希望と孤独の狭間で…   作:B.delta

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第9話  競争

体育祭当日、

 

俺は2週間、USJで少し戻った個性をいろいろ試していた。

とりあえず根本的には、“無い”と定義すれば“有る”に変えられるということが分かった。体育祭では大いに個性を使い勝とうと思う。

どうやらA組は一部、普通科に宣戦布告されたようだが、生憎俺はそういったトラブルに巻き込まれていない。

緊張はするが、精一杯楽しもうと思う。

 

そして入場。

歓声には慣れているつもりだったが、いつもとは違う熱気だ。これから戦いが始まることに伴い、会場全体に闘志が溢れている。

 

そしてミッドナイト先生に選手宣誓をやらされる。

「選手代表!!1-A!鍵無彗仁!!」

俺は前に出て大きく息を吸い込み、

「宣誓!努力!」

「「「みじかーーーい!!!」」」

満場一致のツッコミをされた。だから皆の方を向き照れ笑いをしたら、後ろの方から黄色い悲鳴が聞こえた。

自分で言うのもあれだが、身長190cmもあり、見た目はヨーロッパ系のイケメン外国人なのだ。そして俗にいうイケボという声らしい。だから基本女子は皆惚れる。そして男子にも惚れられる。また黒のアイパッチがアニメや漫画などの2次元が好きな人間にはたまらないらしい。中学の時は、「2次元の世界から飛び出してきた王子」と言われ昼休みは教室の外が大量の見物人に溢れていた。バレンタインは……、語る必要は無いだろう。

多分、俺は今、A組の評価を大きく上げたはずだ。

 

「さーて、それでは早速第一種目行きましょう」

これからここにいる全員を容姿だけじゃない、実力でも圧倒的に上だということを証明する。

「いわゆる予選よ!

毎年ここで多くの者が涙を飲むわ!

さて運命の第一種目!!

今年は…… コレ!!!」

障害物競走か。

「我が校は自由さが売り文句!ウフフフ…

コースを守れば何をしたって構わないわ!

さあさあ位置につきまくりなさい…」

“何をしてもいい”か…

 

「スターーート!!」

 

瞬間移動して第一関門 ロボ・インフェルノにつく。

ここからは仕方ない、走ってやろう、だが俺は50mを1.03秒で走る人間だ。

ロボが道を塞いでいる。

だから道が“無い”?

いいや、俺が“有る”と思えば道はできる。

俺は、真っ直ぐ走った。道の邪魔は何もない。道を遮っていたロボには穴が開いている。

俺は直ぐに第一関門を突破した。

 

続く第二関門、ザ・フォール。

これは個性を使う必要もない。飛び石のように飛んで渡れる距離だ。

素早く渡り、難なく突破する。

 

そして最後の第三関門、怒りのアフガン。

俺はここまでのスピードそのままに、走り幅跳びのように地雷原の入り口から跳んだ!そしてゴールに着地した。着地の摩擦で靴が若干擦り減ってしまった。スタジアムはまだ俺がゴールしたことに気がついていない。

今の2位は轟か、まだ第二関門じゃないか。

 

「轟や爆豪に目を奪われている間に、鍵無がゴールしていた!!!

何という速さだ!速すぎて誰も気付いてなかったぞ!!」

 

プレゼント・マイクの実況で観客は一斉に俺を見る。

だから俺は思いっきり叫んだ。

「俺がNo. 1だ!」

会場がおーーー!と熱狂に包まれる。

周りには悪いが、この体育祭は俺のステージだ!!

 

しばらくすると続々とゴールしてくる。

2位が緑谷なのは意外だったが、後の順位は想定の範囲内だ。

 

「予選通過は上位43名!」

 

そしてどうやら次の種目は騎馬戦のようだ。

俺は誰とも組みたくない。それに1位でポイントが高すぎる。

まあ誰とも組まず、俺のポイントを守れば余裕だ。

 

 

「さァ上げてけ鬨の声!!

血で血を洗う雄英合戦が今!!

