ヒロアカ×東方能力   作:なっち様

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この小説を人質に取った。
評価お気に入りをしなかった場合あと4話で完結する!

それはさておきやっと考えていたシチュエーションまで来ました。


USJ襲撃前編(秦こころ)

 個性把握テストから一週間が立った。

 その間にオールマイトによる戦闘訓練の授業で緑谷がまた重傷を負ったのだがそれが命に係わるケガではなく除籍の心配もないと分かっていたため十六夜は安心して見ていられた。十六夜自身は葉隠透という少女とペアで個性を使って核を抱えて逃げ切り轟・障子ペアに勝利した。動く核に気をとらせ見えない葉隠が奇襲をするという作戦は障子の個性が鬼門だったが見事成功した。ヒーロー基礎学以外はおおむね普通の授業らしく生徒の多くが拍子抜けしていたのだが頭のいいとは言えない十六夜は一座の仲間の紫髪で本の虫な少女に変わってほしいと常々思うのだった。

 

 そんなこんなで一週間を過ごした十六夜の気がかりは勉強の面以外にもあった。それはアリスから聞いていた雄英高校襲撃のことだ。

 

 彼女も襲撃の日にちは教えられていないらしく、新たに分かったこととしては、連中はオールマイト殺害を目的としているらしいということだ。十六夜にとってはオールマイトは無価値なので別に殺されようが野垂れ死のうがどうでもいいが緑谷出久の成長にはよろしくないかもしれない。彼には平和の象徴、ひいては人々の『希望』へとなってもらわなくてはいけないのだ。

 ゆえに十六夜は頭を悩ませていた。雄英襲撃に仲間が参加するということはある程度アリス達も計画があるのだろう、それを自分が関わることで台無しにしてしまわないかと。つまり関わるべきか黙認して素知らぬ顔でいるべきか。

 

 先日、セキュリティー3突破という侵入者を知らせる警報が鳴り響いた。その時はついに来たかと身構えたがマスコミが侵入しただけで肩透かしをくらった十六夜だったが、だが雄英襲撃と無関係ではないだろう、それに比べれば学級委員長が誰かなど十六夜にとってどうでもいいことだった。どうすべきかと答えのでない問題に十六夜が頭を悩ませていると教室に相澤がやってきた。

 

「今日のヒーロー基礎学だが俺とオールマイトそしてもう一人の三人体制で見ることになった」

 

 緑谷たちは三人体制という予想外な厳重体制に身構えるがそれを無視して相澤は続ける。

 

「災害水難なんでもござれレスキュー訓練だ」

 

「レスキュー? 今回も大変そうだなぁ」

 

「馬鹿おめぇ、これこそヒーローの本分だぜ。なるぜ腕が」

 

「水難なら私の独壇場ケロケロ」

 

 思い思いの意気込みを言い合ってざわつくクラスを「おいまだ途中」と諫める。

 

「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない、中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。

 以上、準備開始」

 

 準備開始の声で即座に行動を始める生徒たちまだ一週間とはいえヒーローとしての心構えが少しずつ出来てきていた。

 

(救助訓練……。憧れに、最高のヒーローに近づくための訓練。頑張るぞ)

 

 緑谷が硬く拳を握るのを十六夜は視界にとらえながらコスチュームを取りに行った。

 

「アレ? デクくん体操服だ、コスチュームは?」

 

 バスを待っている間、麗日が緑谷に話しかけた。相澤は各自の判断と言ったが緑谷以外の全員はヒーローコスチュームを着用していた。

 

「麗日さん! え、えと、コスチュームは前の戦闘訓練で駄目になっちゃったからサポート会社の修復待ちなんだ」

 

「そうなんだー! あっ十六夜くん! 十六夜君と言ったらやっぱその格好だよね」

 

「じつは僕もそう思ってるんだよねぇ」

 

 条旗を模した服を着て、頭には尖った先に鈴型の球体がついている帽子をかぶった道化師の恰好、それが十六夜のコスチュームだった。試験説明会ですべての生徒の視線を引き付けたあの時と同じ服を十六夜はそのままコスチュームにした。すでにオールマイトの戦闘訓練の授業でも見せているから周りもその奇抜さに慣れすっかり十六夜の恰好として受け入れていた。

 

 バスに乗り向かい合う形で座るA組一同、座席整理をしていた飯田は意味がなかったと悔やんでいるのを尻目に皆、思い思いに話しをしだした。

 

「私思った事をなんでも言っちゃうの、緑谷ちゃん?」

 

「は、はい蛙吹さん!!」

 

「梅雨ちゃんと呼んで、あなたの個性オールマイトに似てる」

 

「待てよ梅雨ちゃん、オールマイトはケガしないぜ、似て非なるアレだぜ」

 

 蛙吹と緑谷の会話に切島が混ざる。

 

「しかし、増強型のシンプルな個性はいいな派手でできることが多い。

 俺の硬化は対人じゃ強いけどいかんせん地味なんだよなぁ」

 

 緑谷は大好きな個性の話になり目を輝かせた。

 

「僕は凄いかっこいいと思うよプロにも十分通用する個性だよ」

 

「プロな、しかしやっぱヒーローも人気商売みたいなとこあるぜ?」

 

「僕のネビルレーザーは派手さも強さもプロ並み」

 

 また一人、青山が会話に加わった。しかし即座に隣の芦戸に「お腹壊すのは良くないね」と突っ込まれて消沈してしまった。

 

「派手でつえぇって言ったら轟と爆豪だな、奇抜さだったら十六夜の独り勝ちだけど」

 

 指名された爆豪は鼻を鳴らして答え、轟は眠っていた。十六夜は困ったように笑った。

 

「あまり奇抜さばかり目立っても困るんだけどねぇ」

 

