。 私の、必殺技を教えようか。」
奈羅花「必殺技?」
戌亥「へっ。 かっこいいだろ?」
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