この素晴らしい月の兎に祝福を   作:キツネくん

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兎も池に落とされるそうですよ?

「ようこそ、死後の世界へ、黒ウサギさん、貴方はつい先程不幸にも亡くなられまいた」

 

目の前の青髪の彼女はそう言った、私には心当たりがある

 

「やっぱり、死んでしまったのですね」

 

アジ・ダカーハを撃破するため自身の身を贄としレプリカではない、帝釈天が恩恵(ギフト)により作り出した、本物の一撃必勝の神槍を呼び出し放ったのだ、それは死んで当たり前だ。

 

「一つだけ良いですか、ゲームは、十六夜さんやノーネームのみんなは、無事なんですか?」

 

「はい、怪我はあれど、全員、生きています」

「よかったです」

 

本当によかった、十六夜さんたちや、コミュニティーのみんなが生き残ってくれていて、あとのことは、十六夜さんが何とかしてくれるでしょう。

 

「さて、私の名はアクア、日本において若くして死んだ人間を導く女神よ」

 

アクア様?はて、何処の神様でしょう?御名前と御姿からして水の権能を司っていそうなのに、死者の導きをされているんですか?でも確かに神格を持ってますし、てことは、白雪様のような水神様ってことですかね?それなら、主神のお手伝いといて、死者を導いていてもおかしくない?

 

「失礼ね、私はアクシズ教の崇める立派な女神よ」

おや、神通力ってやつですか

「アクシズ教?聞いたことありませんね」

「ええ、そうでしょうね、日本で仕事をしているけれど、崇めているのは違う世界の住人だもの」

「立体交差並行世界論でしょうか?でもアレはパラレルワールドのような物、神話まで違う世界なんてなかったはず」

「立体交差なんたらって何よ、私を崇めている世界と地球は交差も並行もしていない全くの別世界よ。

そんな事より、今な貴方には、二つの選択肢があるわ、ゼロから人としての人生を日本で歩むか、天国的なところへ行ってお婆ちゃんみたいな生活をするかよ」

 

天国ですか、私、月の兎なので入れてもらえるんでしょうか?極楽浄土になら、入れてもらえるかも?、でも、輪廻転生で日本に行くのも魅力的ですね、十六夜さんたちの故郷の国、話には聞いていますが、見たことも行ったことも無いので行ってみたいですね。でもゼロからですか。

 

「実は天国ってのは、ねあなた達の思っているほど良いところじゃないの、肉体がないんだからほとんどの事ができなくて、永遠に日向ぼっこして過ごすしか無いところなのよ」

「そう言われると、行きたく無くなるのですヨ」

「でしょでしょ、でもゼロからやり直すってのもね、そこで!ちょっといい話があるのよ!貴方、私達の世界に来ない?ていうか来て!今、あの世界は魔王の軍勢に脅かされているの!」

「魔王、ですか,,,」

箱庭の天災、私達から名と旗を全てを奪った者、その世界でも猛威を振るっているのですね。

「そう!魔王よ!魔王のよって人の国や街、村なんかが、いくつも破壊され、略奪され、人々が虐殺されているの!」

魔王って何処に行っても同じ様な者なんですね。

 

「そんな世界だから、亡くなった人たちが生まれ変わるのを拒否しちゃって今、世界に人が足りなくなっているの」

確かに、そんな世界に生まれ変わりたがる人って、相当恨みのある人くらいでしょう。

「そこで、別の世界で亡くなった人を転生させて人を補おうってわけ」

「でも、そんな世界に送られてもすぐ死んでしまいそうですけど」

「そう!だから、出血大サービス!今ならなんと!特典として、何か一つ好きなものをあげるわ!強靭な肉体!っだったり、チート級の聖剣!っだたり!何でも好きなものよ!」

「強力な恩恵を配っているんですか、でも、そんな物がタダで貰えるってことは無いと思うのデス」

「鋭いわね、そうよ、転生をしたら、特典を利用して、魔王討伐を目指してもらうわ、まあでも、あんまりうるさく言うことはないから、結構自由にしてくれて構わないのよ、ただし!魔王を見事討ち取った人には、何でも一つ願いを叶えてあげる!」

何でも?

