リル「…」
リゼ「お父様、どうしたの?」
イゼ「ちょっと考え事よ。 あっちで遊びましょう?」
リル「…どうすればいい。」
チャイカ「どうもこうもって…なにか動きを見せなきゃあのクソジジイに舐められたままだぞ!」
リル「それもそうだが…」
チャイカ「姉ちゃんはあのジジイにいいように使われて!それで… 誇りもねぇ奴らに殺された!」
リル「…」
チャイカ「今こそどんでん返しの好機だろ!?」
リル「…そうだ。 でも、違う。」
チャイカ「…」
リル「これはロゼの仇討ちでもなんでもない。 これ以上、子供が無下に扱われる事。政治にしても民衆の生活にしてもそうだ。それが許せない。
私は、民のためだけに立ち上がる。」
自衛団長「その言葉、お待ちしておりました。」
チャイカ「師匠!?」
自衛団長「先ず無断で扉を開いた狼藉、許していただきたく。」
リル「頭を下げるのはこちらです。 それで、王にあなた達も反旗を翻すというのですか?」
自衛団長「…私共にとって、ロゼ様は孫同然の存在でありました。 まだ子供だと言うのにそれを自分の利だけに隣国に嫁がせるだけでも私達は怒髪天だったと言うのに… この結果となってしまった。 正直、私共は今冷静さを欠こうとしています。 私はすでに団員たちにこのことを話しました。そして、賛同しない者は居なかった。蜂起を起こす武力は既に十分にあります。 判断は、皇太子殿下に。」
リル「…そうか。 それならば。」
クノウ山から上がる狼煙を見ると、王都中の団員は自らの仕事に取り掛かる。
リル「これは、名誉の戦いである! 暴虐を働く王より未来の子供たちが安心して暮らせる未来を取り戻す! 個人の利を優先する王は要らない! 必要なのは…象徴として!民にとっての道標を示す王だ! 私の名はリル! リル・ヘルエスタ! その王座、頂戴する!」
リル「名誉の騎士よ!我に続け!」
チャイカ「…姉ちゃん、あんたの存在がこれだけの人を動かしたんだ。」
ロゼ「誰があんただって?」
チャイカ「おあああ!? 姉ちゃん!?」
ロゼ「ひっさしぶり〜。」
チャイカ「え? ってかうっすいな。 幽霊?」
ロゼ「そうかもしれない…」
チャイカ「分かってないのか。」
チャイカ「…あいつらに恨みとか、無いの?」
ロゼ「もう無いよ。 この体になったばかりは気が狂いそうになるほどだったけど。」
チャイカ「じゃあ…なんで?」
ロゼ「そうね… 私のために、怒る人がいたから、かな? 人の心のあたたかさとかがこの体だとより実感できる気がして。」
チャイカ「へぇ… 成仏とかしない?大丈夫?」
ロゼ「全然。 でも見える人見えない人ちゃんといるみたい。今んとこあんたしか見えてないみたい。」
チャイカ「はぇ…」
ロゼ「成仏も何も私はまだ14歳よ? 未練なんてたらたらだし… 何しろ、リゼの花嫁姿見るまで死ねないわよ。」
チャイカ「死んでるじゃん。」
ロゼ「確かに。 …母さんのところ、行ってくる。」
チャイカ「おう。」
ベルモンド「手筈通り、王政は破却された。 これからが正念場だな。」
イブラハル「議会も政府も…作らないといけないもんが山積みだ。」
ベルモンド「それこそ、みんなと相談すべき事だよな。」
ベルモンド「ちょっとポスト見てくる。 議事堂の設計図の進展来てるかもしれんしな。」
イブラハル「いってら〜」
ベルモンド「なんかはいって…」
溢れんばかりの手紙を見て、ポストを思わず閉じる。
ベルモンド「…うちのポストってご意見版かなんかだったけか。」
イブラハル「手紙の内容は…大体首相の指名か。」
ベルモンド「だいたい俺じゃん。」
イブラハル「ってかそらそうだな。 リーダー居ないと何も出来ねぇし… 選挙やるか?」
ベルモンド「俺らがサクッとやっていいもんなの?それ?」
エアル「それなら、私達に任せてください。」
ベルモンド「王子さんか。」
エアル「私共の最後の仕事です。 罪滅ぼし…とは、烏滸がましくて言えませんが、やらせて下さると。」
ベルモンド「助かる。」
ベルモンド「なんで立候補者が俺しか居ないんだ?」
イブラハル「なんでやろなぁ?」
エアル「いや…すいません。 立候補者の募集、3週間取ったはずなのですが…」
ベルモンド「…言うて俺も民衆から推薦だし。どうすんだ?」
エアル「一応投票数が国民の4割を超えれば…としているんですが…」
ベルモンド「割と厳しめだな。 にしてはなんか不安そうな顔をしているが…何かあったのか?」
エアル「各地の投票所があまりの人混みに倒壊しかけておりまして…」
ベルモンド「…はい?」
ベルモンド「その建材はそっちね。 あっ女将さん、弁当はあっちの事務所! お願いね!」
小野町「はいー!」
イブラハル「首相じゃなくてまるで現場監督だな。」
ベルモンド「…拠点が無いんだ、仕方ないよ。」
イブラハル「でも、働く奴らの目は以前よりかは輝いて見えるぜ?」
ベルモンド「そうだな。 そうと決まったらお前さんも早く仕事に取り掛かりな。 この国の資源の管理の鍵はお前が持ってるんだから。」
イブラハル「へいへい。」