狼煙を上げる!!」

 

じゃあ、高みの見物でもしますかね。

 

「START!!」

 

俺は始まった瞬間多くの騎馬に狙われる。だが残念。

『Gefängnis ( jail ) 』

俺は自ら檻に入った。だいたい縦横5m四方の檻だ。腕を伸ばしても絶対届かない。外側からの個性を一切受け付けない。棒のようなものが差し込まれたら、破壊すればいいだけ。

これは敵に使えば完全なる牢獄。味方や自身に使えば完全なる要塞だ。

 

周りは個性を使ってこの檻を壊そうと努力しているが、無駄だ。

耳郎がジャックを伸ばしてきたり、八百万が何かを作って差し込もうとするが、隙間から入ることはできない。なぜならそれらは個性だから。

轟や爆豪の攻撃も何も通用しない。B組の人も攻撃してくるが無駄だ。

しばらくすると諦めて皆、俺抜きで騎馬戦をしてる。途中、ピカっとしたり爆音したりしたが、終始この檻は快適だ。

そして何も取らないが取られることもなく、ポイント的には文句なしの1位通過した。

 

そして昼休憩、これは一体どういう状況だ。

 

俺はいつもの昼食をとって本でも読もうと思っていたのだが、現在、とてもたくさんの生徒に囲まれている。

 

「活躍見てました!」

「どんな個性ですか?」

「めっちゃタイプです!」

「憧れます!」

「午後も頑張ってください!」

 

ひっきりなしに声をかけられて答える暇もない。お、遠目にA組の女子が見える。よし、逃げよう。

「皆、ありがと、バイバイ」

瞬間移動した。A組女子を驚かせてしまったようだ。申し訳ない。

ふー、だがなんとかなった。俺がさっき囲まれていた場所はいきなり俺が消えて大混乱している。

「ほんと鍵無っていきなりだね。」

「耳郎、俺はいきなり謎の大群に囲まれたんだ」

「鍵無くん、すごい話すようになったね!」

葉隠が声をかけてくる。麗日や、芦戸も共感しているようだ。

「それは耳郎のおかげだ」

「バッカじゃないの!」

「響香ちゃん照れてるのね。」

梅雨ちゃんがそう言うと、俺にジャックが飛んできた!そして耳にブッ刺され、ドックン、と爆音を頂戴する。響くわ…。

「このクラスで1番最初に春の訪れを感じる2人だね!」

芦戸の余計?な一言のせいでもう一撃くらう。2発はきつい。

「うぅ、きつ…。

質問だが、あの集団はなぜ俺を囲んだかわかるか?」

「きっとファンクラブみたいなもんよ!」

麗日がそう言って葉隠がうなずく。

「すみません。私たち、レクリエーションに出なくてはなりませんの。そろそろ行かなくては…」

「そうだったのか。八百万、そして皆、引き止めてしまってすまない。頑張れ!」

「絶対っ、見んなよ!!!」

「響香ちゃん、照れ隠しがわかりやすいわ。」

梅雨ちゃん、俺に3発目がきてしまうだろ……、ほら来た。

俺だけやられっぱなしはなんか嫌だ。少しお返しをしてやろう。俺はまず耳郎の正面に立ち、身長差36cmある耳郎との顔の位置が近づくように少し屈んだ。それだけで耳郎の顔は真っ赤だ。そして顎クイと呼ばれる行為をする。俺は耳郎に顔を近づけ、

「期待してる」

と、耳元で囁けば、耳郎は口をパクパクして耳まで赤らめてる。ジャックの先まで真っ赤だ。

そして体勢を戻し周りを見ると、八百万、麗日、芦戸、多分葉隠も赤くなってる。

「鍵無ちゃん、イケメンすぎるわ」

「耳郎にやられっぱなしは嫌だったからな」

そう言って俺は組み合わせを見にスタジアムの入り口に向かった。

 

俺は出番まで競技を見ていることにする。

するとチアの格好をしたA組の女子たちが出てきた。なるほど、だから見ないで欲しかったのか。峰田と上鳴の口車に乗せられたな、でもかぁいいぜ。

そして様々な競技を見物する。耳郎は恥ずかしがって応援せずに座っていたから、こっちを見たときに笑顔で手を振ったらまた赤くなってそっぽ向いてしまった。

 

そして最終種目が始まる。

「色々やってきましたが!結局これだぜ、ガチンコ勝負!!」

俺は誰にも負けない。

前の戦いを見ていたが、やはり轟はすごい力だ。感心する。

 

俺の1回戦の相手は上鳴だ。

よし、気合入れて、勝つ!