「た、例えば、箱庭へ帰りたい!とかでも?」

「ええ、ぜんぜんOKよ!」

 

それなら、魔王討伐を誰よりも早く成し遂げれば、箱庭へ帰れる、またノーネームのみんなに会えるかもしれない。

 

「アクア様!私、異世界へ行きます!」

「ええ!そう言ってくれると思っていたわ!じゃあ、特典を決めて頂戴!」

すごく分厚いカタログを渡された。

 

「あの、アクア様、ここに書いてあるもの以外でも構いませんか?」

「ええ、何でも言って頂戴」

「じゃあ、私のギフトカードを、持っていきたいのですが、できますか?できれば中身も」

アレ一つ有れば安心感が桁違いだ、ギフトカードには武器や医療器具、非常食も入っている、異世界でもきっと役に立つはずだ。

 

「ええ、出来るわ、じゃあ、特典は、ギフトカードでいいわね、チョット待っててね、複製するから」

 

アクア様が、手を叩くと、見慣れた白黒のギフトカードが作られ、私に差し出し

 

「中、確認してみて」

 

見たことない文字だ、異世界の文字だろうか?

 

「全く読めないのですよ」

「?ああそうだったわね、それが今から行ってもらう世界の言葉よ、でも安心して、神々の親切サポートによって一瞬で習得させるから!運が悪いいとパアになるけど」

別のカタログのを出してきて見せてくれる、えーと「運が悪いいとパアになる」うん?すごく不穏なことが黒ウサギのステキ耳に入った気がするのデスよ?

 

「そういう事だから、安心しね!」

「パアって言いましたよね!?」

「言ってない」

「そんないい笑顔で言われても、全く安心できないのデスよ!?」

私の文句などお構いなく仕事をすすめるアクア様、突然足元が明るくなって

「じゃあ、転生させるから、その魔法陣から出ないでね」

いつの間にか魔法陣が現れた

 

「パアは嫌なのデスよ!」

「大丈夫よ、何百回ってやってきたけど失敗したこと無いから、私を信じなさい、さあ勇者よ、願わくば数多の勇者候補の中から魔王を打ち倒すことを祈っています」

私の文句やっぱり無視ですか?

「ええい、もうこうなったら、お腹をくくるのデスよ」

「さすれば、神々からの贈り物としてどんなな願いでも叶えて差し上げましょう、ですのでどうか、魔王を倒し、世界をお救いください」

体が浮いていく、転生が始まったのだろう

「Yes!この黒ウサギ、月の兎の誇りにかけて、必ずや魔王を討伐してみせましょう!」

視界が真っ白になり次の瞬間、

 

 

 

上空4,000mに放り出された

 

青い空、白い雲、草原、街、真下の池

 

「わ~遠くに綺麗な街が見えますね~ココが異世界ですか~」

 

あの女神サマ、何てことしてくれてるんですか!?転生した途端、空中って

 

「いーやーーーーーーーーーーー」

 

緩衝材のような薄い膜をいくつも突き破り、

 

『ドボーン』

 

池に墜落した、

「なんで、転生早々ビショビショにならなくちゃいけないんですか、それにこの池そこまで綺麗じゃないのです」

取り敢えず池から上がるため、陸に向かって歩く、水が淀んでいるのか水草が生え非常に歩きにくい、本当になぜこの池の上に落としたのか、私達だって、十六夜さん達を呼び出す時綺麗な池を選んだというのに。

 

文句を言いながら歩いていると後ろから複数の視線を感じた、兎としての直感が、この視線は人のものではない、獲物を定めた獣の視線であると、知らせてくれる、急いで振り返ると、そこにいたのは巨大なワニが四体、完全にこちらを獲物としてみている、反射的にギフトカードから疑似神格・金剛杵(ヴァジュラ・レプリカ)を取り出す、さすが女神様、いつもと同じ感覚で恩恵を取り出せた、使えたことに安堵しつつも、戦闘態勢を取る、ワニが大きな口を開け私を食べようと突貫してくる、私の髪が淡い緋色へと変わり、跳躍することで避け、ワニの頭の上に乗り二匹目のワニの突貫を青い稲妻を纏う金剛杵で返り討ちにし残り四体、仲間が一撃で沈められて怯んだのか三体目、四体目の突貫が来ない

 

「来ないのならこちらから、行きます!」

ワニの頭を思い切り蹴り他のワニに金剛杵で殴りかかり、一体目は正面から眉間を、二体目は伸し掛かって潰そうとしてきたところを、アッパーを食らわせ沈めた、足場にされたワニは、黒ウサギの脚力で脳天を蹴られ絶命した。

 

「問題なく体が動きますね、転生による問題はなしですね、頭もパアになってないですし」

金剛杵をギフトカードに、仕舞おうとして気づいた、さっきまで読めなかった見たことのないはずの文字が、何故か読めるのだ、意味もちゃんと分かる、ギフトカードの一番下に【異世界言語】の恩恵が追加されているので、きっとコレの御蔭だろう。

