紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

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英雄
第1話 グータッチ


アルビオ「...お姉さん、何してるの?」

アルマル「ん...そこの村の少年か。 私かい? お昼寝さ。ココの平原は寝心地が良いからね。」

アルビオ「へぇ... でも、ここよくイノシシが出るから気をつけたほうが良いよ。 ほら、来た。」

アルマル「良いこと聞いた。 気をつけ...え? 来た?」

アルビオ「うん。 さっさと仕留める。」

 

少年が手に持ったボロい巾着から剣を取り出すとイノシシに飛びかかる。

我流の剣にしては...動きがやけにいい。

 

アルビオ「はぁっ!  くそ、流石にこの剣もボロくなってきたか!」

 

しかし道具が悪い。 何だあの剣は? 刃こぼれした長剣。鈍器にするもイノシシには役不足だ。 それに...

 

 

アルビオ「うわ! 折れた!」

アルマル「少年! これを使え!」

 

自分の刀を彼に投げる。

 

アルマル「君は一応恩人だ。 それを貸してやる!援護するから...君の戦いを私に見せてくれ。」

アルビオ「ヘンなお姉さん。 でも...いいよ。」

 

少年が鞘から剣を引き抜くのを確認して、彼にエンチャントを掛ける。

 

アルビオ「これなら...思い描いた動きができる!」

アルマル「そりゃいい! 見せてみて!」

 

戦闘の音を聞いたイノシシが続々と出てくる。

 

アルビオ「(無為な殺生は森を殺すから...4匹だ。 あとは追い払うだけでいい。)」

 

彼が体術と剣を組み合わせた独特の剣でイノシシを薙いでいく。

仕留めたのは...4匹。

あとは逃げられたようだが...

 

アルマル「...成果は、どうだい?」

アルビオ「正直、全部仕留めることもできましたが...それは森を殺す行為と変わりないですから。 4匹を上限としているんです。」

アルマル「つまり、最高の成果というわけだね? 狩人の少年。」

アルビオ「少年って呼び方はやめてください。 僕にはエクス・アルビオっていう名前があるんです。」

アルマル「いい具合に生意気だね。 気に入った。 君...いや、名前で呼ぶべきか。長いし略してエビオ君でいいね?」

アルビオ「...いいですよ。」

アルマル「よし。 エビオ君。君を私の弟子にしよう。」

アルビオ「...弟子? なぜです?」

アルマル「これでも剣にこだわる質だ。 君の剣が気に入ったんだよ。伸ばし甲斐があるし...まだまだ未熟な私の剣を伸ばすキッカケにもなりそうだ。」

アルビオ「...踏み台、と?」

アルマル「そんなイヤミに捉えるなよ~? 君にも利がある。見る限り相当貧相に見える。私の弟子になって腕を磨けば...そんな生活から抜け出せるかもしれない。 というか、両親は?」

 

アルビオ「...戦争で、死にました。」

アルマル「...イブキの戦い、か?」

アルビオ「はい。 周りの大人に聞く限り...する必要のない戦争だった、と。」

アルマル「私は肯定もしないし否定もしないよ。 でも、君はどうだい? 戦争を、どう思う?」

 

アルビオ「悲しいものだと思います。 両親は守るために戦って死にました。それを...僕は誉れに思います。 でも、戦争はそれ以上の悲しみを、人々の心に打ち付けます。 思うんです。いつか...強くなって。 戦争を止められるほど強くなって、悲しむ人を出さないようにしたいって。」

アルマル「...いい夢じゃないか。 なら、私は君をその夢へと導く案内人だ。私は君に剣を教えるだけ。後は...君が決める。 悪いモノじゃないと思うが?」

 

アルビオ「お誘い、受けさせてもらいます。」

アルマル「ヨシ。 学院に缶詰になるのも飽きたんだ。 私の指導は厳しいよ。それでも良いかい?」

アルビオ「そのほうが、鍛練のし甲斐がありますよ。」

アルマル「良い生意気さだね。 じゃ、獲物を街に運ぼう。」

アルビオ「ええ。 新鮮なうちのほうが高く売れます。」

 

アルマル「じゃ...ほい。」

 

拳を差し出す。

 

アルビオ「...何です?」

アルマル「これから師弟以上に私達はマブダチになるんだ。 これくらい、してもいいだろ?」

アルビオ「初めての友人が貴方で良かったと思いますよ。」

 

 

グータッチ。




Topic
イブキの戦いの元ネタは関ヶ原の戦い
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