紅の錬金術師   作:おいしい名古屋コーチン

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Ep4.背中を押す人

ベルモンド「…俺が首相?」

イブラハル「そうだ。 この前の手紙もそうだが各地の同士達から民衆の声をまとめた文書が送られてきてな。驚く事に首相を推薦する声がお前にしか届いてない。」

 

ベルモンド「でもな… 俺にはもう定職があるんだ。前みたいな浮浪者でもあるまいしよ。 女将さんに迷惑をかける訳にも行かないんだ。」

小野町「それなら、大丈夫ですよ。」

ロア「そうなのだ!」

 

ベルモンド「女将さん!?」

 

小野町「皆さんが望んでいるなら、それに応えてあげてください。 今のこの国はリーダーと呼べる人が居ない。道標がない。 道標を無くして迷う人が貴方を望んでいるのでは無いのですか? それなら、私達のことは大丈夫です。 それに、庭師ならこの子がやってくれるそうですし。」

ロア「そうなのだ! 春香ちゃんが教えてくれたのだ。ロアだけじゃなくて、色んな人を、おじさんは助けているって。 なら、ここで立ち止まっちゃいけないのだ!おじさんにはまだやることがある…気がするのだ。だから、ロアは背中を押すのだ! 迷ってる人の背中を押すのがロア達悪魔の仕事なのだ!」

 

 

 

 

ベルモンド「…嬢ちゃん、元気にやってるかな。」

イブラハル「サボってんのはお互い様やな、現場監督。」

ベルモンド「…違いねぇな。 さ、続きだ続き。」

 

 

ロア「へっくち。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王「魔術大会優勝おめでとう、カトリーナ君。」

アンジュ「恐縮です。」

王「そう畏まらないで。 ちょっと耳を貸してくれないか?」

 

王「(君、親の七光りで観られることを嫌ってるようだね。 安心して、今回の大会の評価委員からは君の親族やその影響下にある者を一切入れないようにしたよ。 だから、胸を張りな。)」

アンジュ「…ありがとうございます。」

 

来賓からの拍手が飛ぶ。

少し顔がほころぶカトリーナ君の顔を見て、こちらも少し父親のように嬉しくなる。

…何故だろうな。

 

 

イゼ「アンジュちゃんがこんなにすごい人になるなんて…後でロゼに教えてあげなきゃね…」

ロゼ「本人の前でしんみりされるのすごく複雑〜」

チャイカ「(仕方ないだろ見えてないんだから!)」

 

 

リゼ「…なんか、すごく綺麗…」

 

 

 

王「では、これにて表彰式を終了…!?」

近衛兵「王よ、どうか…」

 

王「伏せろ!」

 

 

何かが王城に飛び込んできた。

 

 

 

チャイカ「なんだあのクソでかい鳥!!」

ロゼ「…逃げて。」

チャイカ「はぁ!? 何かヤバいのか!?」

ロゼ「…私と同じ。だけど何か違う。 あの子は…」

 

 

禍々しい何かを帯びた大きな鳥。

スザクと呼ぶべきか。

 

その何かに染った目を向ける先に、私は何もかも全て忘れ走る。

 

リル「リゼ!!!!!」

 

 

スザクはその鋭い爪を、目先のものに向かい振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

ロゼ「…駄目よ。 そんな事…」

チャイカ「母さん!!」

 

 

アンジュ「賢者の鍵!」

 

 

次の獲物に目を向けた姿勢のまま、氷漬けになる。

 

 

 

アンジュ「イゼさん!!!!」

リル「イゼ!」

 

アンジュ「貴女に私はまだ何も恩返しができていないんだ!だから、生きて!」

 

カトリーナ君の手を、イゼが掴む。

 

イゼ「もういいわ。 私は助からない。 それよりも…貴女に頼みたい事があるの。」

アンジュ「…」

イゼ「リゼを、頼むわ。貴方にしか任せられない。あの子を、見守っていてあげて。」

 

リル「イゼ? イゼ!!!!」

 

 

チャイカ「嘘だろ…」

ロゼ「…!!! 魂が…」

チャイカ「視えるのか!」

ロゼ「魂が…あの子に吸い込まれていく…」

チャイカ「…!!! スザクに、光が…」

ロゼ「…そうね。あなたならそうすると思ったわ。」

 

 

 

 

 

 

 

チャイカ「リゼの様子、どうだった?」

ロゼ「駄目よ。 ずーっと塞ぎ込んでる。」

チャイカ「…そうだよな。訳も分からないよな。」

 

 

アンジュ「…リゼ、どうですか?」

チャイカ「全然駄目だ。 …何だ?そのひよこ。」

アンジュ「…詳しくは言えません。 でも、この子を渡してあげれば何か、変わる気がするんです。」

 

 

チャイカ「行っちまったな。 …なんか、あのひよこに細工でもしてあるのか?」

ロゼ「…アンジュちゃんらしいな。」

チャイカ「…どこが?」

ロゼ「不器用なクセして解決策をドーンと出してくるところよ。」

チャイカ「細工、読み取れたのか?」

ロゼ「内緒。」

 

 

 

アンジュ「…リゼ。」

リゼ「アンジュ! ねぇ、お母様はいつ帰ってくるの!? アンジュが治してくれたんだよね!?ねぇ!」

 

アンジュ「…リゼ、聞いて。 イゼさん…いや、お母さんはもう戻ってこない。 遠くに、旅立ってしまったから。 だから、リゼに、お母さんの最後のプレゼントを持ってきたんだ。」

 

リゼ「…小鳥さん?」

アンジュ「そうだよ。 お母さんが、私が居なくてもリゼが寂しくないようにって。」

 

リゼ「…セバス。」

アンジュ「?」

リゼ「この子の名前。 お母様がくれたお友達だもん。ちゃんと呼ばないと…」

 

アンジュ「無理しなくていいからね。」

 

リゼ「!?」

 

アンジュ「そんな我慢、リゼらしくないよ。」

 

 

 

 

 

 

廊下までリゼの鳴き声が響く。

 

ロゼ「…不器用ねぇ…2人とも。」

チャイカ「そこがいいんじゃねえのかよ。」

ロゼ「さすがにもどかしくなってくるわ。」

チャイカ「はぁ… ま、賛成し無い訳でもないが。」

 

 

 

 

 

 

 

リル「私は只の王じゃない…象徴としての王だ。 そんな私が俯いてどうする…」

 

懐かしい風が頬を撫でる。

 

王「そう…だよな。 訃報に沈む民衆のためにも。 私だけは…前を向かなきゃいけないんだ。」

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