 

「さて、また襲われるのは勘弁ですし、ワニのをギフトカードに仕舞って陸まで跳んでしまいますか」

ギフトカードに、ワニの死骸は問題なく仕舞えた、

 

「さっき、上から見えら街でなら換金してもらえるだろうし、街まで走りますか、私の足なら十分もあれば付くでしょうし、それだけの間走ったら、服も乾くでしょう」

 

 

十分ほど進んだ頃、街に付いたのだが、ここが箱庭でないことを失念していた。

 

上空から門の前に着地した時

 

「どうも、こんにちは~街に入りたいんですけど大丈夫ですかね?」

 

「ひ、人が空から!」

「何奴!?」

 

「あ、えっと、あ、怪しいウサギではありませんよ~」

「そんなに高く跳ぶウサギが居てたまるか」

「わ、私の故郷ではコレくらい、あ、当たり前なのデスよ?」

 

箱庭でも月の兎は希少ですが、まあ嘘はついてないデスよ、

困りましたね、いきなり警戒されてしまったのデス、こういう時は、笑顔で押し切れば男性相手ならなんとかなるって、十六夜さんが言ってましたので、黒ウサギの全力笑顔を振りまいて入れてもらうのデスよ!

 

「そ、そうなのか、怪しいが、まあ、悪いやつでもなさそうだし、取り敢えず、身分証を見せてくれ」

「みぶんしょう?」

えーとそんな物持っていないのデスよ、箱庭の物なら、ギフトカード入ってるけど、言語が違うのでそもそも使えない、ピンチだ、

「えーと、ここの街で作れると聞いたのですが?」

取り敢えず嘘をついてみる、私の笑顔が引き攣っているのがわかる。

「なるほど、お嬢さんは冒険者になりにこの街に来たんだろ?そこで発行出来る冒険者カードが身分証の代わりになるからな、今回は、通行料だけ貰えればとうしてやろう」

通行料?私、この世界の通貨、持ってましたっけ、きっと女神様が気を利かせていくらか持てせてくれているはず、きっと、ポケットに入ってるなのデスよ!

ポケットの中から、水に濡れて読めなくなった、手紙らしきものと、1,000エリスほど入っていた。

「コレで足りますかね」

「500エリスだから半分だ」

私は二枚の金貨のうち一枚を払った

「よし、通ってよし、冒険者ギルドはこの道を真っ直ぐ行って突き当たりにある大きな建物がギルドだ」

「ありがとうございます!行ってみますね!」

 

さて、このまま真っ直ぐですね、街は石造り、この感じだと、文明レベルは、中世ヨーロッパって感じですかね、魔王がいる割には、平和そのものって感じですね、まあ、いきなり暗い街、だったら門前払いされてたでしょうからこのほうが良いですね、相変わらず、視線が痛いけどこれは、箱庭とあまり変わらないですね、まあ服装が何時もどうりだからいけないんですが、でも白夜叉様にもらったこのスカートの中が絶対見えない様になる恩恵が手放せないんですよね。

 

付きましたね、ココがギルドですか、入ってみますか。

 

「いらっしゃいませ~お食事なら席へどうぞ、お仕事案内なら、奥のカウンターへどうぞ~」

「はーい」

いやー体格のいい人たちがお酒飲んでますね、ちょっと怖いです

 

「おい」

「は、はい!」

すごく低い声で話しかけられちゃいました

「見かけない顔だなあ、それに何だその格好は」

「えーと、実話ですね、身分証に冒険者カードを作りに来たんデスよ」

「あーん?戦えないくせに、冒険者になろうってか?」

「そんな事ないのデスよ!私だって戦えます!」

「あーそうかい、よーこそ地獄の入り口へ!ギルの加入の受付ならあそこだ」

「は、はい!」

あれ?案外いい人?人は見かけによらないって、よく言いますもんね。

受付、あそこですね、ちょうど空いてますし行きますか

 

「今日はどうされましたか?」

この人の胸、凄いデスね、私よりありますね、肩凝りそうです。

「冒険者になりたいんですが」

「最初に登録手数料がかかりますが」

「手数料ですか、500エリスでたりますかね?」

足りますよね、女神様がくれたのは1,000エリス、半分は、通行料、もう半分は手数料ってことですよね?

「えーと、足りませんね、手数料は1,000エリスです」

女神様!?足りてないじゃないですか!

