紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

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第拾九話 それぞれの感謝

刀と牙がぶつかり火花が散る。

 

奈羅花「硬い!」

長尾「なにかしら手を加えられた魔物のようですね。でも... ソイっ 頭蓋の隙間はどうにもならないよね。 新人さんは喉を狙って! 牙よりは断てるハズだ!」

奈羅花「了解です!」

警視正「流石長尾君だね! 新人へのアドバイスがうまい!」

長尾「隊長ほどじゃないですけどね! おわっと! レヴィさんナイス!」

レヴィ「ムダなおしゃべりはよしナ! おかわりどんどん来るヨ!」

 

流石だ。 連携がすごい。

私も、これについていかないといけないんだ。

 

 

 

 

長尾「ほいっと。 これで最後?」

レヴィ「検知した生体反応は全て消失。 無事に討伐できたみたいだネ。」

警視正「おつかれさん。 それと嬢ちゃん... すまなかった。」

奈羅花「いえいえ。 頭を下げないでください。」

警視正「いや、下げさせてくれ。 僕は...僕たちは。 君の夢を利用するような形で真実を隠して... ウソを付き続けてきた。」

奈羅花「さっきも言ったはずです。 おじさんや先生、姉さんたちが私に付いてくれていたウソは、私の夢を守るための嘘だったんですよね。それが"優しさ"だったんですよね。 だから、私は納得しています。 私の幼い夢は事実の風に吹かれて飛び立ちました。 これから、この手で新たな夢を掴むスタートラインなんです。 だから、頭を下げないでください。」

 

警視正「...ありがとう。 奈羅花ちゃん。」

 

 

 

 

 

 

レヴィ「初めて見タ。 男泣き。」

長尾「...俺はあの子のこと、あまり知らないっすけどなんかこういうの見るとうるっときますね。」

 

レヴィ「あれ、新人ちゃんこっち来タ。」

 

奈羅花「昨日付けで2番隊に就くことになった奈羅花っていいます! よろしくおねがいします!」

 

長尾「そういや自己紹介まだだったね。 俺は長尾景。 長尾さんとかでいいよ。」

レヴィ「僕はレヴィ。 レヴィ・エリファだヨ。 レヴィさんでもなんでも呼んでいからネ。」

 

奈羅花「レヴィさんに長尾さん! 今後ともよろしくおねがいします!   それと、初対面から失礼だと思うんですが... レヴィさんにお願いがあって。」

レヴィ「お願イ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

フレン「おじさん! 犯人の確実な足跡! 掴めたって本当ですか!?」

警視正「焦るなよ。 隊長らしくない。 今回の追跡で実際に相まみえたからな。確実な痕跡は入手できたぜ。」

フレン「ほんとですか... でもこれでやっと王手をかけられる。」

警視正「その犯人についてだがな。 奈羅花の嬢ちゃんと共に相まみえたんだが...そこで、やつがとんでもないことを自白しやがった。」

 

 

 

フレン「犯人が、奈羅花ちゃんの父親!?」

警視正「ああ。 さっき帰ってきた鑑定の結果を見る限り不変の事実だ。 やつが放った銃弾に微かに残った魔力の指向を奈羅花の指向と照らし合わせた結果がこれだ。 7年前、母親と照らし合わせた際に埋まらなかったもう片方の指向はパズルのピースのように。見事に埋まってる。」

フレン「そんな...」

警視正「そしてもう一つの事実。 7年前の奈羅花ちゃんが巻き込まれた火事。それがやつが引き起こした人為的なものだったと判明したんだ。 ...正直、俺はあの場で奴の息の根を止める覚悟までしたさ。 逃げられてしまったがな。」

フレン「ということは... 奈羅花ちゃんは...もう。」

警視正「あんたの見込み通りだったぜ。 あの子は強い。 逆に嘘の礼まで言われてしまったよ。」

フレン「...」

 

レヴィ「疲れタ~」

長尾「若いってやべぇ...」

奈羅花「なんかすいません...」

 

警視正「遅かったな。 なにかしてきたのか?」

レヴィ「奈羅花ちゃんの頼みで訓練を一緒二。」

長尾「14歳ってこんなにアグレッシブだっけ...」

 

奈羅花「あ... 先生。   優しい嘘、ありがとうございました。」

フレン「...」

奈羅花「あれ...先生? 泣いて...」

フレン「いいから。  ごめんね...」

 

警視正「(俺たちはお暇しよか。)」

レヴィ「(そうですネ!)」

長尾「(テンションの上げ下げについていけないや...)」

 

 

 

 

 

 

尊「そうか。 強くなったな。 奈羅花。」

戌亥「私が何気なく話したことが力になって、受け止められたなんてね。 初めて聞いた時は少し驚いた。」

尊「何気なく話すことにも意味があるのがお主のいいところだとは思うんじゃがな...」

戌亥「意味...あるのかね。」

 

奈羅花「姉さん!それに尊の姐さんも!」

厨房長「まーたここで黄昏れてる。 老人会でもしてるの?」

尊「違いない。」

 

奈羅花「姉さん...優しい嘘、ありがとうございました。」

戌亥「...強くなったな。」

奈羅花「姐さんも...ありがとうございました。」

尊「丁寧なトコ、アイツに似たもんだな。 ほら、手。 大人になった記念の握手。」

奈羅花「...ありがとうございます。」

 

 

厨房長「やばい。 泣けてきた。」

戌亥「いい年してうるうるしてんじゃないよ。」

厨房長「ん~? 人のこと言えたことかしら?」

 

戌亥「...バカ言え。」

 

 

 

厨房長「今日は、私が鍋を振るってあげようかしら。」

戌亥「珍しい。」

厨房長「あんたらにもお疲れ様って言われる義理はあるじゃん?」

奈羅花「え!? 姐さんが今日料理作ってくれるんですか!」

厨房長「応よ! 楽しみにしてな?」

奈羅花「やった~!」

 

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