「でも、十六夜君の個性はかなり便利だよね」

 

 緑谷がフォローする、彼は入試の時と個性把握テスト、戦闘訓練のVTRで十六夜の個性の応用性、利便性をともすればA組の中で一番把握していた。

 

「おい、そろそろ着くぞいい加減静かにしろ」

 

 相澤が言う通りバスの車窓からテーマパークのような建物群が見えていた。

 女子がUSJみたいと言うが十六夜はそれが何なのか分からなかったので曖昧に頷いていた。 

 バスが到着し生徒を迎えたのは宇宙服をきた大柄な男だった。実際には宇宙服が大きくて中身にはヒョロヒョロな男がいるのかもしれないと十六夜は笑った。

 

「スペースヒーロー13号だ! 災害救助で目覚ましい活躍をしてる紳士的なヒーロー!」

 

「私好きなの13号!」

 

 ヒーローオタクの緑谷のそばにいると調べる必要がなくていいなと十六夜は思った。相澤がイレイザーヘッドだと知ったのも緑谷が気づいて声にしたからだった。今回のヒーローは麗日も知っているくらい有名なヒーローだった。相澤が13号と何かを話しているのを尻目にそんなみんな雄英高校の規模のでかさに驚いていた。

 

 

「早速中に入りましょう」

 

 13号に促され一同は13号を先頭についていった。

 

「すっげーUSJかよ!」

 

 USJとはこういうところなのかと1つまた詳しくなる十六夜。その間に13号は説明を始める。

 

「始める前にお小言を1つ2つ3つ4つ……」

 

 少しづつ数字が増えていく様子に先生の話というのにどうしても拒否反応が出てしまうのは学生の性か、顔を暗くしていく一同。平気そうなのは真面目な飯田と八百万、表情が変わらない轟に、こういうのは初体験の十六夜だけだった。しかし13号の説明が終わってみると暗い顔をしていた者たちの顔は晴れ口々にブラボーと称賛していたのだった。

 

 13号の説明が終わりそれを何処か遠い目で見ていた相澤は授業を始めようとして口を開いた時、会場の電気が落ちた。不審に思った相澤は噴水の上に重なるように黒い靄のようなものが現れたことに気づいた。それは最初は小さかったが少しづつ大きくなり靄の中から人の手が現れたことを確認すると相澤は警戒レベルを一気に跳ね上げた。

 

「全員一塊になって動くな!! 

 13号生徒を守れ」 

 

 靄はやがて人が通れるほどの大きさになり手の形をしたマスクをした男を先頭に中から人が続々と出てきた。相澤の反応で切島たち生徒も黒い靄のことに気づいた。

 

「なんだよこれ! 入試の時みたいにもう始まってんぞってパターンかよ?」

 

「動くな! 

 ……あれはヴィランだ」

 

 ヴィラン、敵、自らの担任である相澤の言葉はこの場にいる全員に衝撃を与えた。相澤が普段使わない首にかけてあるゴーグルをかけたことがその言葉の信憑性を上げる。

 

「はぁ!? ヴィラン!!? 馬鹿だろヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ」

 

「先生、侵入者用センサーは?」

 

「もちろんありますが……」

 

 13号が言葉を濁した。目の前でヴィランの大群が押し寄せてきているのに警報もが鳴った様子はない、機能していないことは一目瞭然だ。

 

「現れたのはここだけか、学校全体かなんにせよセンサーが反応しねぇなら向こうにそういうことが出来る奴がいるってこと。校舎と離れて隔離空間そこにクラスが入る時間割、馬鹿だがアホじゃねえ、これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

 

「13号! 避難開始。学校に電話試せ。上鳴も個性使って連絡試してみろ」

 

 相澤はプロとして的確に指示を出していくそして今度は十六夜の方を見て

 

「十六夜お前は教員室の先生のところに向かって救援を呼んで来い」

 

「嫌です」

 

「なに?」

 

「嫌だと言ったんです」

 

 怒ってるような声で十六夜は相澤の指示を拒んだ。

 

「い、十六夜くん?」

 

 様子のおかしい十六夜に普段一緒にいる緑谷が不審に思い声をかけるが

 

「うるさいなぁ、何?」

 

 緑谷にすら機嫌悪そうに返す十六夜。

 さすがにほかの生徒たちも十六夜様子がおかしいことに気づき始めた。

 

「おい、機嫌悪いのか知れねぇけど今はそんなこと言ってる場合じゃねぇだろ」

 

「そ、そうだぜ、十六夜はやくオールマイト呼んできてくれよ」

 

 しかし、何も答えない十六夜を見てA組の面々の十六夜への不信感が募っていく。

 

「おい、どうしたんだよお前らしくないぞ十六夜」

 

 そうしている間にもヴィランはUSJ内を埋め尽くしていくが動く気配のない十六夜に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()「おい、峰田お前何笑ってんだよ」

 

「わ、わかんねぇけど面白れぇんだよ」

 

「ふざけて、ない、で、ヒクッ、今がどういうっ状況っか考えてくださ、い」

 

「八百万ちゃん泣かないで」

 

「ち、ちがうのです、なぜか急に悲しくなって」

 

「どういうことだ?」

 

 そういう相澤にも不思議と楽しくなる気持ちが沸き上がってきていた。

 感情の暴走。

 笑う者怒る者泣く者、恐怖する者、照れる者。

 この場にふさわしくない感情がA組の全員に沸き起こった。この現象を十六夜は知っている。そして行き着く先もだ。最後には暴走した感情に振り回され無表情の無気力な人間になってしまうこの現象を起こせるのはただ一人。       

 

「見つけたぞ!私の宿敵よ!」

 

 秦こころだけだ。

 

 




こいここは正義。
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