紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

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第弐拾話 もうひとりの私

フレン「ということで。 逃走した犯人の追跡に向かう。」

長尾「うす。」

奈羅花「...」

フレン「色々思うこともあると思うけど、仕事に私情は禁物だ。気を引き締めてかかろう。」

警視正「おし! 行くぞ!」

 

 

奈羅花「相変わらず走るんすね...」

レヴィ「隊長と長尾クンは馬だけどネ。 まあ私達と違ってスタミナがネ...」

奈羅花「その分対面した時の活躍に期待しましょう!」

警視正「今回も上行くぞ。」

二人「はーい。」

 

 

レヴィ「前回と違って今回は向かってくることは相手は分かってるはズ。先に到着したからとは言え先行は禁物だネ。」

奈羅花「了解です。」

警視正「おう、そうか。 待機しておく。   隊長たちもうすぐ到着するってよ。 突撃の準備... 何!?」

 

私達が身を隠すビルに向かって大きすぎる白い炎が襲いかかってくる。

 

レヴィ「危なイ!」

 

レヴィさんの結界の閃光に目がくらむ。

 

奈羅花「...大丈夫ですか?」

レヴィ「私は良イ。 おじさんハ!?」

警視正「あんたのお陰で軽症で済んだ。」

奈羅花「...やっぱり、あちらもただではすまないようなものを用意していたようですね。」

レヴィ「いざという時は私が援護すル! 街へ被害が出る前に対処にあたっテ!」

奈羅花「了解!」

 

瓦礫を火桜で切り裂き、外に出る。

 

そこには、あの男と、血色の悪い鬼の少女がいた。

 

男「やあ。 僕のかわいい娘。」

 

花炎も引き抜き、男を睨む。

 

男「うわぁ。 怖いねぇ。 今日は君の家族を連れてきたのにさ。」

奈羅花「...何?」

男「この子。見てわからない? 君の妹だよ。双子のさ。」

奈羅花「...妹?」

男「そうだよ。失敗作の君とは違う最高傑作な君の妹。 君はどのみち自壊する。けど...危険な因子なのは変わりない。 ここで...肉親に殺されてもらうよ。」

 

少女がまた白い炎をこちらに放つ。

それを、刀を交差させて防ぐ。

 

男「じゃあ、頼むよ。剣を抜いて殺しても構わん。」

少女「...」

 

見ていてすごく心が痛くなる。

あの男に手駒のように使われるあの少女。

見覚えはないわけもない。 何故か。

 

母親に似ている。おぼろげな記憶しかないが、あの少女からは確かに母さんの面影を感じる。 妹。 ...飛び立った夢が残した残滓。 それを、助けない理由もない。

 

奈羅花「...参る!」

 

両手の刀を確かに握り、少女に向かって駆ける。

少女も刀を引き抜き、鍔迫り合いとなる。

彼女の剣が白い炎に包まれると同時に。

私の剣は紅く燃える炎に包まれる。

 

 

 

レヴィ「魔術を教えてもらいたい? 何デ?」

奈羅花「さっき聞いたとおり、私は...呪術的な肉体改造を魔術炉に受けていたんです。幼い時に魔力を行使していたら、私は自分の魔力で自壊していました。でも...姉さんたちのお陰で今のように生きられています。だから...全力で受け止められるようになった今だからこそ、魔術も生かして戦って、過去と決別したいって思ったんです。」

レヴィ「なるほどネ。 なら...これ使ってみナ!」

奈羅花「おわっと! これ、ヘアピン?」

レヴィ「ソウ。 戦闘用に魔法陣を埋め込んだヘアピン。それを身に着けて魔力を発揮すれば好きに魔術を使えル。 奈羅花ちゃんだったら...剣の火力の増強に使える炎がいいんじゃないかなって。」

 

奈羅花「...炎。」

 

レヴィ「...早速使ってみたらどウ? 稽古の相手も連れてきたんだしサ。」

長尾「かかってきなよ!」

 

 

 

鍛錬の成果は出た。 切り捨てられたとしても。私には私の力がある!

がむしゃらに炎を広げ、押し切る。

 

 

男「バカな...魔術を行使しただと!? あいつがそれに耐えられるはずもないのに!」

フレン「ビンゴ。」

男「...何をした?」

フレン「んん~何も? ただ、私達はあの子を強く育てただけだよ。 それよりも。無駄話をする暇はないんだ。拘束させてもらおう!」

男「多勢に無勢... だが! もうチンピラを雇っている! 増援が来るのも時間の問題だ!」

フレン「それは、どうだろうね。私達には、門番がいる。」

 

 

 

鬼「なんだ? このアマ。 これから俺らはこの先で仕事があるんだ。通させて...」

 

脇腹を切り裂く。

チンピラが崩れ落ちる。

 

戌亥「安心しな、半殺しだ。 生憎私は門番でね。 ココを通すわけには行かない。 通りたいならかかってきな。まとめて相手になってあげる。」

 

 

 

 

 

 

炎と火花が交差する。

相手はまるでロボットだ。 だが、どんな剣士にも隙は生まれる。

その一瞬の隙に必殺技を差し込め。

 

ここだ。

 

剣を受け、鍔迫り合いをするように見せかけて。

右手首を絞り、刃を寝かせて相手の刀をいなす。

 

バランスを崩しかけて、焦り、大きく後退する隙を見逃さない。

花炎に今できる全力の魔力を。 炎が刃に圧縮され、赤熱化する。

彼女へ向け。哀れみを込めて。

 

刀を空に置く。

火桜を手放し。その掌で花炎の頭金を確かに捉え、力任せに押し出す!

 

 

しかし。

彼女にその必殺の一撃を弾かれた。

だが! 策は2段に構えるもの。

空中で弾かれた剣を掴み、落ちる体に任せ切り下げる。

 

哀れみと。 希望を刀に込め、叫ぶ。

 

奈羅花「断罪剣!!!」

 

蒼い炎が、彼女の心に張り付いた鎖を打ち砕く。

 

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