ベルモンド「皇太子妃殿下が... 処刑!?」
イブラヒム「毒殺未遂の罪...だそうだが、あからさますぎる!」
イブラハル「真実はわからないが... 止められるわけでもあるまい。」
ベルモンド「...準備不足にもほどがある。 なにしろ蜂起の予定日は再来月だ。」
イブラヒム「そんな...」
ベルモンド「...それはいつだ。 いつ行われる?」
イブラヒム「明日だ。」
イブラハル「...正気か? 王家は冤罪であることをおおっぴらに示しているのか?」
ベルモンド「...それでも、止められる刻ではないよ。」
翌日
イブラヒム「空が...泣いている。」
イブラハル「王家の唯一の良心がこんな形で... いや、それ故か。」
イブラヒム「もう、ロゼちゃんは...」
少年「すいません。」
イブラハル「すまないな。いま店主は留守だ。用があるなら...聞いてやるが...!?」
イブラヒム「お前は...! 第二王子!!!」
ヒムが掴みかかった。
イブラハル「よせ、ヒム。」
イブラヒム「...親父!」
イブラハル「用件は。」
エアル「あなた達に... 兄さんを殺してほしいんです。」
イブラハル「ほう...?」
ベルモンド「それで呼び出されたってわけか... で? 第二王子はどうしてここに?」
エアル「執事に頼んで...反乱分子を見つけてもらって。」
ベルモンド「怖っ。 ナニモンだその執事さん。」
エアル「執事に頼んだのはあなた達を探すことだけ。 だから聞きたいんです。何故あなた達は僕たちを倒そうと思うのですか?」
エアル「...なるほど。 これで決心はつきました。 私達春崎派はあなた達を支援します。」
ベルモンド「それはありがたいが... なんで王家のあんたが?」
エアル「正直、これまでの兄や父親の暴政に僕自身大きく反発しています。 すでに内部勢力の根回しも終わっています。 あなた達を支援して、兄と父を倒したい。それが僕のやりたいことです。」
ベルモンド「それって...お前さんが王座に座るってことか?」
エアル「半分はそう言えるでしょう。 僕は父から椅子を奪い、その椅子を壊すつもりでいます。」
ベルモンド「王政の破却... それが終わったらあんたはどうする?」
エアル「僕自身政治には興味があります。 王としてはなく、勉学に励んで議員として国に貢献するつもりでいますよ。」
ベルモンド「事後の逃げ道まで確保済み...できた王子様だ。 よし。 その依頼、受けよう。」
エアル「ありがとうございます! ...愛した姉の敵を、討ってください。」
ベルモンド「...ああ。」
ベルモンド「...ヒム、親父さんは?」
イブラヒム「王子さんにもらった情報をまとめてる。 皇太子妃の訃報で燃える民衆をまとめ上げるチャンスだって。」
ベルモンド「ほう。 根を詰めてまた倒れなきゃ良いが。」
イブラヒム「ベルさん。」
ベルモンド「何だ?」
イブラヒム「頼みがあるんです。」
ベルモンド「...敵を討つために戦うとな?」
イブラヒム「...お見通しか。」
ベルモンド「...いいぜ。 男の涙は力の源だ。」
イブラヒム「...ありがとう。」
ベルモンド「ほら、ハンカチ。」
ベルモンド「各地の同士への電報、終わったのか?」
イブラハル「王子さんのお陰だよ。 まとめやすかった。」
ベルモンド「そらそうか。」
イブラハル「呼符。 鳴ってるぞ。」
ベルモンド「悪い。」
ベルモンド「はいベルモンドですが...」
呼符の声「魔術学院の者です!!! 注文の品、急ピッチで仕上げました! 明日にも、現地に届くかと!!!」
ベルモンド「...へ?」
ベルモンド「...これは、何だい?」
エアル「殿なんですから。しっかりしてください。」
ベルモンド「...こりゃ、あの子の死もムダにできんな。」
エアル「聞け! これより我々はこの洛中を制圧する! これは義によるもの! 度重なる暴政悪政を我々は断固拒絶する! 私の姉は。 私の姉は不当な冤罪により処刑された! これこそ暴政の象徴にほかならない! これより王の椅子を壊す! この国の民衆の名誉のために! 自由のために! 立ち上がるものは、続け!」
ベルモンド「行くぞ野郎ども!!!! 続けぇぇぇぇ!!!!」
王都兵A「...行くぞ。」
王都兵B「何が? あれを止めるっていうのか?」
王都兵A「いや。 続くんだよ!!!」
王都兵B「それもそうだな!」
洛中の人々も、王を護衛する兵士も。
次々と漢たちが率いる列に続く。
アルマル「...これが、貴方の姿勢が示した未来だよ。 皇女殿下。」
王「なんだお前達!? これ以上の狼藉、許されるわけが...」
弦月「狼藉を働いているのはもう...貴方だけですよ。」
王「...貴様! なんのために祓魔師から側近まで格上げしてやったとおもっ...」
弦月「...貴方の首の肉が削がれるのが先か。 国家が転覆するのが先か。 選択の余地はありませんよ。」
エアル「弦月さん! お疲れ!」
弦月「この豚の相手も疲れたところで駒を進めていただいて。 本当に助かりました。」
エアル「お礼はこの人に言って!」
ベルモンド「...俺か?」
エアル「この蜂起の一番の功労者は君だよ。 僕たちに、矛を授けてくれたんだから。」
ベルモンド「世辞は、受け取っておきますよ。」