「えーと、そうだ!獲物を買い取ってもらうことって、冒険者じゃなくてもできますか?」

「ええ、できますよ、ここまで持ってきていただく必要がございますが」

それなら問題ない、なぜなら、ギフトカードにはいいているから!

「じゃあ、買取をお願いしたいんですけど」

「はあ、構いませんけど、何処にあるんですか?」

わたしは、ギルドカードを取り出し

「この中に入ってるのデスよ!」

「はあ,,,」

おや?そういばこの世界にはギフトカードは無いんでしたね、どうしましょう?

「えーと、信じてもらえませんかね?」

「ええと、ちょっと、厳しいですね」

なにか証拠を見せる必要がありそうです、ではギフトカードを受付嬢さんのまえに持っていき、ギフトカードから何時も持ち歩いている、ティーカップを一つ取り出して見せた。

「コレで信じてもらえないですかね?」

「,,,えっと見たことのない魔道具ですね、その中に入っているのですか、では、見せてもらっても?」

「ここでは、ちょっと狭いですね、広いところ、ありませんか?」

「そんなに大きいものが入るのですか?まあ、いいでしょう、中庭に解体用のスペースがあるので行きましょうか、こちらです付いてきてください」

良かったデス、信じてもらえました、あとはワニを売るだけですね。

 

「じゃあ、ココに出してください」

「はい、じゃあ出しますので、離れててくださいな」

ギフトカードから、ワニを四体取り出す、中庭が、一杯になってしまった、このワニ結構大きかったのですね

 

「  」

あれ?なんかまずかったですかね?

 

「こ、これ、ブルータルアリゲーターじゃないですか、かなり危険なモンスターですよこれ!」

そ、そうなんですか?たしかに、牙とか鋭いですからネ

「えーとちなみに、いくらで買い取っていただけますかね?」

「一体に付き50,000エリスほどで、でも、非常の状態がいいので上乗せして、一体55,000エリスほどかと」

「じゃあ、コレで登録できますね!」

よかったデス、これなら、登録してもまだ手元に残ります!

「では、受付に戻って登録をしてしまいましょう、代金はあとで、査定の後、お支払しますね」

 

さあ、いよいよ登録です、

「では、まず軽く説明を、冒険者には職業というものが存在します、基本職の冒険者から上級職のソードマスターやアークウィザードどまで様々です、最初は下級職でも、モンスターを倒し、経験値を貯めレベルを上げれば上級職に転職できますのでご心配なく」

ふむ、経験値にレベルですか、イマイチピンときませんね

「次に冒険者カードについてです、これは身分証になるほか、冒険者がどれだけ討伐を行ったかなどが記載されます」

なるほど、嘘はつけないようになってるんですね

「あと、レベルを上げると、スキルを習得するためのポイントを与えられるので頑張ってレベルを上げてくださいね!ここまで大丈夫ですか?」

「Yes、大丈夫デス!」

「はい、では、こちらの水晶に手をかざしてください」

変わった水晶ですね、どんな恩恵、いや、魔道具?なんですかね?これに手をかざすんですね

「こうですか?」

 

「これで、貴方のステータスがわかりますので、少しそのままでお待ち下さい」

おお!かざしただけで動き出しました!

「その数値に応じて、なりたい職業を選んでいただきます、あ、できましたね」

一瞬でしたね、さて、私のステータスは以下ほどでしょうか?

 

「黒ウサギさん、変わった御名前ですね、ステータスは、っ凄いですね!全てのステータスが平均を大幅に超えていますよ!特に魔力と素早さに関しては兎獣人であったとしてもの人間の枠を超えてます!」

 

十六夜さんたちのせいで忘れてましたけど、私、箱庭でも上位の種族でしたね

 

「これなら、どんな上級職にだってなれますよ!素早さが高いので、前衛職がおすすめです、でも、賢さも魔力も非常に高いので、魔法職もおすすめですよ!」

 

前衛職か魔法職か、難しいですね、どっちが良いんでしょう、私が普段使う武器としては、疑似神格・金剛杵か疑似神格・梵釈槍(ブラフマーストラ・レプリカ)の二つですね、この世界には梵釈槍の使用制限がないのでこの槍がメインの武器になるんですかね、それなら魔法は不要な気がしますが、でも使ってみたいですね。

 

「そうですね、両立できる職業は無いんですか?」

「それなら、魔法騎士ですね!これは、前衛職のナイトと魔法職のウィザードを足した職業です!」

「じゃあ、その魔法騎士で」

 

 

 

「では、これにて登録は完了です、黒ウサギ様、スタッフ一同、貴方の今後の活躍に期待しています!」

 

 




続くかな?続くと良いな。

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