彼からの情報を纏めよう。
まずは彼の名前からだ。彼の名はエクス・アルビオ。まさか、シフ国の反乱を鎮めた勇者様であったとは。そして、彼の復讐の理由。それは、あの教会の要人が行ってたという魔女狩りで、彼は大切な人。彼の師匠を失ったそうだ。まぁ、戌亥君の話によれば彼女はそう易々と死ぬ女じゃないと言っているがね。さらに、教会は特殊な薬物を配給に混ぜることで信者を増やしているとの事だ。私が調べていた植物の正体をこんな形で知ることとなるとは。ネタバレをされたような気分で釈然としないがまぁいい。とりあえず、彼は薬物に侵された人々を助けるために復讐心も関係なしに教会を弾糾し武力による解決を行った…はずだったのだが。彼がうっすら抱いていた大切な人を失った事による憎悪による心の隙間を突かれ、妙な魔術によって精神操作を許した。と彼は分析しているそうだ。まぁヤクを平気で使う輩だ。そんな手段をとっても今更驚きやしない。だが…これで、私達が解決すべき問題の輪郭はかなりくっきりしてきた。この先どうするかは彼女ら次第だろうね。
戌亥「あの腐れ縁がこんな所まで着いてくるとは…」
アルビオ「こんな時まで師匠との縁に世話になってしまうとは。もし再会できたなら、バカ弟子だなんて殴られるでしょうね…」
戌亥「お葬式ムードになるにはまだ早いよお弟子クン。あいつの事だ。まだ生きてるよ。」
アルビオ「えっ?」
戌亥「あの女狐、生き意地だけは凄いからね…まぁいい。居場所に関しては見当もある。とりあえず、うちに来な。そして知ってる情報ぜんぶ吐きなよ。腕利きの探偵に全部送るからさ。」
アルビオ「あっはい」
戌亥「というワケなのさ。」
カトリーナ「やっぱ戌亥の人脈おかしくない?なんか大体知り合いじゃん」
戌亥「元地獄の門番だからね。英雄とか大魔女とか言われてる人は大体知り合いよ。」
リゼ「しれっと犬を飼う感覚で英雄飼い始めるのもどうかと思うよ」
戌亥「まぁそこら辺はどうでもええんよ。今日またアンジュはんとリゼはんを呼んだのは他でもなくて、まあさっき言った女狐の所に行くわけよ。」
カトリーナ「今回の騒動の手がかりを探しに行くわけだよね。でも、話を聞く限り彼女ってシフ国在住なんでしょ。シフ国の中心地までなんて馬車で丸1日かかるよね?」
戌亥「そこら辺は安心よ。地獄の同僚に要請した調査書によれば行方不明になってたアレの精神反応がヘルエスタ王国内にあるって分かった。座標的には…あれの別荘やね。」
カトリーナ「なんでそんな都合よく… まぁいいや。地図見せて。とりあえず、そこに行けば…ってん?」
戌亥「どしたん?」
カトリーナ「いや…なんでもないけど…」
戌亥「それならいいや。早速出向こうか。」
リゼ「うっへぇ… なんでまたこんな長々と歩かされてるの…」
戌亥「あれの別荘が森の奥深くにあって馬車じゃ入れないからね。しゃーない。」
カトリーナ「嫌な予感がしてたんだけど…まさかね…」
戌亥「ここやで。」
戌亥が玄関のベルを鳴らし叫ぶ。
戌亥「アルスー!アルスー!おるんやろー!」
アルマル「はいー。今玄関開けられないから勝手に入ってきてー。」
戌亥「あんた…それ、どしたん?」
アルマル「はっはっは!久しぶりだね!戌亥!いやぁこれねぇ。シフ国でやらかしちゃって本体が死んじゃってねぇ。魂を入れ込める本に精神をぶち込んでシフ国からの荷物に紛れてなんとか別荘まで亡命してきたのさ!ってあれ?アンジュちゃんじゃん!おひさー!」
カトリーナ「お久しぶりです…アルマル教授…」
リゼ「えっ?アンジュまで知り合い!?」
アルマル「いやぁ、まじで色々因果がやばい事になってるねぇ!マブダチの友達が自分の生徒とか!人間だったら戌亥から犯罪の香りしかしないやつだよコレ!」
戌亥「あんたってそういやウチの魔術学院からこっちに派遣されてたんだっけな。」
アルマル「そうだね。10年くらい前までシフ国の魔術学院で教授やってたよ。アンジュちゃんはヘルエスタ王国からの留学生の超サラブレッドだったけど真摯に錬金術に打ち込む様は目を見張るものがあったよ! 預けてたアレ、まだ大事に使ってる?」
カトリーナ「お褒めいただきありがとうございます… あの本も、ちゃんと手入れしてますよ。」
戌亥「アンジュはん、思い出話もそこそこにしとき。…じゃあ、手短にここに来た理由を話す。あんたが処刑された理由と、それを執行した教会の要人に関する情報を全て教えて。」
アルマル「えー?まぁいいけどさ、じゃ一つだけ条件を言おうか。タダで教えるのも少し癪だし。」
リゼ「条件?」
アルマル「その条件は私の新しいボディをアンジュちゃんに作ってもらいたいのさ!」
カトリーナ「えっ」
戌亥「はぁ!?」