 

「ステージを渇かして次の対決!

入学から全て1位!無敵の彗星!鍵無彗仁!!

  対

スパーキングキリングボーイ!上鳴電気!!」

 

「よろしく」

俺はお辞儀をする。

「イケメン枠は俺が奪わせてもらうぜ!」

「かかってこい」

 

「すっ、START!!」

「この勝負!一瞬で終わるぜ!」

残念だったな、岩石でガッチリ動きを封じる。岩に電気は流れない。

「瞬殺!あえてもう一度言おう!瞬・殺!

2回戦進出、鍵無くん!」

 

 

2回戦、緑谷vs轟はとても興奮した。緑谷は負けはしたが、底知れぬ力を感じる。不思議なやつだ。

 

そして俺の相手は飯田。

 

「スピード対決を制するのはどちらだ!

鍵無 対 飯田!!!」

 

「俺が勝つよ」

「僕だって負けないさ!」

 

「START!」

やはり飯田はスタートダッシュを決めてくる。だが、そのスピードまだまだ遅い!

俺は飯田の前に岩の壁を作った。すると飯田はそれを砕いてくる。予想通り、俺は飯田が蹴り上げたタイミングで、破片を操り攻撃する。それをスピードを上げて突破してくるのも予想通り。さて、お遊びはおしまいだ。俺は飯田を飲み込む土石流を発生させた。エンジンは泥が詰まって使えないから飯田は流されるしかない。

「飯田くん場外!鍵無くん、三回戦進出!」

戦闘で出した岩は全て消える。そして飯田に近づき手を差し伸べた。

「ありがとう」

「君はすごいよ…」

お互いの健闘を称え、握手をした。

 

次の相手は轟か……、どうするかな。

 

「準決!サクサク行くぜ!

両者、文句なし!トップクラスの対決!

轟 対 鍵無!!」

 

いつもより遊んでやるか。

 

「START!!」

 

やはり氷が来るか、両腕にダイヤモンドを纏い、打ち砕く!

轟は行動不能にしたい。そしてエンデヴァーを絶望させる。

接近して攻撃してくるが、全て避けて氷は砕く。轟の威力も弱まってきた。そして周りには氷の破片がたくさん散らばる。そろそろ頃合いか…、轟の攻撃を避けながら俺は静かに話しかける。

「なあ、轟。俺の個性のロックってさ…」

「…?」

そう言って俺は観客席よりも高く飛ぶ、轟はただ見上げることしかできていない。終わりだ!

「…溶岩も含むんだぜ!

 Vulkan!!( volcano!!)」

灼熱の溶岩がステージに降り注ぐ。そして、ステージは大きなクレーターができるほどの水蒸気爆発を起こした。

 

俺はステージの真ん中だと思われるところに着地する。

轟は壁に打ち付けられ意識をなくしていた。

「と、轟くん、場外。鍵無くん、決勝進出!」

 

やばい、やりすぎた。

ステージはセメントス先生が修復している。俺は轟のところに駆け寄って担架に乗せられている轟に触れる。

轟は今、怪我がひどい。

つまり健康な状態では“無い”、酷い有様だ。

だから健康な轟の状態よ、“有れ”。

すると轟から怪我が全て消えた。あとは意識が戻るのを待つだけだ。

俺はそれだけやって控え室に戻る。

次は常闇か、爆豪か、どちらにせよ勝つだけだ。

 

見たところ、余裕で勝てる。そう思う。

爆豪、どうやって遊ぼうかな…

そう考えていたらいきなりドアが蹴破られた。

「あ?

あれ!?なんでてめェがここに…

控え室……

あ、ここ2の方かクソが!!」

「ファーストコンタクトだ」

「てめェ、今まで何でも1位だが俺が勝って1位を奪う!!」

   BOOOOM!!

「……無理だよ?」

「はぁ?!てめェ、ずっと片目に黒いの着けやがって、ハンデのつもりか?!そんなの、上から捻じ伏せてやる!」

爆豪は部屋を出て行った。

なんか怒涛の罵声をあびせられた。彼を怒らせない方法は無いのだろうか…?

