アンジュ「…ソシエ。」
手元に届いた一通の手紙。
それに綴られたのは…
かつての親友の悲痛なモノ。
親友に戻るために、自分の過ちにケリを付ける。
ソシエール「来たね、アンちゃん。」
アンジュ「手紙、読ませてもらったよ。」
アンジュ「まずは…」
ソシエール「御託はいらない。」
ソシエの目は不安とは違う何かに満ちているように見えた。
ソシエール「私はアンちゃんより弱い。けど、超えたい。競いたい。 でも、離れていくアンちゃんに抱いてはいけない感情を向けてしまった。 もう迷うのはいい。 私のわがまま、聞いてくれる?」
アンジュ「分かった。」
傘を手放し、手に本を握る。
ソシエも、杖を握った。
ソシエール「絶対に、追いつく!!!!」
アンジュ「来い!!!!」
地面を隆起させ、飛び上がる。
氷針を射出しながらソシエの肩に向けてかかと落としを入れる。
氷針は炎に撃ち落とされ、足も結界に阻まれる。
結界に止められる足に魔力を込めて力づくで結界を破る。
が。
避けられ大きく隙を見せた所にソシエは左フックをこちらの頬に向けて放つ。
右腕でそれを防ぐが、賢者の鍵を弾き飛ばされた。
ソシエール「これで!」
アンジュ「まだだ!」
服に仕込んだ術式でエンチャントを全身にかける。
ソシエール「やらせない!」
放たれる火炎弾を避ける。
しかし、ソシエに肉薄しようとも炎の壁に阻まれる。
突破する算段は、これだ。
懐に隠した紙切れに魔力を流し込んで破り捨てる。
降りしきる雨は、凍てつく氷に変化する。
アンジュ「らあああああ!!!!」
ソシエール「まだ、行ける!!!!」
氷の塊と灼熱の炎がぶつかり、大爆発が起こる。
意地を張る。
その心にあるのは、一つの想い。
友人を亡くすことから始まったすれ違い。
その負の感情にケリをつけるために...
ある者は本を捨て。 ある者は杖を捨て。
プライドは無くあるのは"誇り"のみ。
誇りを持って、意地を張り、拳を振るった。
迷いもなにもかもケリを付けた魔術師のタマゴは、膝を付き地面に倒れる。
アルマル「おーい。」
アンジュ「あ...先生。」
ソシエール「うわぁっ! びっくりさせないでくださいよ...」
アルマル「気は、済んだかい?」
泥だらけの掌を見つめ、何かを確信した。
アンジュ「ええ、吹っ切れました。」
ソシエール「なにか、どうでも良くなっちゃったね。」
アルマル「それなら良し。 無断で模擬戦したことは黙っておくよ。 その代わり...こんど焼き肉行こうか。君たちのおごりで。」
アンジュ「ええ...」
ソシエール「学生にそれは...」
アルマル「冗談冗談。 私がおごる。 その代わり、君たちの考える必殺技を聞かせてもらおうか。」
アルマル「圧縮、ね。」
ソシエール「ええ。 純粋な鉄を限界まで圧縮する。 火力を出すためのシンプルでかつ信頼性の高い手法だと思います。」
アルマル「しかし、魔術だけでは圧縮に限界があると思う。 せいぜい2000℃が火力の限度でしょ?」
ソシエール「だから、錬金術も応用します。 アンちゃん、これ。 できる?」
アンジュ「これは... いけないこともないけど...術式が大型化しそうだね。 でも、成功すれば規模は言うまでもなく温度は4000℃くらい行きそうだね。 多少の湿気からでも水蒸気爆発が起こせるかも。」
アルマル「...へぇ。面白い。」
アンジュ「まぁ、パット見の算段ですが。」
アルマル「...いい話を聞けた。 僕は満足だよ。」
アンジュ「結構お肉食べちゃいましたが...釣り合いました?」
アルマル「釣り合ったとも。 じゃ、また明日ね。」
二人「ごちそうさまでした~!」
アンジュ「...リゼのところ、顔出してく?」
ソシエール「そうしよっか。」