紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

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第5話 覚醒、伊吹の剣

気付くと目の前には広大な花畑が広がり、心地よい風が吹いている。

 

???「君が新しい担い手?」

リゼ「だ...誰ですか?」

???「まぁ私の事はどうでもいいよ。事は急を要する。手っ取り早くこの状況を説明すると、ここは剣の中。君のお父さんはヘルエスタセイバーなんて言ってたね。」

リゼ「剣の…中。」

???「君の友達も言ってた剣の声とは私たちの事さ。まぁ君には後々話そう。まずするべきことは君の友達を守ることだ。」

リゼ「そうだ!とこちゃんを助けるためにはどうすれば!」

???「落ち着いて。順を追って説明する。まず君が与えられた剣は伊吹を司る剣。生命の活気、繁栄を守護する剣だ。」

リゼ「伊吹…」

???「そうさ。まぁ今はそんなことどうでもいい。君の友達の助け方だよ。まぁ簡単ことだ。君が友達を想う気持ち。それを剣に込めて。あとは私が導く。

さぁ行きなよ。お姫様。」

 

 

 

友達を想う気持ち。そんなの、もう嫌になるほどあふれてる。

だって。私を、唯一、友達として受け止めてくれたんだもの。

だから、私だって.....!

 

 

 

 

???「どうしました? 動きが鈍いですが。」

 

戌亥「(チッ! 流石に4年越しじゃあブランクが大きすぎるか!思うように体が動かない!それに獲物の微小な重量の差がここまでキツいとは!)」

 

???「おままごとは結構。 これで終わりにしましょう。」

戌亥「こうなったら…奥の手をー」

 

リゼ「うわぁぁぁぁあ!」

 

何も考えずに飛び込む。

剣を振ったこともないし、そもそも構えられるかどうかも怪しかった。

でも、今は、守る事だけに集中する。それだけで力が溢れてくるんだから!

 

戌亥「リゼはん!?」

 

???「…! 何だこの力!」

 

リゼ「やっと、大切な人へ届く腕を手に入れたんだ!扱い切って、みせる!」

 

力任せに男の剣を押し返した。

 

???「守れなかった者の気も知らずに!」

 

リゼ「…知ってるよ。」

 

突っ込んでくる男を振り下ろす剣でふきとばす。

 

リゼ「だから、貴方を止めたいんだ!」

 

???「!?」

 

リゼ「目覚めよ!伊吹の剣!」

 

蒼い風が吹く。

 

青葉が舞い上がる。

 

リゼ「勅令。此処に或るは繁栄の証。人王の真髄を知れ!」

 

青い風が青葉を纏い、剣を中心に螺旋を形成する。

 

リゼ「ヘルエスタ セイバァァァァァァ!」

 

穿つ剣が放つ環をくぐり、螺旋が黒甲冑の男に対して放たれる。

螺旋は彼の胴体を確実に捉え、甲冑を砕き、吹き飛ばした。

 

???「なんですか…これ…。 僕はこんなもの知りませんよ…。仕方ない。ここは撤退しましょう…」

 

リゼ「ふぅ… あ。 とこちゃん!!!! 大丈夫!? 怪我ない!?」

戌亥「無いけど…さっきのなんなん?」

リゼ「わかんない…でも、アンジュが言ってた剣の声ってやつが私にも聞こえたの。」

戌亥「アンジュはんが言ってたの、戯言じゃなかったんか。あっはー…」

 

戌亥「リゼはん、ありがとさん。」

 

リゼ「うん…どういたしまして!」

 

 

 

 

バーガンディ「金髪に黒い甲冑の男?」

戌亥「ええ。」

バーガンディ「うーむ。話を聞く限り犯人はこの村自体に因果を持っているわけでもなく、あの教会に対して確執を持っている…」

カトリーナ「さらにあの教会、かなり胡散臭いよ。」

リゼ「そうだったの?」

カトリーナ「うん。あの教会も、隣接して畑を持ってるようだった。だけど、他の畑とは違ってなにか魔術的な加護を与えているようだった。それに…」

リゼ「それに?」

カトリーナ「あの畑で育てている野菜、どうも普通の野菜には見えなかった。」

バーガンディ「現在調査しているんですが、どうもかなり危険な薬物の原料となっている植物である可能性が高い訳です。」

リゼ「!?」

戌亥「タチが悪い…」

バーガンディ「しかし、断言はできません。類似している植物も数種類確認できています。その為に現在教会と交渉を行って調査を行っています。」

戌亥「そんなやばいもん育ててる教会に正面切って交渉って…なんか策でもあるんか?」

バーガンディ「ソレはまた後に…」

リゼ「勿体ぶるなぁ…」

 

 

リゼ「あ、そうだ。 アンジュさ、剣の声を聞いたって言ってたじゃん。」

カトリーナ「ん、ああ。まぁピンチだったし走馬灯的なやつの可能性もあるけどね…」

リゼ「私もそれが聞こえたんだよ。」

カトリーナ「!?」

リゼ「なんか剣の中で古風な格好の人にこの剣の使い方を教えてもらったんだ。」

カトリーナ「やっぱりこの剣、ただの剣じゃなさそうだ。」

戌亥「じゃあ私もいつしかソレが聞こえるようになるんかな?」

カトリーナ「でも私達二人とも極度のピンチから聞こえるようになったから、もうこの先そうそうそんなこと起きそうにもないけど…」

戌亥「まぁ、特に気にしないことにするよ。」

リゼ「とりあえず、この先どうするのさ。」

カトリーナ「黒い雷の正体も突き止めたし、教会の調査もバーガンディ氏がやってくれている。黒甲冑の男がまた現れる可能性もあるから王都に警備兵も要請した。私たちにもうすべきことはないよ。」

戌亥「つまり、帰るって事ね。」

カトリーナ「そもそもリゼが戦闘に巻き込まれたって報告の時点でもう王都からの帰還要請が来ていたしね。迎えの馬車も到着してる。支度してさっさと戻ろうか。」

リゼ・戌亥「はーい」

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