 

 

「さァいよいよラスト!雄英1年の頂点がここで決まる!!

 決勝戦

  鍵無 対 爆豪!!!!

今!START!!!」

 

完膚なきまでに叩き潰す。そこに爆発が“無”ければ、存在させればいい。今回は先手必勝!

 

 BOOOOOOM!!!

 

俺が爆発を起こした。そして瞬間移動して爆豪の後ろに回り込む。そのまま頭を鷲掴みして、ステージに埋まるほど叩きつけた。もちろん、一発でノックアウト。そして俺は頭を鷲掴みしたまま宙ぶらりんの爆豪をミッドナイト先生に見せつける。

 

「ば、爆豪くん、戦闘不能。よって鍵無くんの勝ち!!」

 

そして轟と同じように傷を消してあげる。ただ意識は無いままだからリカバリーガール行きではあるが……。

 

「以上で全ての競技が終了!!

今年度、雄英体育祭1年優勝は…

A組 鍵無彗仁!!」

 

やった。完全優勝だ。

俺はA組の席に戻る。

「おまえ、轟と爆豪の怪我治してやるって、男だぜ!」

「切島、俺が行き過ぎた怪我させたんだ、当たり前だろ」

「え、普通に話してる?」

「色々あってね。そーいや瀬呂は轟にカッチカチにされてたけど、大丈夫だったか?」

「あぁ、大丈夫だぜ!」

「ならよかった」

その後もクラスの皆に話しかけられる。すると肩を何かで突かれた気がしてそちらを向く。

「おめでと…」

そこには顔がほんのり赤い耳郎がいた。

「ありがと、俺そこそこカッコよかっただろ?」

「…すごくロックだった。」

「そっか、嬉しい。ありがとう」

すると別の人から声をかけられる。

「鍵無くん、話してるとこ申し訳ないんだけど、僕とお話ししない?」

「あ、緑谷、いいよ!じゃあ耳郎、ごめんね」

 

そう言って席に着いて話を始める。

「ごめん、先に言うけど、俺は俺自身のことをわかっていない。

だいたい個性は4歳くらいで判明するんだろう?だが俺はその時の記憶はない。戸籍も何もかも知らない」

「ロックが君の個性じゃない可能性もあるってことだよね…?かっちゃんみたいに爆発もさせてたし…」

「そうだ。ロックは俺の個性のたった一部分に過ぎない可能性の方が高い。そして俺は君の秘密を知ろうと思えば知れる。個性を使って…」

「鍵無くんなら知っても言いふらさないって信じてる。

僕さ、いつか君に勝つよ!言いたいのはこれだけ!」

「おう、いつでもかかってこい!じゃあ俺は表彰式行ってくる!」

 

そして表彰式、

「それではこれより!!表彰式に移ります!」

2位の表彰台にいる爆豪は拘束されている。それなのにまだブンブン動くから苦笑いしかできない。

「メダル授与よ!今年メダルを贈呈するのは、もちろんこの人!」

「私が!メダルを持ってきた!!」「我らがヒーロー!オールマイトォ!!!」

あ、被った。ドンマイ、オールマイト…

そしてオールマイトが一人ひとりにコメントを残しながらメダルを授与していく。

「鍵無少年!優勝おめでとう!君の強さは素晴らしい!この体育祭で息が上がることなく、一滴の汗も流さず、傷どころか塵ひとつつかないなんて…!このまま精進してくれ!」

「ありがとうございます!」

俺はメダルをかけてもらった。

「さァ!今回は彼らだった!しかし皆さん!

この場の誰にもここに立つ可能性はあった!!ご覧いただいた通りだ!

競い!高め合い!さらに先へと登っていくその姿!!

次世代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!

てな感じで最後に一言!

皆さんご唱和下さい!!せーの」

「「「プルs…「おつかれさまでした!!!」

オールマイトまじかよ、No.1の感覚は違うぜ…

 

 

 

着替えて帰りのHRが始まる。

「おつかれっちゅうことで、明日明後日は休校だ。」

2日休みか、何をしようか、

「プロからの指名等をこっちでまとめて休み明けに発表する。

ドキドキしながらしっかり休んどけ。」

 

俺にはどれほどの指名が来るだろうか?楽しみだ!!

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