ベルモンド「...というわけなんだよ。」
アンジュ「旅館の改装、ですか。 お見積もりの方は?」
ベルモンド「金貨60本で頼む。」
アンジュ「...はいい?枚じゃなくて本ですか。」
ベルモンド「規模が規模だし...世話にもなったからね。 君が断っても払わせてもらうよ。」
アンジュ「...了解です。 明日、視察に向かっても?」
ベルモンド「良いよ。」
アンジュ「ではまた明日。」
呼符を切る。 ...復職早々大仕事だな...
アンジュ「...思ってたより古いな。歴史を感じる風貌だ。」
小野町「遠路はるばるありがとうございます。ヘルエスタの錬金術師さん。」
アンジュ「出迎えありがとうございます。 早速...仕事に取り掛からせていただいても?」
小野町「...仕事?」
アンジュ「ベルモンドさんから聞いてないですか?」
小野町「錬金術師さんが来るとしか...」
ロア「あ~! 勇者さんなのだ! どうしてここにいるのだ?」
アンジュ「ベルモンドさんに頼まれてね。 とりあえず、依頼はこなします。女将さん、一度色々聞いて良いですか?」
小野町「あっはい。 こちらにどうぞ。」
ベルモンド「いやー、すまん。 公務のほうが遅れてアンジュ君より先に着くはずが遅れてしまったよ。」
小野町「この方がこの間おっしゃっていたリフォーム業者の方、ですか。」
カトリーナ「まあ、そういう肩書にもなりますね。 ところでお二人に聞いておきたいのですが何処を重点的に補強してほしい、とかありますか?」
小野町「私としては、大きく作り変えてもらうことは避けたいです。 床のきしみとか...そういったものを直していただければ十分です。」
アンジュ「了解です。 外見を大きく変えずに、内装と外装を補強する方向にします。」
小野町「具体的に...なにをするんですか?」
カトリーナ「この錬金粘土を使います。 既存の壁や床などの欠損や痛みが激しい部分にこれを盛って、錬金術で結合、壁の材質に合わせてなじませ、壁などを新品の時に近い状態まで戻す、といったものになりますから...休業などの必要はないかと。 それに加えて隙間風などの細かいガタも気になれば直させていただきます。」
小野町「...一つ、お願いがあります。」
カトリーナ「お聞きします。」
小野町「あの神棚だけは...触れないでください。」
カトリーナ「了解です。 施工は...いつから致しましょう?」
小野町「私はいつでも良いですよ。」
カトリーナ「では、大きい場所は今日中にやってしまいましょう。」
リゼ「...アンジュがあんなに真面目にお仕事してるの初めてみた。」
戌亥「まさに仕事人やな。 メガネも似合っとるし。」
リゼ「...へっくし。 さすがに秋でもシフは寒いね...どこかお店入ろうか?」
戌亥「リゼはんがアンジュはんつけていこうって誘ったのに防寒してへんのか...まあいいわな。 アンジュはんのお仕事終わるまでそこの温泉街で食べ歩きでもしようか。」
フレン「...王に言われてリゼ様をつけてきたけど戌亥さんがいるなら安心、かな。 私も温泉卵たべようかn」
頭にチョップを入れられる。
イブラヒム「帰ってきてるなら言えよ。」
フレン「これでも仕事...今さっき終わったようなもんだけど。」
イブラヒム「そりゃいいや。 温泉卵食うなら家来いよ。 親父にも挨拶してくんだろ。」
フレン「それもそうだね。 ごちそうになるよ。」
ベルモンド「...見事だね。」
アンジュ「古民家は専門外に近いんですがね。 は~疲れた。」
小野町「大きいところだけどころかもう全部やってくださるなんて...」
アンジュ「この旅館が大切に扱われていたからですよ。 大切に扱われているからこそ、治すべき場所がわかりやすかったんです。」
小野町「お褒めの言葉...と受け取って良いんでしょうか。」
アンジュ「そちらの解釈におまかせするよ。 じゃ、待たせてるっぽいからこれで失礼しますね。 恩返しには、これで足りましたかね?」
ベルモンド「...どこまでもお見通しってか。」
小野町「...恩返し?」
ベルモンド「拾ってもらった恩放り投げて政治に向かってしまったのがどうしても、気がかりでな。」
小野町「...気に鳴らさなないでよかったのに。」
ベルモンド「いらないおせっかいだったか?」
小野町「いえ。 ありがとうございます。」
ロア「お昼寝から起きたら旅館がきれいになってるのだ! 勇者さんもうやってくれたのだ?」
小野町「そうですよ。 もうこんな時間です。ご飯の用意、しましょうか。」
ベルモンド「ひさしぶりに俺も手伝うよ。」
小野町「ふふ。 ありがとうございます。」